タクシーは、一部地域で客待ちの際の路上駐車が問題となりました。繁華街周辺では、路肩でのタクシーの長い行列や、複数の車線をタクシーが占有しているような状況も見受けられたようです。
結果として、一般車を巻き込んだ深刻な渋滞を引き起こしているケースもあります。このような状況を改善するべく、さまざまな対策がおこなわれています。その対策の一つとして、ショットガンシステムなる名称の取り組みが行われています。
ショットガンシステムとは何か
ショットガンシステムとは、駅前における混雑緩和対策によるタクシーの配車時の動きを、発射するたびに弾を弾倉から銃身に込めていくショットガンの原理に見立てたものです。
その運用方法を簡単に説明していきます。まず、駅前のタクシー乗り場に最も近い待機場所(駅前のロータリー内などに多く見られるタクシー待機スペースです)を第一タクシー乗り場とします。そして残りのタクシーを、乗り場とは別の離れたところにある第二の待機場所にいったん誘導しておきます。そして、タクシー乗り場の最寄りにある第一待機場所の空き状況を確認していきます。
タクシー乗り場に乗客がいる限りは、第一待機場所からどんどん乗り場に向けてタクシーが出庫していきますので、やがて空きが出ます。その段階で、第二待機場所に連絡をし、空いた台数分だけ、第二待機場所からタクシーを移動させます。
このようにして、タクシー乗り場が満杯になってタクシーが一般道路上にあふれて渋滞を引き起こすのを解消することに繋げています。なお、第一待機場所と第二待機場所との連絡手段としてはトランシーバーが利用されています。
実施エリアによってはETCシステムを利用し、あらかじめ登録されたタクシー以外の車両が待機場所に入ろうとしてもバーが上がらないようにしたり、あるいは配車そのものを自動で管理するようになっている事例もあります。
実施場所について
ショットガンシステムは、2006年の千葉市での社会実験を通じての取り組みを皮切りに、2009年に福井駅のタクシー乗り場で本格導入されたのが最初の取り組み事例となります。
以後、2013年に銀座および築地市場、2016年には京都駅南口で導入されました。いずれも、周辺道路の従来緩和といった一定の効果をもたらしており、今後はショットガンシステムの導入エリアが増えていくものと予想されます。
一方で、専用の待機場所の利用に1回あたり数十円の費用を徴収している事例があり、せっかく長い待ち時間を経て乗せた客がワンメーターだった場合、売り上げ面で痛手となるという意見もあります。