路線バス・鉄道(在来線)・そしてタクシー。
我々が普段使用する公共交通機関の運賃表は、税率改定や数年に一度などの事業者からの見直しでもない限り常日頃で変動することはありません。
(路線バスは一部地域などで土日子供運賃割引などはありますが…)
例えばスーパーマーケットの野菜売り場や鮮魚・食肉売り場が夕方に行う「タイムセール」「おつおめ品」みたいに、「もう夜も遅いのでこれから乗車の方はお安くしますー!」なんてサービスが今まであったでしょうか?
それらを今まさに、タクシー業界では…行おうとしています…!!
タクシーの変動運賃制(ダイナミックプライシング)、いよいよ実証実験開始!
国土交通省は、人出や天候よってタクシーの利用運賃を変動をさせる「ダイナミック・プライシング」の実証実験をいよいよ本年度2021年の10月から11月にかけて実施することとなりました。
今後は、「利便性の向上」へ繋がることをテーマに試験を重ね、本格導入へ向けて検討に入るとのことです。
早期実現に向けて
このタクシーの変動運賃(ダイナミック・プライシング)は、年始から河野太郎規制改革担当大臣が民放の報道番組内においてタクシーの料金規制緩和について意欲を示したことが話題となり、あれよあれよという間に5月には国土交通省より「導入へ向けて検討段階に入っている」という声が上がりました。
公共交通機関における値段の改定は一筋縄ではいかない中で、変動運賃(ダイナミック・プライシング)に関しては年内に実証実験を行い、導入へというスピード感あふれる動きとなっております。
注目の実験内容
現在、国土交通省では変動運賃(ダイナミック・プライシング)実験に参加するタクシー事業者を募集している段階とのことで、実証実験を行う地域やタクシー事業者の詳細など後日改めて発表されます。
いずれにしてもあと1か月ほどでまたタクシーの新たなサービスの実証実験が行われるとあって、利用するお客様側とタクシードライバー側双方の視点も気になりますよね。
では実際に、どんな実験を行うのでしょうか?
今回の実験ですが、変動運賃(ダイナミック・プライシング)の注意事項としてお客様がタクシーアプリなどで事前に予約を行う必要性が出てきます。
▼お客様が行う手順として…
①タクシー事業者側は天候や時間帯・人出などによって範囲内で設定したタクシー運賃を専用アプリで確認し
②目的地までのタクシー運賃を確認
③タクシーに乗るかどうか判断以上のような工程を要するため、原則として「流し営業」での変動運賃(ダイナミック・プライシング)は対象にならないとのことです。
また、各地域毎に決められた運賃の上限より「2割増」、下限より「1割引」の範囲でタクシー事業者が料金を自由に設定可能となっており、最も高い運賃体系をとるタクシー事業者の場合ですと最大で16%の割引が可能となっております。
※例えば「東京特別区・武蔵野三鷹地区」の場合ですと、現在の初乗り運賃「390円から420円」→「351円から504円」の範囲内で価格の上下設定が可能となります。
これから~Opinion~
コロナ禍の新たなアプローチ…交通業界のカンフル剤となるのか注目が集まる事象だけに、実証実験と早期実現に向けて、行政も早い段階から段取りが進んいったように感じます。
公共交通機関においては、実を言うと高速バスや航空業界、新幹線などでは比較的早い段階で変動運賃(ダイナミック・プライシング)は行われていたので、結果論としてはコロナ禍云々より、『視点をほんの少しずらした』という解釈が正しいかもしれません。
ただ在来線や路線バス、タクシーは「長距離移動の需要が少ない」分野であったため、むやみに変動するにもなかなか受け入れが難しかったというのが現状ではないでしょうか。(回数券はまた別の話ですが…)
ことタクシーにおいては、「雨の日に限ってなかなか捕まらない」というお客様からの声も多いのも事実、そういった天候や人の流れ、曜日特性などにも応じて変更していけばタクシーの利用も極端なものではなく、バランスが整い、タクシードライバーの負担も減っていきつつもお給料などに反映されるような気がします。
タクシー業界はもちろんのこと、国土交通省の動きにも注目です。