タクシー業界にとっても、他業種にとっても正念場であったこの2年。
コロナ禍を生きる私たちが目指すのは「収束」か「共存」か、まだわかりませんが、いずれにしても正しく付き合っていく必要があるということ。
そしてしっかりと除菌、感染症対策を施した施設や移動手段を利用することである程度予防は可能というデフォルトが形成しつつある昨今です。
そんな中、先月に続いて東京都内のタクシーの明るい話題をお届けします。
見出し
東京都区内タクシー日車営収がコロナ前を上回る!
2022年6月度の東京都内における原価計算対象事業者の輸送実績が発表され、タクシー東京特別区・武三交通圏(対象25社:1,651台)の実働1日1車あたり営業収入(日車営収)はコロナ禍以前の2019年同月に比べ0.7%増の4万9,777円を達成しました。これは前月に比べても1.2ポイントの上昇になります。
なお、コロナ禍の前年同月との比較ともなれば、なんと40.1%増にもなります。(東京ハイヤー・タクシー協会集計)
配車回数も前月から順調に上昇しており、今後も増収が期待されます。
配車回数も1.5倍増
また、先月同様に東京特別区・武三交通圏に所属するタクシー無線13グループの6月配車回数が発表されました。
注目の配車回数は269万4,920回となり、新型コロナウイルス感染拡大前である2019年の同月と比較して54.7%上昇した事が明らかになりました。(前年同月比は57.3%)
日本交通が単独100万回超え
今回も配車数トップは業界最大手の『日本交通』。
前回は94万6,472回を記録しておりましたが、いよいよ今回は101万136回を記録!
コロナ前の2019年と比べると53.8%上昇を記録ており、ついに100万の大台を超えてきました。
東京無線はアプリ「GO」の効果。kmも上昇!
続いて『東京無線共同組合』が55万5,096回でコロナ前の2019年と比べ53.3%上昇となっております。
日本交通と東京無線は共に業界最大手タクシーアプリ『GO』を使用することもあり、アプリ配車でも注文が前年に増して多かったとのことです。タクシードライバーがいかに配車アプリの恩恵を受けたかがわかりますよね。
都内最大級のタクシー配車アプリ『S.RIDE』や自社オリジナルのマッチング配車アプリ『フルクル』を展開する大手四社の国際自動車でも44万1,551回の記録を出し、コロナ前の2019年と比べ25.1%上昇となっております。
考えられる要因
正直なところ、社会情勢を見渡してみても未だにコロナ禍は「収束した」とは言い難いのが現状です。
感染者数が減少し、今度こそと思っていたら…今度は第七波、勘弁してほしいですよね…。
しかしそんな中でもなんとタクシーは躍進しました。その証拠にしっかりとこの度の数字に顕著に出ていますよね。
これは果たしてどのような要因があるのでしょうか?
早すぎた「梅雨明け」
四季折々が織りなすビューティフルハーモニー…日本列島の宿命、それは「梅雨」です。
これはあの開放的な夏を迎えるのに割けて通れない試練かもしれません。あのジメジメ、そして憂鬱な気分にさせる雨雲、洗濯物は乾かない、困ったものです。
通常国内では5月の末から7月中旬あたりにかけて梅雨シーズンは訪れるのですが、今年の関東地方に限っては6月6日頃に梅雨入りし、なんと6月28日に梅雨明けしてしまったのです…(気象庁発表)。
平年に比べて22日も早い梅雨明けで、日本列島も全国的に例年よりもかなり早い時期に梅雨が明けるという異常事態に見舞われてしまいました。
そのため梅雨シーズンは「移動はなるたけ濡れないように」とタクシー利用の需要が増加傾向にある状況の中で、まさかの事態となってしまったわけです。
ゲリラ豪雨に猛暑
しかし、例年通り…例年以上の猛暑によって思わぬ展開となります。
「涼しいタクシーで移動したい!」というお客様の需要が増加しているのです。
またゲリラ豪雨といった突発的な大雨などでも当然ながらタクシーの利用は重宝します。
一過性の雨とは言えど、降り出したらしばらく止まないというデメリットも、タクシー需要とイコールすると皮肉なことにありがたい話となってしまいます。
メディアでもメリットを
普段タクシーのニュースを取り上げる際も、「事故」や「事件」としての扱いが多いテレビメディアでも、先般この夏猛暑におけるタクシーの面白い特集が組まれておりました。
『猛暑でタクシーに乗るお客様が増えている』(タクシードライバー)
『暑くて駅から会社まで歩けないからタクシー乗っちゃいました』(お客様)
このテレビのニュースでは「暑さによって利用客が増加しており、タクシーも捕まりにくい状況です」と紹介しています。
これは昨年より前の段階から、同様のケースでタクシーをチョイ乗りでご利用されるお客様は多くいらっしゃったのですが、今年に限っては天気が良くても…タクシー乗り場にタクシーが停車していないという事態があちこちで発生しているのです。
タクシーアプリのメジャー化
営収上昇の背景はもちろん、気候変動や行動規制緩和といった要因もありますが、もうひとつ考えられるのが「タクシーアプリのメジャー化」が挙げられます。
昨年夏頃からタクシーアプリのコマーシャル効果が顕著であり、今年度に入って多くのお客様がアプリ配車を利用されるようになりました。
今ではスマートフォンのアプリケーションでもお客様がダウンロードされる必須アプリの一つに「タクシー配車アプリ」が入っていると言っても過言ではありません。
- タクシーを気軽に呼ぶことができる
- 配車から到着までのリアルタイムの情報を目で追う事が可能
- お客様は評価が行えるためタクシードライバーも接客対応向上化に繋がる
- 決済もキャッシュレスに対応
- 数日前から15分前までの予約も可能
上記の付加価値も搭載した点が人気を博し、ようやくお客様にも認知がされてきた傾向があります。
国内ではタクシーアプリは「GO」をはじめ、「S.RIDE」、「DiDi」、「Uber taxi」など国内大手企業のグループや連合体から外資系まで幅広くユーザーをカバーしており、今まで以上に若い世代のお客様でもタクシーを呼びやすく、そして利便性の向上が図られました。
ビジネスユーザーからの支持も強いことから、今後タクシーアプリ市場は強固な地盤を築いていくことでしょう。