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この一年で生活様式は一変…2021年以降のタクシー業界はどうなる??
激動の2020年、新型コロナウイルスの脅威から1年が経ちました。
この1年で私たちの生活様式は「密回避」「換気」「マスク着用」「アルコール消毒必須」など…大きく変わりました。日本はもちろん、世界ではまだ猛威を振るっているのが現状です。
ですが当然、あの頃まだ朧気であった希望の光もようやくワクチンの開発・接種が段階的に開始したことによって見え始めてきたのではないでしょうか。
タクシー業界も含め、今まで「商売」として成り立っていた事業主やそれらに雇用する方々にとっても大きな転換期となったのではないかと思います。
日本政府はこの度、新型コロナウイルスの緊急事態宣言解除を2021年3月21日に行うことについて、諮問委員会が合意したと発表しました。
まもなく解除を迎える2度目の緊急事態宣言。タクシー業界、今後どうなるのでしょうか?
前回の緊急事態宣言時を振り返る
政府はおろか、一般庶民も未知も、そして頼みの綱である医療関係者すらも「未知」と言える新型コロナウイルスの猛威に、成す術がなくただ出来ることを模索する日々でした。
ただわかっていたのは「今までの日常を変えること」。そして徹底した感染防止対策でしょう。
タクシー業界も当初は「密閉空間なので感染率が高い」と世間からバッシングを受けていました。
しかし、いち早く感染防止対策を講じたのをきっかけに、実は公共交通機関の中では他社との飛沫感染が圧倒的に防げる乗り物であることが見直されたのが印象的でした。
各社によって対応は様々
タクシー会社も対応に追われました。
当時休業や減車を行いながらも、今日までタクシー営業を継続している企業もあれば、残念ながら会社の体力的に限界もあり廃業を余儀なくされてしまった会社。
そして従業員の雇用を必死で守った会社、一斉解雇など当時ニュースとして大きな話題にもなりました。(現在は事業再開を果たしております。)
タクシー会社が行った緊急事態宣言下、およびコロナ禍における対応は主に以下の通りです。
- タクシードライバーの健康管理
- タクシードライバーのマスク着用・消毒の徹底
- タクシー車両の消毒
- 感染防止対策シートの導入
- 車内アルコールスプレー(又はそれに準ずる消毒液)の設置
- 徹底した換気
- 車内決済時のキャッシュレス推奨
など、これらは今回のコロナ禍における生活様式の中でタクシー営業と合致する点が非常に多く、返って二種旅客業であるタクシーの安全性が浮き彫りとなったきっかけにもなりました。
回復兆候は夏季頃
2020年の第1回目の緊急事態宣言が終了し、感染者も全国的に大幅減少…街にも少しずつ活気が戻ってきた頃、ようやく首都圏のタクシー会社の営業収入も回復傾向に転じる会社が出始めてきました。
企業のリモートワーク・テレワーク推進や休業が徐々に解除し始めたのもこの頃です。
また、政府主導で行った新型コロナウイルスの収束後、一定期間に限定した国内旅行の宿泊費用や日帰り旅行費用等を支援するGo To トラベルキャンペーンの普及もあり、タクシーを利用されるお客様が「戻ってきた」という声も聞こえてきた時期でもあります。
※しかし現在は感染者数拡大の観点から一時中断となっている状況です…。
「あの地区」が東京23区の平均超え
また、タクシードライバーにとっても驚くべきデータ、或いはこれからタクシードライバーへ転職される方へも耳よりな情報になるであろうデータが生まれました。
2020年4月の緊急事態宣言が発令されて以降、東京都下や神奈川エリア…特に神奈川京浜地区の平均営業収入が東京特別区の平均営業収入を抜いている状況が続いているという大変珍しい現象が起こっています。
要因としては『地元のネームバリュー』『営業スタイルにさほど影響はない』『感染防止対策を施したタクシーが高齢者や障がいをお持ちの方の移動にマッチした』『地域特性上タクシーがないと動けない場所がある』などです。
逆に東京都心部では、オフィスのテレワーク化などを推進する企業が増加したことから、タクシーでの移動がコロナ前に比べると減少傾向であるということも原因の一つと考えられます。
2021年の緊急事態宣言
2021年1月8日、日本政府は新型コロナウイルス感染拡大第3波の猛威に対して東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の一都三県に2度目となる緊急事態宣言を発令しました。
当初の予定では2月7日をもって解除となる予定だったものの、感染者数の増加に伴って政府および諮問委員会と一都三県の知事の判断で期間を延長。一か月後の3月7日に全面解除の予定でした。
しかしまたしても期間延長となり、政府が諮問委員会の了承を得たことにより、いよいよ二週間後の3月21日をもって東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の一都三県が解除となす。
感染拡大防止の観点から、抑え込みを図る狙いは誰が見てもわかりますが、経済的なダメージは計り知れない事は容易に想像がつきます。
菅義偉内閣総理大臣の話によれば「諮問委員会の先生方とお話をし、意見を伺った上での判断。新型コロナウイルスの感染者数・対応の病床の使用率を踏まえ、解除の段階に入った。ここはリバウンドをしっかり防ぐ対策や対応は今後もしっかりと行っていきたい」とのことです。
影響はさほど…しかし1月は減少
東京都特別区のタクシーに限って言うと、1度目の緊急事態宣言時の落ち込みから2020年12月までの平均営業収入の水準を見ると回復傾向にあったものの、2度目の緊急事態宣言の影響により1月の平均営業収入は減少傾向。
これは東京特別区に限らず一都三県でも同様のケースが見られております。
もともと緊急事態宣言そのものが当初、強制力制力を持つものではなかったため、前回の経済的影響と感染防止対策も踏まえ、1度目の緊急事態宣言時よりは街の様子も極端に落ち込んだという様子はないというのが印象的です。
しかし2月3日、ついに特別措置法が成立。時短営業に応じない店舗に対しては厳しいペナルティを課すことが可能となり2月13日より施行されました。
これにより都道府県が店舗に対して時間要請を状況に応じて命令が出来るようになったという訳です。
ただ依然として飲食店などは営業時間の時短要請を余儀なくされており、緊急事態宣言中は20時を過ぎると一部のファーストフード店のテイクアウトを除いてほとんどが閉店してしまいます。
そのため、タクシードライバーの稼ぎ時とも言える22時からの割り増し時間(通称「青タン」)に影響が出ていることは否定できません。
ターゲットを絞った営業を
今までタクシー業界では東京特別区の営業方法と言えば「主要3区中心」「山手線内」「皇居中心」「繁華街」などと言った稼ぐためにマストな財源、場所が多くありました。
ですがコロナ禍以降はその牙城が脆くも崩れ去っています。(収束すればまた回復することでしょう。)
もしかすると、首都圏でも「地域性」というのが回復への重要なキーワードなのかもしれません。
首都圏でも住宅地は点在している地域は数多ございますし、コロナ禍でもタクシーを必要とするニーズは今持ってしてもあるはずです。
普段なかなか営業をすることがないご自身のタクシー会社の近辺で営業するのもよし、東京特別区は何もオフィス街だけではありません。江東区や大田区のマンモス団地や、練馬区の住宅地、墨田区や台東区の下町、老舗企業など…。
新しい生活様式に沿った形でターゲットを絞って営業するのも一つの手段でしょう。
普段首都圏で稼ぐためには推奨しない「駅待ち」もコロナ禍では需要があるかもしれません。
※但し空港は現在閑古鳥状態ですのでおススメしません。
決済可能も。配車アプリの向上
コロナ禍で苦戦が続くタクシードライバーにとって営業収入回復の救世主的存在であるのが、タクシー配車アプリの存在です。
タクシーメディア内のニュースやコラムでも既にいくつか取り上げていますが、今やタクシー業界ではタクシー配車アプリは「戦国時代」の様相を呈しています。
昔は配車の際、「電話でタクシーを配車」(いわゆる「無線配車」)が主流でしたが、今はタクシーアプリで配車する割合が半数以上となり、スマホ時代の産物と言える利便性豊かな機能として定着しつつあります。
ドアツードアでお客様を目的地までお運びし、アプリ上で決済可能なものあり、非接触を推奨するコロナ禍ではお客様もタクシードライバーにとっても非常に重宝されるアプリとなっております。
今後の展望
緊急事態宣言下で影響が出ているのは何もタクシー業界だけではありません。
日本経済、いや世界中の経済が大打撃を受けているのは言うまでもなく、あんなにドキドキとワクワクで胸躍らせていた「TOKYO2020」(東京オリンピック・パラリンピック)も今や感染防止の観点から不要論さえ根強い始末です。
この先の展望は果たしてどのようになるのか、タクシー業界はどうなっていくのか気になるところであります。
お客様への“ありがたみ”を知った
タクシードライバーの皆さんは第1回目の緊急事態宣言時、本当に大変な思いをしたと聞きます。
いつもの街いつもの時間帯に、お客様が忽然と姿がなくなり、営業するにも路頭に迷ってしまったケースが多かったことはメディアやSNSを通じて多数取り上げられました。
収入面では完全歩合制のタクシードライバーにとって、試練の時期だったことでしょう。だからこそ、こんな時期でも乗車してくださったお客様のありがたみを今まで以上に感じることが出来た時期であったと思います。
いよいよ宣言解除…そして
一都三県はまもなく「緊急事態宣言解除」の目安となる3月21日を迎えます。
タクシー業界でも営業収入回復へ向けての大きな足掛かりとなる機会と捉えていることは言うまでもありません。
東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県と足並みが揃うかどうか、感染者数の増減・自粛疲れなど課題が多いのも事実ですが、ひとまずは区切りを迎える予定です。
例えば100年前に世界的に流行した「スペイン風邪」を例にすると、やはり第二波~第三波があり、当時ですら多くの方がマスクを着用していたそうですが、抗体ができ始め2年~3年で突然に流行は去ってしまったという過去があります。
現代の文明、医療技術の進歩をしてみれば感染の拡大を食い止めるのはワクチンなどの医療関連と各々の意識改革の部分になりますでしょう。
コロナ禍収束後に考えられるケースは、感染防止対策は根強く残り、そして企業の働き方の多様化もこれを機に推進されるのではないかと考えられます。
例えば今現在をして、コロナ禍が収束してお花見がもし出来るなら…してみたいですよね?
そう思う気持ちはきっと大多数を占めていると考えてよいと思います。
多くの方が回復後に外出をし、旅行を楽しみ、そしてお仕事の移動や出張をされることは間違いありません。
なぜならそこに人がいる限り、タクシーは動いています。
飲食店を取材してみて…
今回、港区の飲食店(居酒屋)を取材させて頂いた。
●マネージャーUさん「緊急事態宣言中、今まで行ってなかったランチの営業を始めました。また、今年の2月まで通し営業で行っていましたけど、オフィス街なので17時以降の営業でないと意味がない。ようやく仕事が終わったお客様が来るのが18時~19時、ラストオーダーが19時で閉店が20時だと、本当に申し訳ないというか…。」
●店長Tさん「ランチは基本、近くのサラリーマンの方が多いのですが、週に数回は運送屋さんやタクシードライバーの方が来てお弁当を買っていきますよ。『お互い大変ですけど頑張りましょうね』って励まし合ってます。」
今まで飲食店も時短営業でしたが、その分、夕方からしか営業しない居酒屋が普段行わなかったランチ営業を始めたりと、様々な努力と感染対策を講じてきた様子がうかがえました。
※そしてランチタイムになると、タクシードライバーの方がお弁当を買いに来るとのこと!
タクシー業界も回復へ向けて今まで行わなかったデリバリーサービスの補助や運送面の協力も行うシーンも各地で見られました。
今後3月21日に緊急事態宣言の解除となれば、回復へ向けての一歩前進と言えましょう。
飲食店の時短営業等は東京都に関しては現状から1時間程度に延長の21時まで、期間は宣言解除後の3月22日から3月31日までで、以降は状況に応じて決定するとのことです。
最後に前出の飲食店のマネージャーさんと店長さんが仰っておりました。「お客様から多くいただくお話で『やっぱり人と喋ったり、このお酒を皆で飲む雰囲気は楽しい!本当いいもんだよなぁ。」と。
人々がコロナ疲れで「寂しい気持ち」を持っている方が多いのは確かなようです。
『コロナ禍収束後の人出増加=タクシー利用回復』の期待が持てませんか?
これから~Opinion~
新型コロナウイルスの感染拡大により、昨年2020年より世界中で多くの感染者を出し、世界の主要都市では都市封鎖(ロックダウン)も起きています。
日本でも昨年4月に1度目の緊急事態宣言を発令後は主要都市が水を打ったように静まりかえり、一度は感染者数も減少しタクシー業界も営業収入の回復を見せたたものの、季節の変わり目と共に増加に転じ年明け2021年1月8日から2度目の緊急事態宣言が発令。
当初1ヵ月程度の予定でしたが尾身茂・新型コロナ感染症対策分科会会長の「短い間で新規感染者数を減少させるには具体的で強く効果的な対策を打つこと。1ヵ月で宣言解除は至難の業である」との言葉通り、延長に延長を重ね、3月21日に東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の一都三県でようやく宣言解除となります。
待ちに待った…だがしかし決して気は緩められない緊急事態宣言解除後の私たちの生活様式。
ただ一つ、これだけは言えます。そして繰り返します。
タクシーは、感染防止対策を講じたとっても安全な乗り物なのでご安心ください。
そしてタクシードライバーもタクシー業界も営業収入回復へ、春はもうすぐです。