不当解雇とは
従業員は会社を自由に退職できる一方、会社から従業員を辞めさせることは一定の条件が必要になります。たとえば、その従業員が会社にとって大きな損害を与えた場合(横領や問題行動など懲戒処分に当たる行為をした場合など)や、経営状態が著しく悪化し、人員整理をしないと倒産してしまうようなケースがあげられます。
しかし、以下の理由で解雇された場合、ケースによっては不当解雇とみなされることがあります。
- 作業が遅い、ミスが多いので解雇にされた
- 妊娠を報告したら「来月から来なくていいよ」といわれた
- 月1度程度の遅刻が何度かあり、自己管理ができていないと解雇された
- 交通事故に遭いケガをしたら、戦力にならないからクビだといわれた
また、不当解雇等を法廷で争うと、会社側が不利な立場になりやすいため、従業員から退職させるように仕向ける手段(仕事の取り上げ、嫌がらせなど)を用いる会社もあります。
さらに「手荒なことはしたくないので、辞めてくれないか」など脅すような退職勧奨をし、自己都合退職としておさめようとする会社もあります。もちろんこれらも違法であり、おかしいなと思ったら証拠を押さえておくことも重要です。
不当解雇でもらえる慰謝料の相場
不当解雇や退職の強要により従業員の精神的苦痛が発生した場合、ケースによっては損害賠償請求が可能となります。慰謝料の金額は解雇の内容や程度、裁判の長さ、従業員の給料や能力によって変動しますが、おおむね給料の3~6ヶ月分程度の慰謝料が支払われるのが一般的なようです。
慰謝料をもらうためにやっておくべきこと
慰謝料を請求するためには、労働に関する書類や、不当解雇を証明する証拠などが必要になります。まずは以下のものを集めましょう。
- 就業規則や雇用契約書、賃金・退職金規定
- タイムカード
- 給与明細
- 解雇通知書と解雇理由証明書
- 不当解雇や退職強要に当たるような文書(メール)や会話の録音データなど
慰謝料の請求方法ですが、これらの証拠を持参したうえで会社側と直接話し合うという方法もありますが、個人では法律について無知な部分も多いですから、弁護士に相談するのがよいでしょう。
弁護士からアドバイスをもらいながら会社との示談交渉を進めても、お互いの主張が平行線のままの場合は、裁判という形で訴訟を起こすことになります。
示談交渉にしても訴訟にしても、不当解雇だという証拠が大きな武器となります。基本的な書類とともに、多くの物的証拠を残すことで、立場が有利になります。
不当解雇は法律違反であり、場合によっては会社側が刑事責任を問われることもあります。不当解雇になってしまった場合は泣き寝入りするのではなく、諦めずに慰謝料をもらえるように行動してみましょう。