この記事を読んで分かること
・タクシー会社「隔日勤務」の勤務形態
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日本交通グループに1年勤務、DSP(ディスパッチャー日本交通タクシー乗り場の管理)・新卒採用担当(新卒採用での説明会)の業務を行っていました。業界の実務経験を経た説得力ある記事作りに定評があります。
タクシー運転手の勤務形態(時間帯)には複数の種類があります。そのうち最も多くの運転手が働いている「隔日(かくじつ)勤務」という勤務形態は、一般的なサラリーマンと比べて働く時間帯がかなり特殊です。
また、勤務形態が違うと単に働く時間帯が違うだけでなく、稼ぎにも違いが生じます。そのため、これからタクシー運転手になることを考えている方は、応募する会社を決める前に勤務形態について理解しておくことが大事です。
そこで、今回はそれぞれの勤務形態の特徴について、気になる収入面の違いも含めて解説します。
見出し
タクシー運転手の勤務形態は何種類あるのか
タクシー運転手の勤務形態には以下の3つの種類があります。
・昼勤(昼日勤)
・夜勤(夜日勤、ナイト)
・隔日勤務
昼勤と夜勤は文字通り、1日単位で仕事をする勤務形態です。これに対し、隔日勤務とは2日間を1単位として1日おきに仕事をする勤務形態で、タクシー運転手の多くはこの隔日勤務で働いています。
タクシー運転手としてしっかり収入を得たいのであれば、隔日勤務または夜勤のいずれかを選ぶことが必要です。なぜなら昼間の仕事は単価が低く、昼勤では十分な稼ぎが期待できないからです。
ただし、上記すべての勤務形態を用意している会社ばかりではありません。そのため、応募の前の時点でその会社が希望する勤務形態を用意しているかどうか調べておく必要があります。
タクシー運転手の勤務形態の特徴
次に、具体例を挙げてそれぞれの勤務形態の特徴について解説します。隔日勤務はイメージしづらいかもしれませんが、休日を使ってシミュレーションをしてみるのもいいかもしれません。
昼勤:一般的なサラリーマンに近い勤務形態
昼勤は、一般的なサラリーマンと同じような時間帯で働く勤務形態です。具体例を挙げると以下のようなイメージです。
07:00 出勤
07:30 出庫
12:00 昼食休憩
13:00 仕事再開
15:00 休憩
15:30 仕事再開
17:00 帰庫・納金・洗車
18:00 退社
いずれの勤務形態であっても出庫の前に車の点検を行って点呼を受ける必要があり、これには30分くらいの時間がかかります。労働時間は日勤の場合、原則13時間以内(出庫前の点検や洗車などの時間、休憩1時間半も含めて)と決められています。
上記のような1日を以下のような日程で繰り返すことになります。ただし、これはあくまで一例です。具体的なスケジュールは会社によって異なるので注意してください(「出番(でばん)」とは業界用語で勤務する日のこと)。
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
公休 | 出番 | 出番 | 出番 | 公休 | 公休 | 出番 |
出番 | 公休 | 出番 | 出番 | 出番 | 公休 | 出番 |
公休 | 出番 | 出番 | 出番 | 公休 | 公休 | 出番 |
出番 | 公休 | 出番 | 出番 | 出番 | 公休 | 出番 |
月間で22~24回の乗務となるのが一般的ですが、乗務可能な回数は収入に直接影響するので、応募の段階で月に何回勤務できるのかを面接でしっかり確認しておくことが必要です。
夜勤:一般的な夜勤のイメージ
夜勤も昼勤と同様に1日単位で仕事をする勤務形態で、働く時間が夜になる点が昼勤と違います。1日のスケジュール例は以下のとおりで、23時~翌2時頃が仕事のピークタイムとなる点に特徴があります。なお、月間のスケジュールは昼勤と同様です。
18:30 出社
19:00 点検・点呼・出庫
22:30 休憩
23:00 仕事再開
03:00 休憩
04:00 仕事再開
05:00 帰庫・納金・洗車
06:00 退社
隔日勤務:2日を1単位として働く勤務形態
隔日勤務は出庫してからほぼ丸1日、働くタイプの勤務形態です。
出庫の時間帯には幅があり、朝6時~8時くらいの間から選べるのが一般的ですが、午後に出庫して翌日のお昼前くらいに帰庫するタイプを選べる会社もあります。 なお、帰庫するまでの間に3時間以上の休憩を取ることができます。
06:30 出社
07:00 点検・点呼・出庫
12:00 休憩
13:00 仕事再開
19:00 休憩
21:00 仕事再開
02:00 帰庫・納金・洗車
03:00 退社
月間のスケジュール例を挙げると以下のとおりです。乗務をした日の翌日を「明け(番)」といい、体調を整えるための休息時間という扱いになります。明け番は休みではありませんが、公休が続くときは2連休のような感覚になります。
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
出番 | 明け | 出番 | 明け | 公休 | 出番 | 明け |
出番 | 明け | 公休 | 出番 | 明け | 出番 | 明け |
公休 | 出番 | 明け | 出番 | 明け | 公休 | 出番 |
明け | 出番 | 明け | 公休 | 出番 | 明け | 出番 |
この例は2回の乗務ごとに1回の公休が入る形になっていますが、3乗務ごとに2回の公休が入るタイプのシフトを採用している会社もありますし、変則的なタイプを採用している会社もあり、会社によってさまざまです。
公式サイトの募集ページや転職サイトに勤務形態の具体例が掲載されていることが多いので、応募の前によく確認しておきましょう。3乗務ごとに1~2回の公休が入るタイプがおすすめです。
タクシー運転手の勤務形態ごとのメリット・デメリット
それぞれの勤務形態にはメリットとデメリットがあります。いずれも一長一短なので、勤務形態を決めるうえで参考にしてください。
昼勤
昼勤のメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット:家族と時間を合わせやすい
昼勤は一般的なサラリーマンと働く時間帯が近いため、小さい子どもがいて夜は働きたくないという女性に向いている勤務形態といえます(女性ドライバーは少ないですが気にする必要はありません)。また、夜間に働くことに抵抗を感じる方にもおすすめです。
デメリット:稼ぎにくい
タクシーの仕事の単価は昼よりも夜のほうが高くなります。特に深夜は1本で1万円を超えるような仕事もあります。しかし、昼間は長距離の仕事があまりなく単価が低くなりがちなので、希望する収入を得られない可能性があります。
不足する生活費を補えればいいというような方(年金生活者など)なら昼勤で十分ということもあるでしょうが、この点は面接でしっかりと確認しましょう。
夜勤
夜勤のメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット:最も稼げる
夜間は昼間よりも平均単価が高く、少ない回数で効率よく稼ぐことができるので、とにかく稼ぎたいという方にとってはおすすめの勤務形態です。タクシーの売上は長距離の仕事の占める割合が高いため、長距離の乗客をうまく得られるかが稼ぎの決め手になります。
※新型コロナウイルスの影響で夜間の収入が減少傾向にあります。想定どおりの収入が期待できるかどうかは面接のときに確認しましょう。
デメリット:昼夜逆転の生活になる
夜勤は夜の勤務となるため、必然的に昼夜逆転の生活を送ることになります。
そのため、家族と生活時間を合わせづらくなったり、体のリズムが崩れたりする恐れもあります。
そのため、稼ぎだけにとらわれるのではなく、夜だけ働くという生活で本当にやっていけるかどうかを1度、よく考えてみてください。
隔日勤務
隔日勤務のメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット:明けの日を休み感覚で使える
隔日勤務は1日おきに働く勤務形態です。例えば帰宅してから午前中は睡眠を取り、お昼頃に起きると午後の半日をまとまった時間として使うことができます。また、翌日が公休だと2連休のような感覚にもなります。
隔日勤務は一般的に月間で11~13乗務なので、一般的なサラリーマンの勤務日数に換算すると22~26日間、働くことになります。そのため、休日の日数は一般的なサラリーマンとそれほど変わりませんが、慣れれば休みが多いと感じるようになるはずです。
デメリット:慣れるまで辛いかも
隔日勤務は勤務中、仮眠しか取れないので、慣れるまではやや辛いかもしれません。特に眠気をコントロールするのが慣れないと難しいので、眠気を感じたら必ず仮眠を取って休むことが大事です。
無理をすると交通事故につながるので、稼ぐことよりも1日を無事に終えることを優先してください。
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まとめ
勤務形態は単に働く時間帯だけの問題ではなく、収入にも影響するのでよく考えて決めることが必要です。
ただ、実際に仕事をしてみるまではなかなかイメージできないかもしれません。
そのような場合はとりあえず隔日勤務で働いてみて、仕事に慣れてから改めてどの時間帯が向いているか考えるのも1つの方法です。
タクシー運転手の経験がないと隔日勤務という特殊な勤務形態で働けるか不安に感じるかもしれませんが、実際は隔日勤務で働いている人が大半なので、それほど心配する必要はありません。迷ったら隔日勤務を選びましょう。
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