お客様ありきの商売となると接遇が絡むのは至極当然。となれば、お客様からの評価というのが、その会社のブランドイメージに色を付けていくと言っても過言ではないでしょう。
タクシー業界も、この20年で「東京オリンピック・パラリンピック」「配車アプリの普及」「コロナ禍」などでお客様に対しての接遇を今一度見直し、運送業だけでなく、接客業としての意識を高める時間になったのではないかと思います。
今回は、タクシードライバーにとっても非常に大切な、お客様目線でのニュースです。
見出し
2021年度タクシー利用者モニター調査発表。評価上昇傾向!
東京のタクシー事業者とタクシードライバーを管轄する「東京タクシーセンター」ではこの度、タクシー利用客のタクシードライバーに対する評価および要望をまとめた「タクシー利用者モニター調査集計報告書」を公表しました。
なお、報告書は昨年2021年度の調査発表となります。
東京特別区が対象
調査は毎年行われており、タクシーの営業指定区域である東京特別区武三交通圏に所属するタクシードライバーの『接客態度』、『地理の知識』といった点の評価及び業務改善と、タクシーを利用するお客様の意識を把握するを狙いがあります。
調査の方法ですが、モニターを200人にはがきとインターネットで委嘱を行い、2021年4月1日から2022年3月31日までの1年間を通じて回答を集めました。
接客態度が改善
今回の「タクシー利用者モニター調査集計報告書」によると、接客態度のカテゴリで「乗車時に挨拶しない」とした回答が法人タクシー、個人タクシーともに前年調査と比べ減少しております。
例えば高齢者や障がい者、子どもへの気遣い、乗降時の停車位置などの気遣い、お客様自身も躊躇いがちな「近距離乗車」際でもタクシードライバーからの丁寧な受け答えが高評価を受けています。
タクシー配車アプリの普及も大きく、『評価がモノを言う』風潮になってきた事の現れではないでしょうか。
「意見・要望」は増加
一方でタクシーの通報件数のうち、乗客からのクレームも含む「意見・要望」は前年比128件増の1267件に増加しました。
内訳は「接客態度関係」が前年比140件増の843件と、接客態度の悪化が目立つ形に。
タクシードライバーの受け答えがフランク過ぎたり、回答が不明朗なケースや、近距離乗車の不機嫌な対応を取られたことなどが悪評価とされていました。
年々利便性が向上するほど、接客態度に関しても利用するお客様もシビアな評価をしますので、しっかりとした『お客様目線の対応』を心がけることが大切と言えましょう。
配車アプリとJPN TAXI普及で「地理」「車両設備」は減少
また、「地理知識関係」が前年比3件増の139件と増加はあったものの大きな変動には至りませんでした。
これには配車アプリの普及により目的地の明確化が進んでいること、カーナビの普及などが挙げられます。
一方で「車両設備関係」が前年比31件減の101件、「運転操作関係」が前年比5件減の79件となり、JPN TAXIの普及や接客態度を含めた「乗り心地の評価」を、お客様が降車後に配車アプリで行う部分などが減少に繋がっているのではないでしょうか。
「正直な感想」として受け止め
意見・要望は即ち「クレーム」という部類に属してしまいますが、もちろん人間同士が応対する以上、発生してしまうのはやむを得ません。
しかし、苦情は起こさないようにするのが鉄則です。
しかし、いずれも真摯に受け止め、サービス向上のためには取り入れるべき内容も必ずや含まれていますので、お客様からの意見=『外から見られる正直な感想』ですので、しっかりと受け止めていきましょう。
タクシー利用料金単価は?
東京特別区武三交通圏のタクシー利用料金の単価は、前年と同様の水準をキープしています。
料金別で見ますと全体の3割ほどが「420円以上740円以下」という回答を占めていました。
続いて「1,000円以上2,000円以下」「2,000円以上5,000円以下」という順になっています。
2022年度はコロナ前の配車回数、日車営収を上回りはじめ、また来月には15年ぶりに運賃が値上げをする予定もあり、来年発表の利用料金単価は少々変動はある可能性があります。
これから~Opinion~
タクシードライバーの接客態度は、確かに苦情の温床にはなっているのは事実です。
考えてみれば運転業務がために旅客業、接客業の中でもお客様に対して背を向けている時間が長いという点、そして一番最初の印象ですべてが決まるという部分につきます。
これらは、タクシードライバーだけでなく、実は自宅に訪問する仕事などでも同様の事が言えます。
お客様は最初の印象で「自分のテリトリーに入る相手がどういう人間か…」というのを判断してしまうものですし、ファーストインパクトが悪いと、それを挽回するのはタクシーのような空間かつ短時間では容易なことではありません。
しかしそれらは、改善が可能なことであり、「気遣い」や「されたら嫌だ」という事をお客様にしなければ、接客態度はおのずと良くなるはずです。
新人ドライバーであれば、右も左もわからないからこそ、「お客様の目線」を大切にして仕事をし、ベテランドライバーであれば長年の癖などでついてしまった接客対応や運転技術を今一度見直してみるのも良い機会ではないかと考えます。