タクシー車両は数多くの車種が存在します。
この5年くらいで首都圏のタクシー車両は瞬く間に「JPN TAXI」への進行が進みました。バリアフリー面や乗車時の利便性に特化した次世代型タクシーです。ただ国内のタクシー車両はまだそれ以外にもたくさん走っていますし、ニーズによって活躍の場を広げております。
今回、あるタクシー車両が生産終了となるニュースが飛び込んできました。
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UDタクシーの先駆け「日産NV200タクシー」が生産終了へ
日産自動車のタクシー車両『NV200タクシー』が2021年3月に生産を終了することが明らかになりました。
発売時点の車種名は『NV200バネットタクシー)』。
元々は2009年に発売された商用車『NV200』をベースに開発された、言わばタクシー仕様の車両です。
JPN TAXI登場の流れを受け
『NV200』そのものは発売から10年近く経過しており、その間マイナーチェンジ等も行っており、今後も商用車に限っては生産を継続する見込みではあるものの、タクシー仕様車に関しては生産終了という運びになりました。
販売メーカーによれば今回のタクシー仕様車の生産終了は「ラインナップを最適化する観点から」とのこと。
実際のところは「ユニバーサルデザインタクシー(UDタクシー)の先駆けとして他のタクシー車両と大きく区別化が図られ売上も一定数保ってはいたものの、2017年頃にUD対応の次世代型タクシー「JPN TAXI」が登場してからは風向きが変わってしまったのが大方の筋でしょう。
さらにここに来て、コロナ禍の煽りで稼働率が当初例年に比べ減少傾向であった際、減車を強いられた中でJPN TAXIやセダン系などの即戦力車両が優遇されてしまったのが痛手とも言えましょう。
メリットも多かったが…
そんな日産の『NV200』ですが、メリットももちろんあるのをご存じでしょうか?
UDタクシーという側面はもちろん、車高の高さから、景色も良いことが特徴でしょう。
実際に乗車させていただきましたが、後部座席も広く、そして助手席に乗車の際も、通常よりも高い視点で景色を見れるのでお得感もあります。
しかもタクシー料金は通常と同じなので、『NV200』に当たった日はラッキーですよ!
もちろん、大人数やお身体の不自由な方をお乗せするのに適している車両ですので、用途に合わせて優先的にタクシー会社は配車や営業を行っています。(予約も同様です)
UD(ユニバーサルデザイン)研修って?
ここでユニバーサルドライバー研修(以下:UD研修)について少し触れてみましょう。
UD研修とは、 一般財団法人全国福祉輸送サービス協会及び一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会が運営するバリアフリー研修推進実行委員会が開発・推進している、タクシードライバーの『接遇向上』を目的とした、お客様との円滑なコミュニケーションのスキル研修です。
東京特別区のタクシードライバーは、UD研修を修了すると東京タクシーセンターより『講習修了証』が付与されます(上記写真)。
タクシードライバーの介助の向上を目指し、タクシー事業者団体が業界を挙げて実施しています。東京特別区では全乗務員必須となっております。
研修では主に『車いすの取り扱い』、『乗降時の介助方法』などについて学ぶことができます。専任講師の指導の下、丸一日(7時間)かけて研修を行います。
また、ユニバーサルデザインタクシーの特徴は以下の通りです。
- 縦横共にゆとりのある車内空間
- 握りやすい乗降用手すり
- スライドドアの開閉に連動するステップを装備した乗降口
- 車いすのまま乗車可能なほどのスペース
- 大きな荷物も収納可能
以上のようにUDタクシーは、一般的な利用はもちろん、高齢の方や、お身体の不自由な方、大きな荷物を持った方、妊娠中の方など、あらゆる場面でも利用しやすいタクシー車両として活躍の場を広げているのも事実です。
これから~Opinion~
時代背景と、社会情勢の中で何分「致し方ない」部分も否めない今回の『NV200タクシー生産終了』のニュースですが。このタクシー車両の意義、役割は非常に大きいのは間違いありません。
UDタクシー面だけでなく、大勢のお客様が乗車できるメリットは他のタクシーにはない魅力でしょう。
確かにコロナ禍でタクシー業界は「減車」を強いられた時期もあり、世の中を見れば「密回避」という事も不必要論に拍車をかけているのかもしれませんが、何か視点を変えれば、非常に活躍できそうな車両ではないかと思います。
認知の少なさもあり、「乗車時の料金は高額なのではないか」というイメージがあり、手を上げにくいという現場の声もあるようですが、通常タクシーと同等料金というお得感をもっと知ってもらえたら良いのではないでしょうか。
1~2人の乗車だとしてもかなりの密回避が出来る車両ですし、車高の高さで景色も抜群。
そしてバリアフリータクシーのパイオニアとしても、まだまだJPN TAXIやその他のタクシー車両と共存共栄で活躍してほしいものです。