ガソリンの高騰は国民の生活に大きな打撃を生じています。
元をたどれば、ガソリン=石油ですから、石油(燃料)そのものが高騰しているからに他なりません。
国内のタクシーも現在、ほとんどの車両が石油由来の「LPガス」で走行しています。
となれば煽りを受けるのも至極当然と言えましょう。
今回は国土交通省から発表されたタクシー業者に対する支援策のお話です。
見出し
タクシー事業者を支援!「燃料価格激変緩和対策事業」実施
国土交通省はこの度タクシー事業者に対し、新たな支援制度として「燃料価格激変緩和対策事業」を実施することを公式ホームページにて発表しました。
昨今の高騰する原油価格よってタクシーの運行に欠かせないLPガスの燃料も比例して高騰するなか、支援制度を行うことでタクシーの供給を回復させるための対策として期待されます。
4月28日から募集開始
燃料価格激変緩和対策事業の内容は、LPガスを使用するタクシー事業者に対する支援となります。
対象期間は『2022年1月27日から3月31日』までの間、LPガスを燃料として使用するタクシー事業者となっており、燃料高騰相当分を支援するものです。
国土交通省は、支援を希望するタクシー事業者を4月28日から募集開始しました。
原油が高騰になった理由って?
そもそも、どうして原油が高騰になったのでしょう?
今年2022年に入り、やたらと騒がれていますよね。
原油先物の高騰によってどんな影響があるかは、普段の日常生活で車や石油ストーブなどを使用している方はお分かりだと思いますが、原油が高騰になった理由はなぜなのでしょうか?
地球温暖化防止策
「カーボンニュートラル(温室効果ガスの
原油が高騰し始めた理由としてまず、第一に「地球温暖化防止策」が挙げられます。
原油高騰は『世界中が脱炭素・脱石油へ向けて大きく方向転換をしたことが一因ではないか』と言われています。
主な産油国や産油業者は今、石油の消費量が不透明な状態となっており、その結果「石油採掘への投資」を抑制せざる得ない状態が続いています。
結果として「石油供給量の不足」に陥っていると言えます。
決して「カーボンニュートラル」や「SDGs」を否定する訳では毛頭ありませんが、代償としてガソリンやLPガスなどの共有を行う石油元売へのしわ寄せが大きく回ってきていることは、間違いないようです。
コロナ禍との関係
コロナ禍における、原油高騰の波はまさに観光業界にとっては二重苦と言えます。
空の便やバス、一部の鉄道では、コロナ禍の影響だけでなく、今回の原油高騰によって大きな影響を受けており、対応策を講じています。
…もはや講じざるを得ない状況です。
まず、空の便を見てみましょう。
やはり料金の引き上げが始まっております。
国内線の一部ではありますが、今後の動向に注目が集まります。
日本航空は24日、燃油価格高騰や新型コロナウイルスの感染拡大に伴う旅客の減少で経営環境が厳しさを増していることに伴い、国内線運賃の一部を引き上げると発表した。値上げ幅は大人普通運賃や往復割引が約8%、小児普通運賃や「JALビジネスきっぷ」が約3%など。4月15日の購入分から適用する。
(時事通信『日航、国内線8%値上げ 燃油高騰で、来月15日から』2022年3月24日より抜粋)
バス事業者も燃料費の高騰で全国的に厳しい状況が続きます。
そんな中、地方では岩手県バス協会が、経営に大きな打撃を受けているとして、岩手県に支援を要望しました。
4月28日は、県内のバス会社56社が加盟する県バス協会の本田一彦会長が県庁を訪れ、八重樫幸治副知事に要望書を手渡した。 要望では、乗合バスで燃料費の高騰分や赤字分を補填する支援の実施や、貸切バスへ臨時交付金を活用した助成などを求めている。 県バス協会によると、県内のバス会社では高速バスで約7割、貸切バスで6割から9割売り上げが減っていて、燃料費の高騰が追い打ちをかけているという。
(岩手めんこいテレビ『県バス協会が支援を要望 新型コロナ・燃料高騰で打撃』2022年4月28日より一部抜粋)
地方の一部鉄道会社では、都心部とは違い軽油で走行する「ディーゼル車」というものがあります。
コロナ禍によって利用客減少にプラスしての燃油価格高騰によって深刻なダメージを受けています。
新型コロナの影響で利用客の減少に悩む岡山県内のローカル鉄道は、燃料費のアップというダブルパンチに見舞われ悲鳴をあげています。総社駅と広島県福山市の神辺駅を結ぶ全長41.7キロの井原鉄道。新型コロナの影響で2021年度上半期の利用客数は約44万6000人と過去2番目の少なさとなり、厳しい経営が続いています。そうした中、原油価格の高騰による燃料費アップがさらなる追い打ちをかけています。井原鉄道では、ディーゼル車を走らせていますが、燃料の軽油は、原油価格の高騰を受け2020年に比べ2倍の値段になっているといいます。調達先を変えるなどし、何とかやりくりしているものの、年間約50万リットルの軽油を使う井原鉄道にとって、燃料費のアップは経営に深刻な影響を与えています。
(OHK岡山放送『“新型コロナ”+“燃料費高騰”の二重苦…悲鳴を上げるローカル鉄道 「打開策」とは』2022年2月7日より一部抜粋)
タクシー業界の対応策
ここまで公共交通機関のバス・飛行機・一部の地方鉄道を紹介しました。
それでは、タクシー業界の対応策はどうなっているでしょうか?
東京都は23年ぶりの「賃上げ」
タクシー業界では、この秋に首都東京の23区において15年ぶりとなる運賃改定を行うことを決定しました。
要因は他の公共交通機関同様、コロナ禍の業績回復へ向けての対策と、原油高騰の対応が含まれています。
しかし、近年タクシー業界ではタクシー車両内アクセサリのアップロード化が進んでおり、「安全走行」を行う上で重要な「ドライブレコーダー」「飛沫感染防止対策(ガードや空気清浄機など)」「キャッシュレス端末」といった設備投資を行った結果、タクシー事業者内の費用負担が大きく重なったことも影響しています。
こうした状況で国土交通省から通達された今回の支援制度「燃料価格激変緩和対策事業」は、タクシー事業者にとっては、渡りに船と言えます。
これから~Opinion~
コロナ禍の対策と違い、原油高騰の理由を探りに探れば、根拠を探すという方が酷な気もします。
なぜなら、株価の上昇下降と同じく原油や金の高騰も「後付け」的な理屈が多いからです。
2020年から正解がない中でもがくことが多いですが、これは事業者としては乗り越えなくてはいけない試練なのかもしれません。
タクシードライバーも、雇われているようで、実は個人事業主的な感覚で営業するお仕事ですから、そういった意味では「正解がない中でいかに自分の中で正解を作っていくか」という自問自答とチャレンジが大切になっていきます。
映画「catch me if you can」の中に「クリームのバケツに落ちた2匹のネズミはもがいて、1匹は諦めた瞬間に溺れて死んだが、もう1匹は諦めずに必死でもがいた結果、クリームがバターになり助かった。私は2匹目のネズミだ。」という言葉があります。
どうか正解のないご時世でも、必死にもがいて考えて、失敗してもまた次へと進んでいきましょう。