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東京五輪開催でハイヤー人手不足!タクシーに協力要請

東京五輪開催でハイヤー人手不足!タクシーに協力要請

いよいよ幕開けとなりました東京オリンピック・パラリンピック。
7月23日(金)、先駆けて東京オリンピックの開会式が国立競技場で行われました。

新型コロナウイルス感染拡大防止により政府の緊急事態宣言発令中の東京都は、無観客で開会式をはじめ、オリンピックの競技を行う事を決定しておりますが、このコロナ禍でインバウンドが期待…できない状況の中、ある事情でハイヤー・タクシー業界が思わぬ事態となっています。

東京五輪開催でハイヤー人手不足!タクシーに協力要請

東京オリンピック・パラリンピックで海外から訪れる大会関係者の輸送手段として、東京都内などを中心にタクシーの使用が始まりました。

実は本来ですと、この役目は「ハイヤー」がすべてを担う予定だったのですが、東京オリンピック・パラリンピックのプレイブックに記載の「大会専用借上げタクシー(TCTサービス)」と呼ばれる方式を取り、特例措置としてタクシーに協力を要請する形になったということです。

タクシー車両は主にスポンサー企業や報道機関などの大会関係者を対象としており、送迎の配車を受けると通常営業中のタクシー車両のフロントガラスに「専用ハイヤー」と記された紙を掲示し指定された場所へ送迎を行います。

そして大会関係者を目的地までお送りした後は、再び通常のタクシーの営業に戻って一般のお客様をお乗せする仕組みとなっています。
当然ながらその間に換気と車内の消毒を徹底して行います。

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観光客ではなく関係者の輸送

日本政府は今回、「バブル方式」(海外からのオリンピック参加選手や大会関係者を一般市民と接触させない)を採用し、空港から大会本部や会場までの移動を専用のハイヤーやバスで移動するという仕組みを取っていました。
※入国後14日間は公共交通機関の利用を禁止ですから少々かわいそうにも思いますが…。

しかし、ハイヤー乗務員・ハイヤー車両が不足となったことから、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会はタクシーをハイヤーとして活用できるよう国土交通省特例措置を基にタクシー業界へ要請しました。

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当初コロナ禍に陥る前は、東京のタクシーはオリンピックによって爆発的に需要が高まると言われてきた経緯があります。
ですがコロナ禍以降は入国制限などがあり、需要復活の糸口がつかみかけては…ここに来て大本番の東京オリンピック・パラリンピックは無観客開催というのは当然ながら打撃がないはずがありません。
もうインバウンド現象など死語ではないかと思われた矢先に発生した、まさかの『特化した需要が生んだ』人手不足という事態。

世界中から訪れる「観光客」の利用は今現在、途絶えているのが正直なところです。
ところが東京オリンピック・パラリンピックの開催によって世界中から訪れる「大会関係者」「メディア関係者」の移動における需要が多発しているという事態に、ハイヤー・タクシー事業者は対応を迫られているという状況になっています。

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感染防止対策をアピール

国土交通省によると、関東の5都県の約410事業者が9月8日までの開催期間内で送迎の申請を行っているとのことです。

タクシーは新型コロナウイルス感染拡大が大きく騒がれた昨年2020年春から今日まで、止まることなく感染拡大防止対策を行ってきた経緯があり、当初は「密になって危ないのでは?」と根拠もない噂が立ったこともありました。
しかし、車内の空気清浄・換気・アルコールなどによる消毒・除菌の徹底を敢行したことによって大きく見直されました。

そして昨今、大手タクシー会社などが発表した「ニューノーマルタクシー」の登場も注目を浴び、車内環境のモニター表示や飛沫防止ボードの強化、キャッシュレス決済などと、目に見える感染防止対策のアップデートによって、タクシーの安全性・信頼性の向上が図られています。
国内外のお客様に感染防止対策を施した安心で快適なタクシーをアピールする良い機会と言えましょう。

これらが生じてタクシーへの協力要請に白羽の矢が立ったのかもしれません。

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現場から見直しの声もあった

タクシードライバーにとって、渡りに船とも言える今回の大会関係者の送迎の協力要請ですが、一方でタクシードライバーの労働組合「全国自動車交通労働組合総連合会」は協力要請に応じた際、現状の運用面では感染対策に懸念があり、感染拡大の恐れがあるとして、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会などに見直しを求めたのも事実です。

ニューノーマルタクシーを筆頭とした感染防止対策を施したタクシーが活躍する中、まだ設置が間に合っていない一部の車両があることを理由に「タクシードライバーや関係者送迎の後に乗車する一般客に極めて高い感染の危険性が生じることは明らかだ。」として、見直しを求めています。

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これから~Opinion~

東京オリンピックの開会式をテレビ観戦し思ったのは、「タクシー業界もタクシーに携わるすべての人も、この東京大会に向けて何年も前から尽力してきた」ということです。

新型コロナウイルス感染拡大さえなければと思うと心の底から悔しい気持ちになり、胸が締め付けられる思いでした。この大会で観戦や観光に訪れた世界中のお客様や大会関係者、日本中の人々がタクシーを利用して大きな需要拡大と経済面の効果を期待していただけに、悔しくてなりませんでした。

ハイヤー乗務員の不足は大会の少し前に現場の方にお話しは聞いていたので、少なからず嬉しい誤算ではありましたが、それでも日本の交通網はタクシーだけでなく、安全性について今現在も大きな課題に直面しているのは変わりありません。アフターコロナに期待するのも大切ですが、新しくなりつつある生活習慣の中で、信頼という基盤を節目節目で着実に作っていくことがこの先求められるのではないでしょうか。
ただでさえ、多様化が進む21世紀です。ハイヤーもそうですが、タクシーをもっと利用して頂けるように、そして“タクシードライバー”というお仕事にもっと魅力を感じていただけるように、東京オリンピック・パラリンピック後も引き続きタクシーメディアを通じて発信していけたらと思います。

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