「●●し放題」というサービスは国内に多く存在していますよね。
例えば『通話し放題』、『食べ放題』、『歌いたい放題』など…お得感も同時についてくる点では、非常に重宝されるサービスの一環なのではないでしょうか。
公共交通機関を見渡すと鉄道やバスでは「フリーパス」や「区間乗り放題きっぷ」がありますが、タクシー業界ではなかなか「乗り放題」という訳にはいきません。
しかしながらそんな定説に、いよいよ国が重い腰を上げたようです。
国交省がタクシー定額乗り放題解禁へ調整
国土交通省は12月21日、一定の区域内でのタクシー定額乗り放題を解禁する方向で調整に入りました。
主に適用されるのは鉄道やバスの運行本数が少ない地域や、駅やバス停までの距離が遠い、いわゆる公共交通機関の便が不便な過疎地に限定して行う予定です。
高齢者の移動手段確保につなげる
タクシー定額乗り放題の解禁は、高齢者の移動手段確保につなげるのが主な目的です。
買い物や通院の際にタクシーを都度利用していただくことで、安心安全信頼をタクシー事業者としても獲得したい狙いがあります。
タクシー定額乗り放題の解禁を行うにあたり、制度改正は当然の如く必須となります。
本件に関しては、原則的に現行の運賃制度を用いて、タクシー事業者が定額制を導入できるようにする予定です。
※もちろん利用は高齢者の方だけはありませんのでご安心くださいね。
導入時期は各地に委ねる
注目の導入時期ですが、明確な時期などは決定しておらず、基本的には各地の協議に委ねられることになります。
過疎化の一途を辿る地方公共交通の再編に向け、次期通常国会においても関連法の一括改正案への反映へ提出することを視野に入れている様子が伺えます。
福島県郡山市で先行事例あり
タクシー定額乗り放題の解禁に関して、実は国内で先行事例があります。
東北地方最南端の福島県の中通地方に位置する「郡山市」において2022年春に会員制の定額タクシーをスタートさせていました。
郡山市安積町の『郡山観光交通』では地域の高齢者の方々を中心に通院・お買い物の足として定額タクシーが好評を得ています。郡山市内乗り放題で月額3万3千円ほど。
全国的にも同様の事が言えますが、高齢者ドライバーの事故が増加し、運転免許証の自主返納が求められる中で、高齢者の送迎が多くを占めているのかと思いきや「お子さんの塾や習い事の送迎」にも利用されているとのことで、口コミを通じて会員数が増加しているそうです。
これから~Opinion~
新型コロナウイルス感染拡大から間もなく3年。周囲は「withコロナ」という様相を呈し、経済も上昇傾向にあって首都圏のタクシーはよもやコロナ前の売上水準を超えてくるほどの復活を見せ始めています。
しかしながら、一部の地域ではまだ利用減少が顕著な地域や、回復を見せていてもコロナ禍のダメージが尾を引いてしまっている状況など、全国的にみれば格差は否定できません。
そんな中でのタクシー定額乗り放題の解禁は「空車のタクシーを有効活用する」という大きな狙いが含まれており、コロナ禍により過疎地や一部地域のタクシー利用減少に対しての起爆剤として、少子高齢化の進む国内において大きな期待がかかります。首都圏での定着はなくとも、一部の地方都市や過疎地ではこの先、定額乗り放題制度がアプリ同様の「常識」となれば面白いものです。