東京のタクシー料金が初乗りが「410円(※現在は420円)」になってまもなく早4年…。
その間、各地方都市もモデルに倣い徐々に改定を行いながら昨年2月、全国レベルでも大規模な運賃改定を行ってきました。
地域によってはタクシー配車アプリを通じ「事前確定運賃」や「相乗り運賃」を設けたりと、顧客ニーズの『あったらいいな』に応えるサービスを配信し続けてきたタクシー業界ですが、このほど政府を通じてタクシー料金の規制に関わる大きな話題がありました。
タクシー料金の規制緩和に取り組む考え
河野太郎規制改革担当大臣(以下:河野大臣)は1月15日に行われた記者会見の際、タクシー料金の規制緩和に取り組む考えを表明しました。
河野大臣は年末にも民放テレビ局のニュース番組に出演した際、タクシーの料金規制緩和について意欲を示しており、「需要に応じてタクシー料金を変動させることができれば、タクシーの需要を喚起することができるのではないか。」と述べ注目を集めていました。
では具体的にはどのような内容だったのでしょうか?
ソフトメーターやDPを導入
タクシードライバーというのは、売上が天候によって左右されるお仕事でもあります。
もちろん、タクシードライバー歴の長いベテランさんであれば、左右された時に「どうカバーするか」を知っているものですが、晴天の日と雨の日では、人間の心理として『雨に濡れず帰りたい』というのが本音です。
皆さんもタクシーを利用する際、『駅のタクシー乗り場で雨の日に限ってタクシーが来ない…。』といった経験はありませんか?
今回の規制緩和の内容ではタブレット端末等で情報通信技術(ICT)ソフトを活用した次世代タクシーメーターの「ソフトメーター」や、需要によって価格を変動させる「ダイナミックプライシング(DP)」を導入。
タクシー事業者が時間帯や天候によって料金を自由に変動できるようにすること等を検討するとしています。
必要なら法改正も検討
タクシーの利用料金は全国47都道府県、例外なく「計量法に定められたメーターを設置し、賃走時の走行距離・時間を基に料金を算出」しています。
おそらくこれは日本に限ったことではないと思われます。
今回の規制緩和はこの根幹を大きく変えるものと言えます。河野大臣は記者会見で「必要な法改正も検討したい」という考えも述べました。
上記で記載した年末の民放ニュース番組に出演した際にも続けて「雨でタクシーがつかまらない時は料金を上げ、夜中に乗る人がいなければ下げる」として、タクシーの利便性向上に取り組むためスピード感を持って達成していきたいという意欲を示しています。
これから~Opinion~
今回の規制緩和に取り組む考えには、賛否があります。
細かな視点で捉えるのならば『顧客目線』として料金をプラスすることによって雨の日にタクシーを配車しやすくする。本来青タン(深夜料金)として割り増しだったものが、利用されるお客様が少ないことによっての値下げを敢行する…。
顧客としては懐事情もありますのでありがたいことでしょう。これには日々増収がささやかれるライドシェア関連に衰退を許してはならないタクシー業界と国土交通省の一丸となったサービス向上への現れと言えます。
ただし毎回のごとく、タクシードライバー側としても制度ははっきりして欲しいところ。
昔のように「ただ決められた料金・距離を基に送り届ければいいだけ」のサービスは時代遅れ。顧客目線のできないタクシー会社は淘汰されていくのは至極当然でしょう。
そして追い打ちをかけるように世界はコロナ禍の真っ只中。
「こんな時期に法改正する必要があるのか?」という厳しい意見も多いですが、規制緩和の内容には納得出来る内容もあることも事実。
一気に変更するのは顧客だけではなく、現場の事業者・タクシードライバーの信頼崩壊にもつながりかねないので、ヒアリングを慎重にしたうえで規制緩和は行う必要がありそうです。