タクシー運転手を目指す人の中には、MT(マニュアルトランスミッション)車の運転が苦手、あるいはAT(オートマ)車限定免許しか持っていないという人もいらっしゃると思います。そういった人が、タクシー運転手として働くことができるのかを解説してみましょう。
MT車のタクシーからAT車のタクシーへ
かつてのタクシー業界は、MT車を導入する会社がほとんどでした。しかし、現在では、ATを導入する事例が増えています。
1つ目は、トランスミッションの耐久性です。以前ATよりもMTのほうが長寿命とされていました。ところが、今ではATの性能が向上し、MTとATの耐久性の差がほぼなくなりました。
2つ目は、燃費の差です。ATはトルクコンバーター(変速機の名称)という流体を介して動力を伝達するため、MTと比べると燃費面で不利とされてきました。これについても、最近は技術の向上によって燃費性能の差がかつてと比べて、小さくなってきています。
乗り心地はATのほうが有利
MTは、変速時に車体の揺れが発生します。中には乗り心地に無頓着、あるいは運転技術そのものが未熟なドライバーも見受けられ、車体が揺れるかどうかは個人の運転操作によって変わってしまうのです。
一方、ATの場合は、変速操作は自動で行われるため、乗り心地がドライバーの技能や心掛けによって、大きく左右されることがありません。結果として、乗客に乗り心地での不満を与える可能性を下げ、むしろ満足度を高めることにもつながります。
実際のところ、東京都内など大都市圏のタクシーはAT車の導入が非常に進んでおり、MT車は見かけないエリアもあるほどです。
一方、タクシー会社は燃費面やメンテナンス性、あるいは耐久性やコストなどを考慮し判断しますので、地方のタクシー、とりわけ降雪地帯や坂道の多いエリアなどではMT車が多く残っているタクシー会社もあります。
二種免許にもAT限定がある
乗客を乗せて走ることを業とする職業ドライバーは二種免許が必須ですが、二種免許には通常の一種免許と同様に、AT限定免許が用意されています。
取得費用がAT限定のほうが若干安いこともあり、タクシー会社によっては、入社後の二種免許取得養成時にAT限定を取得させるところもあります。これらのことから言えるのは、MT車が苦手、あるいはAT限定免許しか持っていなくてもOKなタクシー会社を選択するようにすれば、特に心配は要らないということです。
但し、前述したようにタクシー会社によってはMT車を多く使用しているところもあります。
そういった会社には、入社する前にAT限定免許でも勤務面や報酬面で不利にならないかを確認しておくとよいでしょう。