今回はタクシーの業務規則にある「乗車拒否」「営業区域」についてご説明します。
“営業区域内”の営業とは
タクシーは日本全国のどこででもお客様を乗せたり、降ろしたりしてもよいというわけではありません。法令によって営業できる区域が定められており、乗車地・到着地のいずれも営業区域外にある旅客運送は禁止されています。
「営業区域内営業のケース」
・営業区域のA県の駅でお客様を乗車させ、同営業区域のA県内のホテルで降車させる輸送はできます。
・営業区域のA 県の駅でお客様を乗車させ、営業区域外のB県ホテルで降車させる輸送はできます。その帰りに、営業区域外のB県のホテルでお客様を乗車させ、営業区域のA 県の自宅で降車させる輸送もできます。
「営業区域外営業になるケース」
・営業区域外のB県のホテルでお客様を乗車させ、営業区域外のC県の自宅で降車させる輸送はできません。
お客様をお乗せする場所が営業区域外であった場合は、お客様をお乗せする前に目的地が営業区域であることを確認する必要があります。
もし目的地が営業区域外であった場合は、プロのタクシードライバーとしての営業センスを最大限に発揮して、お客様に事情をご説明します。そして規則のためお乗せすることができない旨、ご了承いただかなくてはいけません。
営業区域外の場合、就業時間が迫り会社に戻る場合等、お客様を乗せられないのであれば「回送」にして営業区域に戻りましょう。乗せられない場合、お客様と目を合わせ、軽く頭を下げるだけでも乗車拒否と思われない工夫の1つになります。
乗車拒否に当たらない条件を知ろう
タクシー運転手は基本的に乗車拒否を禁止されていますが、下記に該当する場合は、罰則規定にある乗車拒否に当たらず、お客様の乗車をお断りできます。
・タクシーの規定されている乗車できる人数より多い場合。
・遠距離輸送場合に有料道路ではなく、一般道を強要される場合。
・有料道路を使用する際、通行料の支払いを強要される場合。
・車内で、お客様の法令の規定,風俗に反する行為や暴力行為に対し、制止や注意をしてもその行為を止めず、車内の安全・秩序を保てない場合。
・火薬やアルコール類、薬品等の危険物、死体や車内を著しく汚す恐れのある物を所持する場合。
・泥酔者や不潔な服装の者、周りに迷惑をかける行為をする者、付き添いがない重病人、新型・指定等の感染症の所見のある者の場合。
これらのような、その後の営業に支障が出たり、ドライバーの安全を脅かすような人は乗車できないことになっています。安全・車内秩序のため乗車を断らなければいけない場合もあるので、クレーム防止のためにも、詳しい規則・条件を必ず把握しましょう。
乗車拒否や営業区域外営業の罰則
乗車拒否の禁止や、営業区域外でのタクシー業務営業の禁止は「旅客自動車運送事業運輸規則」や「道路運送法」等で決められています。
そのため、違反した場合は、義務違反になり乗務員証の停止や営業停止処分が下されます。行政からの処分が直接タクシー運転手本人にはなくても、会社から運転手への罰則はあるでしょう。本人だけでなく会社にも迷惑をかけることになりますので、新人タクシー運転手はこれらの法律について初めにしっかりと勉強する必要があります。
ルールや法律を守り、目的地がワンメーターの場所でも気持ちよくお客様にご乗車いただく。それが後々、リピーターにつながり、自分自身の収入にも反映されるタクシー運転手は、大変やりがいのある職業ではないでしょうか。