タクシーとその他鉄道・バス等の公共交通機関は現在、全て支払いや検索、チケット予約等は各社が別々で行っているのが現状です。
さて、皆様はMaaSという言葉をご存じでしょうか?正式名称は「Mobility as a Service(モビリティ アズ ア サービス)」の省略で、2015年にCO2削減を目的にフィンランドで始まった取り組みでです。
日本では東京オリンピックを見据え、観光客や通常利用の際も、行きたい場所へ自家用車ではなく公共交通機関のみで行けるようにできるサービスとして各地で数年前から実証運行を開始しております。
この度国内の大手私鉄企業が、MaaSを取り入れたタクシー型の新交通システムのサービスを開始した模様です。
見出し
小田急電鉄がMaaSタクシー型オンデマンド交通運行を開始
関東大手私鉄企業の小田急電鉄は2月17日、川崎市麻生区に位置する同線の新百合ヶ丘駅周辺で乗降地点を自由に移動できるオンデマンド交通「しんゆりシャトル」の実証運行を開始しました。
地域に根ざすコミュニティバスとタクシー双方の特性を兼ね備えた次世代型公共交通機関の誕生となります。
高級ミニバンのトヨタ「アルファード」で営業を行うため、乗車されるお客様はVIP気分を味わうことができ、お得感満載となっています。なお料金は500円からとのことです。
次世代移動サービスMaaSで地域の交通機関と連携
小田急電鉄は今回、新百合ヶ丘駅がある神奈川県川崎市をはじめ、傘下の小田急バス、地元タクシー会社の川崎交通産業、神奈中タクシーと連携してこの実証実験を行っています。
スマートフォン一台で人工知能を駆使し鉄道・バス・タクシー・貸出自転車・宿泊先等…あらゆる交通手段の予約決済等が可能な新しい交通サービス「MaaS(マース)」の分野で地元の交通機関とも連携したのも今回の大きな目玉と言えるでしょう。
この度の実証運行は、国土交通省の日本版MaaS推進・支援事業の一環として実施されています。
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市北部特有の“丘陵地”を活かす
小田急線内のターミナル駅の1つ、新百合ヶ丘駅の位置する川崎市麻生区周辺は市内北部に位置する丘陵地帯。比較的新興住宅地も多く、新百合ヶ丘駅周辺も整備されている上に起伏の多い場所に位置しているのが特徴です。
東京都心へと向かう通勤通学の今やベッドタウンとして重要な役割を果たす新百合ヶ丘駅はバスだけでなく、自家用車での送迎などに頼らざるを得ない状況になってきております。
小田急電鉄担当者も「付近は丘陵部で坂道の多い住宅エリア。この立地特性を生かした『ラストワンマイル交通』の提案で、自家用車から公共交通機関へのシフトによる道路混雑緩和なども狙っている」とのことです。
タクシーとの違いは?
もちろんこのサービスは普通第二種免許を取得しての運転が必須な緑ナンバーでの運行となります。そこでタクシーとどう違うのかという疑問が出てくると思います。
タクシーとの大きな違いは「方面が同じ乗客が相乗り可能」という点です。
しかも対象のエリア内であれば上述の通り1回の乗車につき500円というお得な料金設定というのも魅力でしょう。
相乗りする方の方向・乗降等により回り道となり到着時間に若干のばらつきは生じる可能性もありますが、地域の送迎の要として昼夜問わず期待が持てそうです。
これから~Opinion~
わかりやすく要約するのであれば、通常のタクシーとベッドタウン等で見られる地域に密着したコミュニティバスとの中間に位置する乗り物ではないでしょうか。
小田急沿線は新百合ヶ丘周辺だけではなく、隣の東京都町田市の玉川学園前駅周辺なども同様に駅周辺が大きな傾斜となっており、その中に密集した住宅地を縫うようにタクシーとコミュニティバスが行き交っております。
こうした中で新百合ヶ丘駅周辺での言わば「共存共栄」とも取れる先駆け的なオンデマンド交通サービスは、沿線内特有の地域立地を生かした交通網の利便性向上を目的とした画期的なサービスと言えましょう。
今後は同地区でも実証実験を成功モデルとして得ることが出来れば、沿線内のMaaS推進にも一役買えるのではないでしょうか。もちろんこれは「高齢化社会にはなくてはならない」次世代型サービスとっても過言ではありません。