近年はコロナ禍でなかなか海外旅行へ行く機会が少なくなりました。
2022年現在、渡航禁止ではないものの、往来時に隔離期間があり「3日間の日程」で有休取得しても…その10倍以上の日数を確保しないと行けないのです。
数年前までは信じられない事態です。
さっさと収束して以前のように自由に楽しく往来したいものですよね。
さて、海外旅行に出かける際、そのまま日本円を使って現地で過ごすという事はあり得ないですよね(怪しい土産屋などは別ですが…)。ほとんどの方は現地或いは国内で「日本円を現地通貨に両替」されるかと思います。
帰国時も逆の現象が起きますよね。
その際に重要な情報となるのが「円相場」です。
今この2022年、日本で起こっているのは「急激な円安の流れ」です。今回はその加速する円安と、タクシー業界に及ぼす影響を探っていきます。
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2022年…円安加速!なぜ?
2020年4月20日、東京外国為替市場の円相場は20年ぶりに1ドル129円台となりました。
これにより日本国内では20年ぶりの円安ドル高水準を更新しました。
126円~128円と急激に上昇していった円相場もまもなく、1ドル130円台に迫る勢いです。
財務相や黒田総裁の見解
鈴木財務相や日銀の黒田総裁は、急激な円安をけん制する発言を繰り返しているが、現状流れは止められません。
『円安=負の側面』が注目されやすい中、黒田総裁は4月18日に開かれた衆院決算行政監視委員会において「円安が全体としてプラスという評価を変えたわけではない。だが過度に急激な為替変動は不確実性の高まりを通じて、マイナスに作用することも考慮する必要がある」と述べています。
関係者の間では「1ドル = 130円に届くまで長くはかからない」との見方が広がっています。
家計への影響…スタグフレーション発生も
急速に進む円安は、コロナ禍でインバウンド市場が乏しい近年、大手の輸出産業には大きな恩恵が出る一方で、物価上昇によって生活の圧迫は必須。家計への影響が懸念されます。
景気回復が見込まれない中で物の値段が上昇する懸念があることから、投資家や財界の間では不況時でも継続的にサービスや物の値段が上昇していく『スタグフレーション』が発生するのではという話が出はじめています。
そもそも、円安・円高って?
結論として2022年4月現在、我が国で起きているのは「円安ドル高」という現象です。
円安・円高は、読んで字のごとく「円」つまり「日本円」が安くなる、高くなることを意味します。
仮に1ドルを100円としましょう。その場合の為替ルートである日「1ドル=120円」となれば円安となります。
通常よりもドルが20円高い価格になるので、「円のほうが安い!(日本円の価値が下がる)」という訳です。
円高はその逆で日本円の価値が高くなっている事になります。
ここでも仮に1ドルを100円とした場合、その場合の為替ルートである日「1ドル=82円」となれば18円の円高となります。
よくニュースで言われる「円高ドル安」「円安ドル高」という現象が起きるのはこのことです。
もちろんこれは、米ドルに限った話ではなく、ユーロ、豪ドル、韓国ウォン、中国人民元などの通貨も同様です。
どうして為替が変動する?
為替の変動は、日々変動を繰り返しており、年中無休で変動しています。
FXトレードをされている方であればわかると思いますが、為替は時間帯によって値動きが激しく、例えば日本国内での市場取引が終了しても、時差のあるニューヨーク市場やロンドン市場が開始されればさらに値動きは広がります。
ですのでFXの中長期的なトレーダーは「寝不足に陥る」方が多いのではないでしょうか。
さて、為替のルートは、国の根幹である「金融」「財政」の政策、市場金利、経済動向をはじめ国の通貨の信頼度によっても大きく変動するため、ファンダメンタルズな部分が強いと言えます。
理由は結局「後付け」
しかし、よく考えますと円相場の上昇でも、株価のファンダメンタルズ分析でも、結局終値を伝える際、要因というものは「後付け」の話を伝えているんですよね。
ある程度の経済情勢や社会情勢を鑑みては予測は付くとは言うものの、「〇〇が高気配・期待感で上昇」「新製品発表もっ期待感薄く下落」など…。
できれば「明日は〇〇社が悪材料を出し尽くして上昇しますよ」とニュースでアナリストが伝えていただけたら最高だと常々思いますよね。
記憶に新しい「リーマンショック」
以上のことから、各国では世界規模な恐慌が起こると金融緩和をはじめとする政策を行って通貨の供給量を図ります。
近年ですと2008年9月に発生したリーマンショックがあります。
きっかけはアメリカの投資会社「リーマンブラザーズ」が行っていた低所得者向け「サブプライムローン」が引き金となり同社が破綻に陥りました。
それがきっかけとなって世界的な金融危機が生じたのです。
その際日本はというと…日本円の供給量をほとんど増やさなかったこと、そして国債に各国からお金が集まったこともあり、当時1ドル=80円を下回る“超円高”になってしまったのです。
※「円高」は日本円の株式・国際などの資産に人気が集まる状況で発生するため、諸外国の通貨が日本に集まった結果、円高となりました。
アベノミクスって?
アベノミクス…もう10年も前の話になってしまいましたが、なぜかまだそこまで昔の話のようには感じない単語です。
それは、きっとコロナ禍に全国民に配布されたあの、オシャレなあのマスクが原因でしょう。
(オシャレかどうかは皆さんの価値観に任せます笑)
2012年、第二次安倍政権の際に発表された経済政策「アベノミクス」(三本の矢)の中に「大胆な金融政策」がありました。
当時、後に首相となる安倍晋三自民党総裁が世界各国と同水準の通貨の供給を行うことを発表し、自民党が衆院選勝利後、一気に市場は円安が進行し株価も回復しました。
またアベノミクスでは「デフレからの脱却」として当初から「2%のインフレ対策」も対策として挙げております。
しかしインフレ対策に関して「好ましい長期的な戦略」「評価に値する」と評価がある一方「何を根拠とする2%なのか」「他国よりも低い1%以下に甘んじる」といった意見や実感もあり、10年経過した今でも達成にはまだ程遠いのが現状です。
円安のメリット・デメリット
円安は日本以外の国にお金が集まっている状況で起きます。
メリットは例えば、アメリカの経済が好調で、アメリカの株式が再び買われ始めた場合、ドル高傾向になったことなど…このような影響をきっかけとして、為替が変動します。
そして外国の株式や債券など、海外の資産価値が高くなり、このような状況が発生します。
ここが円安のメリットでしょう。
結果、輸出産業は好調となり、「1ドル110円」「1ドル120」などといった円安ドル高になります。
例えばアメリカから10ドルの商品を輸出したとしましょう。1,000円の売り上げだったものが「1,100円」あるいは「1,200円」となるわけです。
こうなると日経平均株価として上場している企業は軒並み上昇しやすい傾向になる可能性が高いでしょう。
ただし、ここでデメリットが生じます。
円安になると今度は海外から輸入する商品の価値(物価)が上がってしまうのです。
輸出関連の企業銘柄の株価は上昇して業績も向上していく可能性が高いのに対して、輸入関連の企業は逆の現象が起こります。
今現在をもってしても、日本は輸入大国と言われるほど、食料や資源を他国に依存している状況です。
生活を振り返ってもわかるように「小麦粉」や「くだもの」そして「石油関連」は大幅に値上がりしていますよね。
すでに悪性のインフレが国内でも発生しているという事が言えます。
インフレと円
インフレと円安の因果関係をよく言われることがあります。
円安になると、当然ながら海外で日本の製品が安くなり買いやすくなる現象がおきます。
その点、日本は貿易立国なので、国内の自動車メーカーに代表されるように、輸出を行う企業が経済的に大きく業績が向上する現象が起きます。
するとどうでしょう。
従業員のお給料も上がり→商品も売れる=この現象が繰り返される…つまりインフレーション(インフレ)が発生しやすくなるのです。
円とインフレ
ではこの逆であった場合、円安:為替なので、インフレにより商品などの値段が上がると、お金の価値というものは下がります。
500円で購入できていたものが、ある日を境に550円で値上がりしたとしましょう。
日本円の価値は同じ商品を買うためにたくさんのお金を払うと、円そのものの価値は下がっていきます。
円の価値が下がっていくと、外貨交換時の為替ルートでも当然、円は下がる現象に見舞われるため、円安の現象になってしまいます。
タクシー業界にに及ぼす影響は?
さて、経済動向や円安の加速についてお伝えしましたが、生活の中での影響はなんとなくお分かりいただけると思います。
特に所帯を持たれていたり、一人暮らしなどをされている方は尚更と思います。
では、ここはタクシーメディア。タクシー業界に及ぼす影響はどのようなものがあるでしょうか。
石油高騰による燃料費上昇
タクシー業界では、コロナ禍によって各地で様々な影響が出ました。
休業からリスタートを図る企業もありましたが、廃業となってしまったケースも少なからず存在します。
今後ですが、円安が進むことによって輸入産業に及ぼす影響が懸念されます。
となると「石油の高騰」は避けられません。
タクシーはガソリンでは走行しておりませんが、LPガスという石油を資源とした燃料(液化石油ガス)で動いています。
当然ながら現場で起きている現象として「石油高騰による燃料費の上昇」があります。
生活レベルでガソリン代が高騰する中、タクシー事業者の中でもコロナ禍だけでなく、円安の影響があるのは言うまでもありません。
結果として今起きてること
タクシー業界では起きている事として、今注目したい点があります。
今年度秋(2022年度)にも、東京首都圏においてタクシー料金を値上げすることが明らかになりました。
運賃改定はこれまでにも、幾度となく行っていきましたが、それはあくまで「初乗り運賃をキロ数に応じて短縮・引き下げする」というものでした、今回のように運賃そのものが値上げとなるのは2007年以来15年ぶりとのことです。
コロナの影響だけでなく、様々な経済情勢・社会情勢の情念が渦巻く中でタクシー業界は料金値上げという形を「苦渋の決断」として年内に敢行せんとしています。
タクシー就職は景気に左右されない
ここで振り返ってみると、前回の料金値上げの年は2007年。
つまりリーマンショックの前年になります。
リーマンショックの際、日本国内でも多くの失業者が発生しました。
特に有名だったのが、「派遣切り」という事態があちこちで発生しましたよね。
タクシー業界はどうだったかというと、不景気の煽りを受けるのかと思いきや、求人そのものは受け皿的な役割を満たし、セカンドキャリアを支援する形となりました。
その結果タクシー業界全体で今後の在るべき姿を改めて模索する機会となったのです。
タクシー業界への就職は、景気に左右されないのです。
当時からタクシーは人材不足
2008年~2009年当時も景気悪化とは裏腹に東京都内のタクシー業界は人材不足という状況でした。
当時立ち上げたばかりであったタクシー専門求人サイト「転職道」などでは、タクシードライバーへの転職相談が多く寄せられ、数多くの人材が都内をはじめ近郊のタクシー会社へと転職を果たしました。
タクシー業界はもともと2002年の規制緩和をきっかけに、法人タクシー会社が増加しておりました。
現在ではあまり聞くことは減りましたが、エンドユーザーからはタクシー業界に対してのイメージが非常に悪く、「過剰に勤務される」「お客様とのトラブルが多発するのでは」といった心配ごとも多かったのも事実です。
そのため専門カウンセラーによる相談を当時から開始し、安心してタクシー業界へ転職できるようサポートを行っておりました。
どんな時代でもブレずに!
リーマンショックからまもなく15年経過し、コロナ禍という特殊な事態を経てこの「円安ドル高」という事態を迎えている国内ですが、やはりタクシー業界は真面目に働く人材を欲しがっております。
東京都内の売り上げもようやく少しずつ回復傾向になってきた今、景気にはさして左右はされないタクシーは勤務20~30年組どころか40年以上も経験している方も多くいらっしゃるのも事実。
そういった大ベテランの生き字引と言える方はコロナ禍、リーマンショックはもちろん、バブル崩壊だって経験…乗り越えています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
円安でも円高でも、生活水準に影響を及ぼそうが…タクシーを必要とする人はシーンによって必ずいらっしゃいます。
問題はその瞬間がいつなのかをしっかりと考えることではないでしょうか。
正直コロナ禍はイレギュラーと考えても、お客様になった気持ちになって「どんな時にタクシーを乗りたい?」「どんな場面でタクシーを呼びたい?」と考えて営業すれば、きっといかなる時代でもブレずに乗り越えていけることでしょう。