タクシー業界といえば、いかにも男性主体の職場で、しかも高齢ドライバーが多いというイメージが定着しています。確かにその通りなのですが、実は最近では新卒者をはじめとする若者にも人気のある職場なのです。
頑張れば頑張った分だけ報酬に跳ね返る
タクシー運転手の報酬体系は、歩合部分のウェイトが比較的大きいのが特徴です。タクシー会社によって、あるいは契約内容によっても異なりますが、乗客から得た運賃収入の5~6割が運転手の報酬となるのが主流です。
また、運転手の勤務体系は、隔日勤務(18時間勤務の翌日を休日とする勤務体系)を採用するタクシー会社が多いですが、高齢ドライバーは勤務に伴う疲労や心労が回復しづらいものです。その結果として勤務効率が低下し歩合給が減少する恐れもあります。もちろん、高齢ドライバーであっても健康に勤務を全うされる方が大半です。
一方で、若手ドライバーは運動能力や判断能力が活発で、なおかつ疲労回復も比較的早いため、効率的に業務をこなして多額の報酬を得ることも難しくありません。つまり、働いた分は、実績として跳ね返ってくるというタクシーの報酬体系は、若者にとって大きなチャンスだと言えます。
タクシー業界の平均年齢は58歳
国土交通省の資料によると、約34万人を擁するタクシー事業従事者(ドライバーおよび整備要員)の平均年齢は、58.3歳(平成26年)となっています。様々な業種を見渡しても、これほど平均年齢の高い仕事は、なかなか見当たらないものです。一方で、若手(40歳未満)のタクシー事業従事者は、わずか4.3%しかいません。しかも、女性ドライバーに至っては、たったの2.3%に留まっています。そのため、現在の運転手達が今後引退していくのにともない、タクシー会社も新卒や若者の求人・採用を増やしていくでしょう。
外回りゆえの人間関係の身軽さが魅力
高齢者が多く若者が少ない職場と聞くと、若者にとって居心地が悪いのではと考え人もいるでしょう。とりわけ、内勤やチームプレーが求められる業務内容の場合ですと、人間関係や業務遂行がやりにくそうだと感じる若者や女性も多いのではないかと思います。しかし、タクシー運転手の場合は、自動車を運転するという仕事の特性上、単独行動(独断専行というマイナスの意味ではなく、1人で主体的に行動するという意味)が基本です。
内勤の仕事でみられるような、社内でそりの合わない上司と机を並べて、連日のように嫌味や説教をと受けるといったことがありません。むしろ、同僚との人間関係は、終日べったりではない分、営業所で顔を合わせた際に何気ない会話が弾むこともあります。時には仕事の進め方のアドバイスを受けたり、あるいは人生の先輩としての経験を聞いてみたりすることが、若者や特に社会人経験に乏しい新卒者にとっては非常に有益なものとなります。
このように、人間関係の身軽さも、タクシー運転手の仕事の大きな魅力といえます。