タクシーを呼びたいとき、お客様は「電話で呼んで乗るもの」「外で捕まえるもの」「アプリで呼ぶもの」「駅で乗るもの」と時代や世代によって様々な方程式的が成り立っているのかもしれません。
逆にタクシードライバー目線で考えますと、47都道府県も広いわけで、配車方法の偏りや、地理、人口総数や県民性なども地域特性の総合的な部分として着目して営業していかなければならない訳です。
そのためにはより地方もタクシードライバーにとって営業がしやすい環境になっていくと良いのですが、現状は交通インフラだけでなく、IT面も含め整備の真っ只中の状況と言えましょう。
今回のニュースは、地方の地域特性を活かして登場するあるものの話題です。
見出し
岡山県タクシー「両備グループ」が新規タクシー配車アプリ「TAXI.come」を運用開始
岡山県岡山市のタクシー事業者「両備グループ」では、2022年11月24日より誰でも気軽にタクシーを呼べる配車専用アプリ「TAXI.come(タクシードットカム)」の運用を開始しました。
「TAXI.come」は両備タクシーセンターの管轄である岡山市及び倉敷市が手掛ける共同配車との連携を行っております。現在の配車エリアは「岡山市(北区建部町、東区瀬戸町を除く)」、「都窪郡早島町」、「倉敷市」ですが、2023年1月には「津山市」も追加予定となっております。
https://twitter.com/GroupRyobi/status/1595704198665936896
地域密着型を目指す配車アプリ
タクシー配車アプリ「TAXI.come」では、地域のニーズに合ったユーザビリティーの向上を努めています。そのため、将来的なビジョンとして日本の、もとい各地方でのタクシー配車アプリのスタンダードを目指しているとのことです。
・アプリ名称(TAXI.come)の由来
「ドット」の部分は、タクシーの最大の特徴である「ドア・ツー・ドア」をイメージした言葉です。
他の公共交通機関にはできない、「お迎え先のドアからご案内先のドアまで」という、タクシーならではのサービスを表現しています。
そこに「来る(come)」を組み合わせ、「ドア・ツー・ドア」のタクシーがすぐ「来る」アプリになるように、という想いを込めています。
【両備グループ公式ホームページより抜粋】
岡山県の課題に合わせて導入
もともと開発・導入の背景には岡山県の抱える『高齢化』という課題がありました。
実は岡山県の総人口における65歳以上の割合は2020年時点で30.7%となっており、これは全国値の28.7%を上回る数字なのです。
しかしながら、岡山市の交通手段は現在、自動車の利用率は60%超となっており、通勤・通学における自動車の分担率は政令指定都市のなかで第3位という位置付けです。
これは『過度に自家用車に依存している状況』であり、高齢化に向け早急に環境の整備が求められている状況と言えましょう。
さらに、岡山県内では最寄駅から800m、或いはバス停から300m以上離れている「交通不便地域」に約20万人の市民が居住しており、そのうち65歳以上の人口は約5万人にも上ります。
そのため、「交通不便地域」からの移動手段の確保といった課題も浮き彫りになっていました。
高齢者がより使いやすい独自のアプリ
タクシー配車アプリ「TAXI.come」では、様々な年代の方に利用して頂くことを主としております。
しかし、県内の高齢化による交通弱者の増加が進んでいる点や、インフラの撤退等が進む地方ならではの課題や特性が発生する懸念もありました。
そこで「GO」や「Japantaxi」などといった首都圏や地方都市を中心とした既存のタクシー配車アプリではなく、地域特性のライフスタイルに合わせて利用が可能な地域密着型のタクシー配車アプリを独自に開発する運びとなったというわけです。
JVCケンウッドと共同開発
今回の開発は大手電機メーカーの「JVCケンウッド」社と両備グループの「両備タクシーユニット」社と「両備システムズ」社の共同開発によって実現したものです。
JVCケンウッド社はこれまでにも、東京都内の大手タクシー会社「国際自動車(km)」のニューノーマルタクシーに「低濃度オゾン発生器(CAX-DS01)」を搭載したりとタクシー業界への貢献が大きい企業でもあります。
これから~Opinion~
戦国時代と化す配車アプリ市場において、地方都市ならではの地域特性を生かしての参入は、非常に面白い試みだとは思います。
世代や地域によって、タクシーの配車方法は未だもってしてばらつきはあり、アプリの利便性がどこまで浸透してくれるかというのも課題となりそうです。
少子高齢化や人口減少の中で、岡山県のように交通インフラを今後積極的に整備していく地域が増えてくれば、タクシードライバー求人の可能性も今以上に楽しく、可能性が満ちたものになるのではないでしょうか。