この記事を読んで分かること
・バス運転手の年収
この記事は8分で読み終わります
日本交通グループに1年勤務、DSP(ディスパッチャー日本交通タクシー乗り場の管理)・新卒採用担当(新卒採用での説明会)の業務を行っていました。業界の実務経験を経た説得力ある記事作りに定評があります。
・バス運転手の収入が知りたい!
・バス運転手の仕事って大変なのかな…?
バス運転手の仕事に興味がある方の中には、このように思っている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
交通手段の一つとして、人々の生活に欠かせない存在であるバス。しかし、実際の働き方などはイメージしにくいですよね。
そこでこの記事では、バスドライバーの収入や仕事について、同じ業種である「ハイヤー運転手」と比較しながらご紹介します。
具体的な内容は以下の通りです。
・年収の違い
・仕事内容の違い
・向いている人の違い
・まとめ
ハイヤー運転手と比較することで、同じ業種の中でもバス運転手は収入が得やすいのか、働きやすいのか分かりやすくなるはずです。
また、転職ではさまざまな職種を比較し、自分に合った転職先を見つけることが成功の秘訣でもあります。
現在バス運転手への転職を考えている方は、ぜひ最後までご覧いただき、バス運転手が本当に自分に合った職業なのか検討してみてください。
見出し
バスの年収VSハイヤーの年収比較
まずは年収についてです。
年収は転職の際に最も気になるポイントの1つですよね。
・バス運転手の年収
・ハイヤー運転手の年収
それぞれどれくらいの差があるのか比較してみましょう。
バス運転手の年収
バス運転手の平均年収は約466万円です(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より)。
一方、日本人の平均年収は436万円。バス運転手の平均年収の方が、日本人の年収より30万円ほど高くなっています。
つまり、日本の職業の中でバス運転手は収入が多い傾向があるようです。
また、バス運転手の年収には「働く会社の規模」「年齢」「地域」が関係しています。
まず会社の規模による年収の違いは以下の表の通りです。
企業規模(人数) | 年収 | 月収 | ボーナス |
①10〜99人 | 約405万円 | 約31万円 | 約32万円 |
②100〜999人 | 約422万円 | 約30万円 | 約59万円 |
③1000人以上 | 約573万円 | 約38万円 | 約106万円 |
この表から、企業規模が大きくなるほど年収が高くなる傾向があることがわかりますね。特にボーナスは、①②③の順におよそ倍ずつ増えています。
つぎに、年齢による年収の違いは以下の通りです。
年齢(男性) | 年収 | 月収 | ボーナス |
20~24歳 | 約358万円 | 約26万円 | 約48万円 |
25~29歳 | 約419万円 | 約30万円 | 約55万円 |
30~34歳 | 約449万円 | 約31万円 | 約72万円 |
35~39歳 | 約444万円 | 約32万円 | 約64万円 |
40~44歳 | 約482万円 | 約34万円 | 約76万円 |
45~49歳 | 約504万円 | 約35万円 | 約81万円 |
50~54歳 | 約522万円 | 約37万円 | 約81万円 |
55~59歳 | 約505万円 | 約36万円 | 約77万円 |
60~64歳 | 約368万円 | 約27万円 | 約40万円 |
65~69歳 | 約303万円 | 約23万円 | 約21万円 |
平均 | 約468万円 | 約33万円 | 約69万円 |
この表から、バス運転手は年齢が上がるほど収入が増えていることがわかります。これは、バス運転手は一般的な会社員と同様に、スキルや勤続年数が収入に反映されるからです。
60歳を超えると年収が下がるのは、比較的給与が低めの送迎バスや路線バスで働くことが多いからでしょう。高速バスや観光バスでは、安全のために60歳以上の高齢者を採用していません。
バス運転手は長く勤めるほど収入が上がり、安定した給与が得られます。ただし、長く勤めること以外に給与を上げる手段があまりないため、より収入を得たい人にとっては物足りなく感じてしまうかもしれません。
では最後に、地域による年収の差を確認しましょう。
年収 | 月収 | ボーナス | |
神奈川県 | 約632万円 | 約44万円 | 約110万円 |
北海道 | 約268万円 | 約22万円 | 約3万円 |
もっとも年収が高いのは神奈川県、最も年収が低いのは北海道。年収ではおよそ364万円もの差が見られます。
これほどの差が生じるのは、人口や観光スポットの多さ、自家用車の保有台数などが関係しているからです。
つまり、人口が多く観光客もたくさん訪れ、自家用車よりも公共交通機関の利用率が高い都市部ほど、より多くの収入が得られる傾向があると考えられます。
ハイヤー運転手の年収
参考:国際自動車株式会社
業界トップクラスの規模を誇る会社「国際自動車(kmタクシー)」によると、ハイヤー運転手の平均年収は約500万円とのこと。バス運転手よりも高収入を得られるようです。
なお、ハイヤー運転手の給与形態は以下2パターンがあります。
①自社が固定給を定める:「固定給+諸手当」のケースが多い
②契約時に交渉する:距離に応じて給与が上がる「距離換算型」や「固定給」などさまざま
新人ハイヤーには、①の会社が定めた固定給が給与形態として採用されます。経験を積み、顧客と直接契約を結べるようになると②のパターンが適用され、契約時に給与交渉することが可能です。
日本全体のハイヤー運転手に関する正確なデータはみつかりませんでしたが、都心部では700万円以上、トップドライバーになると1000万円を超えることもあり、地方よりも都心部の方が稼ぎやすい傾向があるようです。
なお、勤続年数による年収の違いは以下の表の通りです。
勤続年数 | 年収 |
1年目 | 約400万円 |
2年目 | 約472万円 |
3年目 | 約485万円 |
4年目 | 約490万円 |
5年目 | 約504万円 |
※国際自動車(kmタクシー)の求人採用サイトをもとに作成
この表からは、ハイヤー運転手は勤続年数が長くなるにつれ、着実に年収がアップしていることがわかります。
また、年収アップは5年間で100万円とかなりいいペース。これは固定給や一定の給与が保証される「最低保障給制」が設けられている会社が多いからです。未経験からでも安心して始められますね。
なおハイヤー運転手は、タクシー運転手を経験した後になることができる職業です。ハイヤー運転手はタクシー運転手よりも高度な運転技術や接客が求められます。その分給与も高く、安定した収入が得られるようです。
また、バスドライバーの平均年収約466万円と比較しても、ハイヤードライバーの方が年収が高く、かつ安定している傾向があると判断できます。
バス運転手VSハイヤー仕事内容の違い
次は仕事内容の違いを見てみましょう。
・バス運転手の仕事内容
・ハイヤー運転手の仕事内容
1つずつご紹介します。
バス運転手の仕事内容
バス運転手の仕事内容は、あらかじめ決められたルート・時刻の通りにバスを運転し、乗客を目的地まで送り届けることです。
そして、バス運転手の仕事内容は以下の4つに分類されます。
・路線バス
・観光バス
・送迎バス
・高速バス
「路線バス」は、日常生活に最も身近なバス。通勤・通学・通院などに利用されています。決められたルートを通って時間通りにバス停に到着し、乗客をバス停からバス停まで運ぶのが仕事です。
路線バスの運転手は勤務時間が一定のため、生活リズムが安定しやすいのがメリット。しかし、時間通りにバスを運行しなければならないプレッシャーや、シフトによっては拘束時間が長いのが大きなデメリットです。
「観光バス」は、主に観光を目的とした乗客の交通手段として利用されるバスです。乗客を乗せさまざまな観光スポットを巡るため、観光や旅行が好きな人に向いています。
ただし、観光客の予定に合わせて運行するため早朝出勤や夜遅くまで勤務することがあります。急に仕事が入ったり、乗客の都合で仕事がキャンセルになったりすることも。生活リズムは乱れがちです。また、閑散期と繁忙期によって収入に差が見られます。
「送迎バス」は、学校やスイミングスクールなどさまざまな場面で送迎を行うバスです。決まった時間に送迎を行うため、ライフワークバランスが整いやすいのがメリット。
しかし走行距離や勤務時間が短めな分、収入は控えめです。
「高速バス」は主に高速道路を走り、都市と都市をつなぐバスです。移動距離が長く、走行距離に応じて収入がアップします。
ただし、長時間運転することが多く夜勤もあるため、他のバス運転手よりも体力が必要です。
このように、バス運転手の仕事にはさまざまな種類があります。生活リズム、収入面、体力面などを考慮して選択するといいでしょう。
ハイヤー運転手の仕事内容
ハイヤーの仕事は、利用者を目的地まで送り迎えすることです。しかし、ただ送り迎えするだけではなく、一流ホテルマン以上のホスピタリティが求められます。
たとえば、車内で快適に過ごしてもらうため車内の温度は適温にし、煙草の匂いは付いていないか、運転手自身の身だしなみや言葉使いなどにも気を使わなければなりません。
また、ハイヤーは完全予約制です。予約が入った時のみ勤務し、バス運転手と同様に1日のスケジュールは決まっています。
そして、ハイヤー運転手になりたての頃は1日または数日間など、単発的に仕事が入ることが多いですが、サービスに満足してもらえると専属運転手として指名されます。
政治家や経営者などのVIPの利用者が多いため、趣味嗜好を把握した音楽やラジオ、会話の内容など、これまで以上に上質なホスピタリティを提供しなければなりません。「この人の代わりはいない」と思ってもらえるようなサービスを提供するプロ意識が大切です。
ちなみに、ハイヤーはVIPを乗せることが多いため、運転する車は高級車。車好きな人にとって高級車を運転できるのは嬉しいメリットですね。
バス運転手とハイヤー向いている人の違い
では最後に、
・バス運転手に向いている人
・ハイヤー運転手に向いている人
それぞれの違いを確認しましょう。
バス運転手に向いている人
バス運転手に向いている人は以下のような人です。
・目配りができる人
・時間を厳守できる人
・冷静さをたもてる人
バスは普通車よりも大きな車です。バスの中には全長約12mになるものもあり、大きい分運転技術が必要になります。対向車との距離感やサイドミラー・バックミラーを確認するなど、安全運転を意識した目配りが重要になります。
また、バスは時刻表通りに運行しなければなりません。少しでも遅れると、多くの乗客に迷惑がかかってしまいます。そのため、時間にルーズな人はバス運転手に向いていないでしょう。
ただし、帰宅ラッシュや道路工事などで道が混んでいると、どうしても時間通りに到着できないことがあります。そんなとき焦って早く到着しようとすれば、普段よりも危険な運転をしてしまうかもしれません。
時間通りに到着できなくても「遅れているのは仕方のないことだ」と冷静に考え、常に安全運転を忘れない心が大切です。
ハイヤー運転手に向いている人
ハイヤー運転手に向いている人は以下のような人です。
・時間を厳守できる人
・コミュニケーションが好きな人
・サービス精神があり、顧客に尽くせる人
バス運転手と同様、ハイヤーの運転手も時間を厳守することが重要です。
特にハイヤー運転手は利用客との信頼関係がとても大切。道路の混雑状況なども事前にチェックし、遅れることが予想される場合は早めに出発する、いつもと違うルートを用意するなど工夫しなければなりません。
期待を裏切らないことは、顧客満足度の向上や自分自身のやりがいになるだけでなく収入にもつながります。
また、バスよりも利用客と近い距離感で接するため、コミュニケーションも重要になります。好みの話題で楽しい時間を提供できれば、専属ドライバーとして重宝してもらえるでしょう。
そして、ハイヤードライバーは送迎だけではなく、車内を利用客好みの香りにしたり、利用客好みのラジオや音楽をかけるなど、細部までゆき届いたサービスを提供します。
こうして利用客に満足してもらうことにやりがいを感じられるようなサービス精神がある人は、ハイヤー運転手に向いているといえるでしょう。
まとめ
では最後に、この記事でご紹介した内容をまとめます。
バス運転手とタクシー運転手の平均年収の違いは以下の通りです。
・バス運転手:約466万円
・ハイヤー運転手:約500万円
バス運転手よりもハイヤー運転手の方が高収入のようですね。
また、バス運転手とハイヤー運転手の仕事内容の違いは以下の通りです。
【バスの仕事内容】
・決められたルート・時刻の通りにバスを運転し、乗客を目的地まで送り届ける。
・路線バス・観光バス・送迎バス・高速バスの4種類に分類される。
路線バス:決められたルートに沿って時間通りに乗客をバス停からバス停まで運ぶ
観光バス:乗客を乗せさまざまな観光スポットを巡る
送迎バス:学校やスイミングスクールなどさまざまな場面で送迎を行う
高速バス:主に高速道路を走り、都市と都市をつなぐ
【ハイヤーの仕事内容】
・利用者の送り迎えをする。
・ただ送り迎えするだけではなく、一流ホテルマン以上のホスピタリティが求められる。
・完全予約制で予約が入った時のみ勤務し、1日のスケジュールは決まっている。
・ハイヤー運転手になりたての頃は単発的に仕事が入ることが多い。
・サービスに満足してもらえると専属運転手として指名される。
・利用者にはVIPが多いため、高級車を運転できる。
そして、バス運転手・ハイヤー運転手それぞれに向いているのは以下のような人です。
【バス運転手に向いている人】
・目配りができる人
・時間を厳守できる人
・冷静さをたもてる人
【ハイヤー運転手に向いている人】
・時間を厳守できる人
・コミュニケーションが好きな人
・サービス精神があり、顧客に尽くせる人
バス運転手もハイヤー運転手も車を運転する仕事ですが、仕事内容や向き不向きなどは違います。
転職では、さまざまな職種を比較しながら自分に合った転職先を探すことが大切です。
現在バス運転手への転職を考えている方は、この記事でご紹介した内容を踏まえ、バス運転手の仕事が自分に合っているのかじっくりと考えてみてはいかがでしょうか。
転職道.comでは、タクシー会社の求人案件を豊富に取り扱っています。
無料の転職相談を利用すると、自分に合った求人を紹介してくれたり、代わりに企業に応募をしてくれたりします。
利用者満足度が非常に高いサービスなので、タクシー業界への転職を考えている方は利用してみてはいかがでしょうか。
日本交通グループに1年勤務、DSP(ディスパッチャー日本交通タクシー乗り場の管理)・新卒採用担当(新卒採用での説明会)の業務を行っていました。業界の実務経験を経た説得力ある記事作りに定評があります。