この記事を読んで分かること
・タクシー会社での自己PRのポイント
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日本交通グループに1年勤務、DSP(ディスパッチャー日本交通タクシー乗り場の管理)・新卒採用担当(新卒採用での説明会)の業務を行っていました。業界の実務経験を経た説得力ある記事作りに定評があります。
・タクシー会社の面接はどんな感じ何だろう
・上手く自己PRするポイントが知りたい
このような悩みを抱えている方もいると思います。
タクシー会社の面接は、新卒(学生)の面接のように厳しいものではありません。
しかし、事前に大事なポイントを知っておけば、想定外の質問をされてあわてるということも少なくなるので安心です。
この記事では、日本交通に勤めていた経験がある私がタクシー会社の採用面接を受けるにあたり、自己PRをするうえで知っておきたいポイントを解説します。
見出し
1 タクシー会社への自己PRの重要性
タクシー会社の転職に限った話ではありませんが、面接を受けるときに自身の良いところや、やる気をPRすることはとても大事です。
ただ、タクシー会社の面接では新卒の学生が受ける面接のように「1分間で自己PRをしてください」といった質問をされることはまずありません。そのため、過度に不安がる必要はないと言っていいでしょう。
基本的にタクシーは常に人手不足の業界です。また、都内のタクシー会社では地方から上京して転職したいという方のために電話面接を行っているところもあります。このようなことを知れば、過度な心配は不要ということに納得がいくのではないでしょうか。
とはいえ、面接官から質問を受けたときに答えに詰まったり、しどろもどろになってしまったりするようでは印象を悪くする可能性もあります。そのため、あらかじめどんな質問をされ、どう答えるかということを考えておくことは大事です。
2 「経歴を教えてください」と聞かれた時の答え方
面接官から「あなたの経歴を教えてください」と聞かれたときにどう答えるのが良いか、自己PRのポイントを解説します。
具体的には以下の通りです。
・良い回答のポイント
・良い回答の例
・悪い回答の例
2-1 「経歴」を聞かれる理由
タクシー会社の面接において経歴を聞かれる理由は、他の業界と特に変わりありません。どんな会社でも間違いなく質問されます。
そのため、自身の経歴を客観的に見たときに面接官がどこに興味を持つか、どこに疑問を感じるかということを考え、あらかじめ答えを用意しておく必要があります。上手に答える必要はありませんので、あなたの言葉で丁寧に答えましょう。
なお、タクシードライバーになるにあたっては、職務経歴だけでなく「運転経歴」も重要です。正式な採用にあたっては、自動車安全運転センターで発行される「運転記録証明書」の提出を求められる可能性が高いです。
運転記録証明書には、過去1~5年間(1年、3年、5年の3種類)の交通違反、交通事故、行政処分の有無について記載されています。
1通630円で入手することができるので、心配な方はあらかじめ確認しておき、採用において問題になりそうな点がある場合は質問されたらどう答えるか、考えておくのが良いです。
2-2 良い回答のポイント
面接官は履歴書を見て質問をしてきますが、タクシーの仕事に結び付けられそうな経歴(社用車の運転経験、接客業の経験など)がある場合は、その点をからめて回答しましょう。
2-3 良い回答の例
(接客業の経験があって、その点について質問された場合)
「タクシーは密室で1対1という特殊な環境での接客ではありますが、これまで数多くの接客経験があるので、それを活かせると考えています」
(営業マンとして社用車で得意先回りをしていた場合)
「社用車で得意先の訪問をしていたので主要な道路については知っています。タクシードライバーほど熟知しているわけではありませんが、運転は慣れていますし、ベースはあるのでその点で有利ではないかと考えています」
2-4 悪い回答の例
(履歴書に空白期間がある場合)
「(答えに詰まりながら)特に何もしていませんでした」
(短期間で辞めてしまった会社がある場合)
「自分に合わない仕事を担当させられたので」
上手く説明できない期間があっても、それを今の時点でどうとらえているかが大事です。反省している点を告げ、今後どうしたいかという話に切り替えて乗り切ってください。
3 「会社に入って何がやりたいですか?」と聞かれた時の答え方
タクシー会社が乗務員に求めるのはシフト通りに勤務し、交通事故やお客さんとのトラブルを起こさずしっかり稼いでくれるということです。
タクシー会社の面接において、一般的な面接でよくある「会社に入って何がやりたいですか?」という趣旨の質問をされた場合は「コツコツと仕事をして、タクシー乗務員として普通に稼げる収入を稼ぎたい」ということを伝えるのが、面接官に自己PRをするうえで良い印象を与えるポイントになります。
タクシー会社の場合、「御社に貢献したい」といった抽象的な言い方はマイナスになりかねません。タクシー会社は乗務員としてごく普通に仕事をしてくれる人を求めているので、いつか管理職や経営者になりたいという気持ちがあっても、それを面接で強調して伝えるのは控えた方が良いでしょう。
3-1 「会社に入ってやりたいこと」を聞かれる理由
タクシー会社は、あまり稼げない乗務員を雇いたがらない傾向があります。
どんな商売にも損益分岐点があり、一定の売上をあげないと赤字になってしまいます。タクシーの場合も会社によって違いはありますが、1台あたりいくらというおおまかな目安があります。そこで、乗務員には「足切り」と呼ばれる最低限の売上を設定している会社が多くあります。
足切りの売上を下回ると給料の計算において不利な計算方法が適用されますが、ごく普通に仕事をしていれば達成できる水準に設定されているので、あなたに稼ごうという意思があるなら問題になることはないでしょう。
3-2 良い回答のポイント
稼ぎたいという意思を上手に伝えるには「稼がなければならない理由を示す」というのがポイントになります。
ただ単に鼻息荒く「稼ぎたい」では、休憩を取らずに仕事をして交通事故を起こしたり、近距離のお客さんを軽視して苦情になったりするのではないかという不安を面接官に与えかねません。大半の方は稼ぎたいという意思を持っているでしょうが、その伝え方には工夫が必要です。
3-3 良い回答の例
稼ぎたいという理由は特に奇をてらったものである必要はありません。誰が聞いても納得のいく、ごく普通の理由を考えてください。
「子どもがこれから大学に進学するので、月に手取りで30万円くらい稼ぎたいと考えています」
「5年後にマイホームを買おうと思っているので、年収で450万円くらい稼げればと考えています」
3-4 悪い回答の例
具体的な金額をあげて稼ぎたいという意思を伝える場合、実態に合った数値を出すことが大事です。根拠の乏しい金額や、ごく一部の特殊な人でなければ達成不能な金額を出してしまうと、業界についてきちんと調べていない印象を面接官に与えてしまう可能性があります。
「タクシードライバーが書いた本に『1000万円稼げる』と書いてあったので、700~800万円くらい稼げればと思います」
「月50万くらいは稼ぎたいですね(特に根拠なく言っているように聞こえる言い方)」
4 「今後のキャリアプランを教えてください」と聞かれた時の答え方
タクシードライバーにはサラリーマンの「キャリア」のような考え方はありませんが、面接において「今後のキャリアプランを教えてください」という趣旨の質問をされることはあり得ます。その場合は自己PRをするうえで、以下のような点に注意して回答してください。
4-1 「今後のキャリアプラン」を聞かれる理由
採用した乗務員に簡単に辞められては困るので、長く続ける意思があるかどうかをみる目的で「個人タクシーになりたいか」と尋ねられる可能性はあります。
また、大手の会社には「観光タクシー」「ユニバーサルデザインタクシー」などの特殊なタクシーを用意しているところがあります。そのような会社の場合、その会社のことをどれだけ調べているか、やる気があるかどうかをみる目的で、これらに興味があるかと尋ねられることも考えられます。
4-2 良い回答のポイント
タクシー乗務員として採用されたあと、内勤の「運行管理者」や無線センターのオペレーター、営業所長などになる可能性もありますが、乗務員としての採用面接で自らそのような話を持ち出すのはあまりおすすめしません。
あと、個人タクシーになるためには原則として最低10年の法人タクシーでの勤務経験が必要ですが、個人タクシーになりたいかという質問に「はい」と答えても、採用で不利になることは考えにくいです。興味があるならそう答えても差し支えありません。
4-3 良い回答の例
個人タクシーのことは詳しく知らなくても構いませんが、応募する会社の特徴や、23区の場合は他の都道府県にはない制度が設けられているので、そうした点について把握しておき、回答に盛り込むと印象が良くなる可能性が高いです。
「個人タクシーのことは知っていますが、タクシードライバーの経験がないので分かりません。タクシードライバーという仕事が自分にピッタリだと感じたら考えてみたいと思います」
「先日、お客としてタクシーに乗ったときの車両がジャパンタクシー(JPN TAXI)でした。ジャパンタクシーはある程度の結果を出していないと担当させてもらえないと運転手さんから伺ったので、ジャパンタクシーに乗ることを目指してみたいです」
「(23区の場合)英語の研修があると聞いたので、英会話の勉強をして外国人のお客様でもスムーズに接客できるようにしたいです(※東京タクシーセンターで行っている『外国人旅客接遇研修』のこと)」
4-4 悪い回答の例
キャリアについては答えにくいですが、以下のようなあいまいな回答は避けましょう。
「(答えに詰まって)特にありません」
「キャリアなんて考えたことがないので、稼げればそれでいいです」
5 まとめ
タクシー会社の採用面接を受けるにあたっては、それほど肩に力を入れて対策を立てる必要はありません。
これまでの経歴に自信がない場合は入社を希望する会社やタクシー業界のことをよく調べ、回答に盛り込んでやる気をアピールすると良いでしょう。
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