人生の節目、大きな転換期…人との別れもさる事ながら出会いもそうです。冠婚葬祭だけでなく、人間として生きていくのに不可欠なもの、それは「生業」です。
その選択肢の中にふと「あ、タクシーの仕事ってどうなんだろう?」と知人の勧めを含め外部等の情報で小耳にし「タクシードライバーかぁ…」と疑問に思いながらも、勇気を出してタクシー求人サイトの転職相談へ相談を頂いた方々からのご質問などを、いくつか例を挙げてご紹介したいと思います。
今回はタクシー会社の「設備編」です!
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「タクシー会社の設備ってどうなっているの?」
タクシーのお仕事というと、とかく『ハンドルを握っている時間が圧倒的に多い』というのが通説でありますし、解釈的には間違ってはいません。
ですが、タクシーにも出発地点、そして帰る場所があるように、タクシードライバーもいきなり朝起きて「さぁてタクシー乗るぞ!」という風に一日が始まる訳ではありません(個人タクシーは別ですが)。
タクシードライバーは基本的に所属するタクシー会社へ出社し、決められた時間に朝礼・点呼・点検などを行い、タクシーを走らせる。これを出庫と言います。反対に帰ってくる際は帰庫といいます。
そんなタクシー会社はまさにドライバーにとっては「コックピット」のような役割を担う場所。売り上げの集計だけでなく、タクシー一台をスムーズに走らせることの大変さ、意義深さが詰まった設備となっており、それは同時にタクシードライバーにとっても大きな意味を持ちます。
そんなタクシー会社の設備は一体、どのような様相を呈しているのでしょうか?
洗車機完備も会社もある
タクシー会社によっては洗車機を完備している営業所、または手洗いで洗う営業所があります。
前者の場合はガソリンスタンドに併設されているような自動洗車機を導入しているケースも。その場合ですと1回の使用につき数百円の料金を徴収しているケースもありますが、夏場や冬場、特に手のかじかむ冬場はお金に代えがたいありがたみを知ることでしょう。
洗車機を併設している場合でも、混雑緩和のため、出来る際は手洗いを推奨する場合もあったりします。
また、専属の洗車担当の方(洗い屋さん)が常駐している営業所もあります。
大抵は専門で執り行っているケースが多いのですが、よく現場やタクシードライバーの話で耳にするのは「業務中に免許停止などの処分になり、しばらく乗務ができない際に洗い屋としてお金を稼いでいる」という救済措置もあるとか…なるほど、うまく回っているんですね!このあたりは転職時の情報として小耳にはさんでおくとよいかもしれません♪
1車制と2車制がある
タクシードライバー一人につき、1車両を運転するのを「1車制」、1車両をタクシードライバー二交代制にして運転するのを「2車制」と言います。
台数に余裕のある営業所などは、タクシードライバー一人につき、1車両を運転することが可能なのですが、新人ドライバーであったり、または規模の大きくないタクシー営業所の場合は(決して小さいから良くないという訳ではありません)、1車両を二交代制にして運転している場合もあります。その際は、次に運転される方が気持ちよく運転できるように、掃除や洗車の配慮なども忘れてはいけません。
それ以上に、お客様がご乗車される際に「シートがしわくちゃ」であったり、「嫌な臭いがする」などと苦情を頂くようなことはあってはなりません。
運転日報は自動化が進んでいる
皆さんは夜中にタクシーを利用して自宅まで乗車された経験はありますでしょうか?
その際、精算が終わり、降車された後、タクシーがしばらくその場に停車していた…という経験、あるいは景色を見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。
あれは決して絵のデッサンをしていたり、道に迷っているわけではなくて(もしかしたらそのケースもあるかもしれませんが…笑)、当日の運転日報を手書きで記入しているのです。
このように現代でも手書きで記入される、いわばアナログなケースもありますが、近年はデジタル化が進み、メーターなどの共有部分からの吸出しで、日報もすっかり自動化され、営業所にタクシードライバーが帰庫された際に面白いほど当日の日報が印字されて出てきます。
タクシードライバー経験者の中にはそういった手間も毛嫌いする傾向があり、利便性の優れた自動日報を導入されているタクシー会社を希望する方もいらっしゃるのも事実…ですがどちらが良いちというのは個人個人が判断される部分とも言えます。
簡単に行ってしまえば、勤怠記録の形式も会社によって違いますよね?
タイムカードで記録を付けている会社もあれば、指紋認証や顔認証などで行っている企業もある。でも結局営業していることは何かと言えば「タクシー営業」で本質は変わりません。
その部分を見失わないようにしていくとより良い仕事ができるようになるでしょう。
「手数料ってなんですか?」
以前はタクシー経験者の方に限って多かったこの質問事項です。
ですが近年はタクシードライバー未経験の方からも、同様の質問が寄せられることもあり、改めて「情報社会で便利な時代となった」という事を痛感せざるを得ないものです。
では一体手数料とは何のことでしょう?
IC・クレジット決済手数料
今や決済はICやクレジット、電子マネーの時代になりました。
近年テレビコマーシャルで、クレジット決済などを導入していないお店に外国人要人と思わしき方が訪れ「アナタノオ店ノ商品、全部買イマ~ス!…カードで!」「うち使えないんで!」「ジャイイデスゥ~」というやり取り、聞いたことあると思います。
東京首都圏も数年前から1メーターの料金が400円台になり「ちょい乗り」が多くなった傾向か「決済に交通系電子マネーを利用するお客様が増えた」という現場の声を聞きます(品川区T交通様)。
ですがこれらは導入する際、決済元の信販会社など経営者側に手数料を支払う仕組みとなっており、信販会社の利益はそこから発生するという仕組み…ですので、基本的にここで決済手数料が発生するのは納得は行くといえば行くのですが、乗務員が負担するとなると聞こえが宜しくないという声も多く耳にするのも事実です。(お昼のランチ営業で「カードが使えません」「~円以上から」というのをよく目にしますが、実際は使えます!手数料の問題が発生するのでランチを提供するお店側が判断しているだけということになります…。)
手数料撤廃の動きが加速
上記のように、『タクシードライバーに負担をかけるのはいかがなものか』という意見も多いことから、撤廃の動きが広がっているのも事実です。
数年前はご利用のお客様1回の使用につき数パーセントを乗務員から手数料を徴収していたものを完全撤廃や、あるいは営業所の体力も踏まえ徐々にそのパーセンテージを落としていくという対策も講じています。
「電車がなくなったらどうするの?」
タクシードライバーの勤務形態は早朝から夕方頃までの勤務の「昼日勤」もあるのですが、勤務形態で非常にポピュラーなのが『隔日勤務』、略して「カッキン!」です。
考え方として1日24時間の中で労働基準法の8時間を2回、要するに2日分の仕事をする訳ですから、随時休みも必要となります。当然ながら三六協定により、「翌日(明け)は必ず休み」ということが厳格に定められております。
そういう意味ではタクシードライバーという仕事は、タクシー会社にも、法律にも守られている仕事と言えます。
さて、ここで一つの疑問が生じます。それはやはりお客様にも多く問い合わせを頂いた内容の一つでもあります。
そうです、その名も『帰りの時間はどうなってしまうのか問題』です(笑)。
必ずあります「仮眠室」
「営業終了後、帰りはどうやって帰ったらよいのだろうか?」という事前相談もいただきます。
例えば『7:30~翌2:00(3時間休憩有)月12乗務』というシフトであったとします。これをパッとみた方は「終電後の帰庫やん!?」というツッコミを入れたくなる方もいらっしゃるのではないかと思います。
でもご安心ください。タクシー会社を含め『隔日勤務を遂行している会社』は運輸規則上、『仮眠室などの休憩施設の整備』が義務付けられております。
基本的に都内のタクシー会社であれば終電までの時間は始発電車が発車するまで仮眠室で休憩をとることが出来ます。もちろん車通勤の可能な会社でも同様になります。
「寮はどんな感じか?」
特に東京都心に多い条件として、「寮完備」の会社をご案内するケースもございます。
ただし、寮と言いましても数多種類があり、タクシー会社を選ぶ一つの基準となることにもなりますので、条件をよく見定めていきましょう。
個室寮がある
何と言っても「プライバシーが保証される」のが一番の魅力。
タクシー会社によって部屋内にテレビやベッド(布団の場合もあり)、かんたんなクローゼットが完備されていたりします。水場(トイレ・洗面所・洗濯機・台所)は共同利用のケースが多いですが、稀に個室部屋にすべて完備されているケースもありますが、非常に人気なためにすぐ定員が埋まってしまうことも。
寮費は平均月3万円~5万円が相場で3年契約などが通例です。光熱費は別途もしくは込みのケースもあります。
共同部屋もおススメ
コストを抑えてとにかく住居は確保したいという方はこちらがおススメです。
寮費も最安値では2万円を切る場合もありますが、それ相応の施設と築年数という可能性もありますので、ご理解いただければと思います。
ただし「タクシードライバーとしてデビューして、稼ぎだして1年後に一人で外で家を借りて住む」という目標をもってあえて共同部屋で低コスト重視で寝床を確保している方や、地元のご家族への仕送りのために頑張っているという方も珍しくありません。
タクシードライバーとしての目標や予算、ライフプランニング、そして考え方に応じて選択されると良いでしょう。
借り上げタイプの寮も◎
あまり聴きなれない単語で、一般寮と何が違うのかと少々戸惑いも出てしましますが、れっきとした寮になります。
こちらはタクシー会社が事前に不動産屋さんや仲介業者(主に提携先も多い)を通じ、新規入居者(入寮希望者)に部屋を貸し出すという仕組み。簡単に行ってしまえば「初期費用は会社負担で、お好きな部屋を借りれますよ」ということになります……が、だからと言ってどこでもどんな条件でも良いわけではなく、タクシー会社側から各種条件などもあることがほとんどです。
主に想定されるケースとして「会社の近隣であること」「ワンルームであること」「低予算であること」「都心3区に近い営業所であれば、そこから離れて探してもらう(例:江東区の営業所であれば、江戸川区・葛飾区・千葉県市川市近辺…)」「すでにタクシー会社側で物件の候補がある」などです。
この場合は原則個室部屋という扱いになるので、プライバシーも保たれつつ『水場共同』という条件もなく快適に過ごせるということで人気です。
レアな家族寮
めったにない案件ではありますが、稀に完備の会社もあり、同時に非常に人気の高い条件でもあります。
多いパターンはアパート型マンションを1棟タクシー会社が借り上げ、そこにタクシードライバーが家族ごと住居するというもの。都内のタクシードライバーの方々は地元に家族を残し、単身で東京へ渡り稼ぐために日々孤軍奮闘を重ねる毎日でありますので、家族ごと東京都内へ引っ越してきた日には、それはもう心強いに越したことはありません。
ただし前述したしたように非常に数の少ない条件であるということと、非常に人気の高い条件でありますので、ご家族と相談の上、根気強く探してみることをお勧めします。
住居支援がある
寮はいずれにしても、「どんな場所でどんな人がいるのか…もうそれだけで不安だ。」「会社の用意した寮と言われてもちょっと抵抗があるかも…。」そんな方には「住居支援」をおススメします。
この条件も採用している会社は非常に少ないですが、寮のように部屋数制限のあるものではありませんので、ご自身の応募条件さえ満たしていらっしゃれば活用してみるのも手かもしれません。
とある会社の例として、採用決定時に早い段階で「20万円までの住居支援金」を採用された求職者へお渡しし、そのまま提携の不動産会社にて予算内の物件を紹介していただくという仕組みです。
もちろん20万円はあくまで「住居支援金」ですので、超過は問題ございませんが、以降超過分はご自身の負担となりますのでご注意ください。
※間違ってもその支援金で「ギャンブルに行こう」という真似だけはしてはいけません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?諸々の不明点の質問は、とても良い事なのではないかと思います。
理由として『不安な気持ちを抱いたままタクシードライバーという未知のお仕事に飛び込むべきではない』ですし、きちんと現場を熟知している人間を通じて事前に話を伺ってから、答え合わせをするという作業がとても大切と言えます。
これはタクシー業界へ仕事をすることに限った話ではありません。どんな業種でもそうです。とかく安全運転が求められる+接客を求めらる。そして勤務形態の通常の勤務とは異なった業種…不安が出てこないはずがありません。
ぜひ不明点はどんどん聞いていきましょう。またこの記事を通じタクシードライバーへの転職を検討される際に何か少しでも良いので、答え合わせが出来たらうれしい限りです!