タクシードライバーを目指す方、タクシーに興味がある方、あるいは朧気でも「タクシー」というキーワードを浮かべたとき、まず無いと困る資格と言えば…「二種免許(普通第二種免許」です、そしてそれを取得できる大まかな資格として「普通免許を取得して最低3年以上が経過していること」が条件となっております。
今回、わたくしタクシーメディア専属ライターSが、たまたまこの夏を利用して「合宿免許に行く」ということになりましたので、その模様を「リアルタイム」でお伝えしたいと思っております!恥ずかしながら一応、都会っ子なわたしも人生初の教習所です。今回は第三弾、「学科・教習編」です。当事者の自分としては、本当にここは時間を費やした部分なので、おさらいを兼ねて書かせていただきます(笑)。【この取材は2020年7月に行ったものです。】
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「学科・実技」~「修了検定・みきわめ」まで
教習所(自動車学校)で学ぶものは「学科」「実技(技能)」の二つで、特に「実技(技能)」に関しては、教習所でしっかりと習得したのち、卒業検定に合格すれば晴れて住民票記載の運転免許試験場で「技能試験」が免除となり、「学科試験」のみ受講可能となります。入校後、第一段階と言われる学科と実技を交互に受けたのち、みきわめ・修了検定を受講し、合格したら第二段階、すなわち「仮免許取得」が取得できます。
学科の様子
自動車免許を取得する際に、大切な技能と学科ですが、自動車を運転する上で必要な法規、心構えなどを一から学び、予習復習を反復していく形です。教習所に通いという形で通学し、免許を取得される場合でも同じです。
本当に「当たり前のこと」を学ぶのですが、なぜか非常にややこしく、そして難しい…。一度経験された方であればその理由がお分かりになるはずです。たとえば『いかなる場合でも~』『どんな場合でも~』というワードが出てきたら要注意ですよ!また予習復習も非常に大事な作業です。
基本的な交通法規
運転する上で交通法規を厳守するのは基本の基。学科試験の問題集などでも様々な法規の問題が出題されますが、随所に挟まれてよく出てくる問題でよくあるパターンは『自動車を運転するものは、技術や知識はもとより、社会人として他の道路利用者に対する思いやりの気持ちを持たなければならない』という問題に対し「正しい」か「誤り」かを選択する問題が出てきます。…これはもう言わずもがなわかると思いますのであえて解説はしませんが、自動車運転免許を取得する際は当然ながら、社会性と常識をもって安全運転することが大切です。あおり運転なんてもっての外ですよ!
道路標識・表示
男の子なら子供の頃結構好きだった人も多かったのではないでしょうか?実は私も教習所に入校して思い出したことですが、子供の頃といえば地図を描いたり、道路標識の意味を調べたりするのが好きで、よく祖父に「絶対に将来役に立つぞ!」と言われたことだけは覚えていましたが、当時は何のことだかちんぷんかんぷんでした。(そりゃそうでしょう…)しかしこうして問題が出たり、技能で運転すると、「なるほど納得!」まさか数十年の時を超えてここで役に立つとは思いもよりませんでした。道路標識は大きく分けると4つに分類されますが、見ただけでも規制標識が56個、指示標識が14個、警戒標識が23個、案内標識が約27個、補助標識が約18個、そして道路に記されている規制表示が29個、指示表示が15個となっておりました(概ね)。中には結構似ているものもあるので、注意が必要ですよ。
信号機
普段何気なく使っている信号機。実は結構色々な意味があるのをご存じでしたでしょうか?信号機はもちろん、警察官・交通巡査員の手信号及び灯火による信号、通常時や点滅時の走行方法など、知っておかないとやばいルールや心得も、初めて自動車免許を取得する方は「知らなかった!」という部分も多いはず!
青信号【青色灯火】
歩行者は進むことが可能。そして自動車は「直進・左折・右折することが可能。
黄色信号【黄色灯火】
歩行者…横断をはじめてはならない。※横断中の歩行者は速やかに横断を終わる、もしくは横断をやめて引き返す。
車や路面電車…停止位置から先に進んではならない。※但し、黄色の灯火に変わった際に停止位置に近づいて、安全に停止できない場合は、そのまま進むことが可能。
赤信号【赤色の灯火】
歩行者…横断不可
車や路面電車…停止位置を超えて進んではならない。※交差点ですでに左折している車や路面電車は「左折方向の信号が赤でも進むことができる」。また、右折の場合も同様ですが、青信号に従ってくる進んで来る車や二段階右折方法の信号が赤の際は、その右折している地点で停止しなければなりません。
車の種類
普通自動車の自動車学校…すなわち教習所に通い、自動車運転免許を取得するために日々奮闘している訳ですが、「車の種類」…と問われるとこうも細かく分類されると、改めて学科試験の対策でも、細かく正確に勉強を強いられる日々を送っております。自動車は主に…大型自動車、中型自動車、準中型自動車、普通自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車、大型自動二輪車、普通自動二輪車、原動機付自転車、軽車両と分類され、普通自動車免許を取得すると自動的に「原動機付自転車」と「小型特殊自動車」の免許もついてきます。なお、トラックドライバーの人材不足解消の狙いで、平成29年3月12日に道路交通法の一部改正で施行された新しい免許で「準中型免許」というものがあります。それ以前に普通自動車免許を取得されている方は、現状の普通自動車免許で「車両総重量3,500kg以上~7,500kg未満のもの」「最大積載量2,000kg以上~4,500kg未満のもの」「乗車定員は10人以下」の自動車を運転が可能。逆に上記の年数以降に取得された普通自動車免許ですと「車両総重量3,500kg未満のもの(「未満」なので3,499kgまでという意味です。試験にこの辺りよく出ます…)」「最大積載量も2,000kg未満のもの」、乗車定員は同じく「10人以下」の自動車を運転が可能になります。…実はこれまだ浸透していない部分も多く、私でさえも知りませんでした…(知っていたらこっちを取っていましたよ笑。)。また、実際に住んでいる地域によって馴染みのある場所とそうでない場所があるかもしれませんが、地方都市によっては「路面電車」が通行、併用軌道として走る場所がありますので、路面電車に関する交通ルールも学びます。※ちなみに「馬」は軽車両扱いになります。
日本語に惑わされないように
実はこの学科試験、受講された方はよくお分かりになるかと思いますが、何しろ日本語がややこしい。例えば前述で出てきた「青信号」についても「進め」ではなく「進むことができる」が正解なのです。理由として『歩行者や他の車などの状況がよければ進んでもよい』という意味だそうで、よ~く読めばわかるものも多いのですが、日本語そのものを理解し、問題そのものも理解する必要があります。第一言語が日本語なのに、なぜだか悔しくなるものです…。以上、以下、未満もそうですが、ここで突破のコツは「20歳未満の未成年者はアルコールは提供できません」というフレーズを思い出してみてください。どうです?もうわかりましたよね?
実技の様子
自動車を運転するのに、机上の勉強だけでは当然ながら「分かったような気でいる」だけですし、何事も実際に「体験してみる」ことが大事です。私自身も今までたくさんの人の隣に座らせていただき、小生意気に指示を出したりしたこともありましたが(人は私を「助手席の帝王」と呼び…ません)、見事に生で体験することによって打ち砕かれたこともたくさんありました。結論、恐れることはありませんが、はじめは誰だって不安ですし、怖いものです。しかしタクシードライバーの偉大さを改めて感じました。
先ずシミュレーターで操作確認
自動車やタクシーでもそうですが、実際に運転席で使用するハンドルやブレーキ、ギアなどはどのような場所にあり、どのようなタイミングで使用するのかということを学びます。とはいえ、実際の自動車ではなく、あくまで「シミュレーション」なので、失敗しても大丈夫といえば、大丈夫です。
初日からいきなり乗車
さて、そんなこんなで初日からなんと、「実際の教習車両」…すなわち自動車に乗車しての教習が始まります。これにはさすがに驚きました、何の心の準備もしていなかったので、無我夢中であっというまの1時間であったのを覚えています。ブレーキを離した際に自動車が動いているとき、「教官が動かしてくれているのか。優しいなぁ」と感心していましたが、後でわかりましたがこれはクリープ現象という立派な自分の運転でした。とにかく宙に浮いたような、もうあっという間の一日でした。それは翌日以降も、検定以降も続く訳です(笑)。
緊張の修了検定(みきわめ)、そして第二段階へ…
さすがは「合宿免許」。通常の通いで自動車運転免許を取得するスタイルの教習所とは違い、最短たったの「2週間」で取得可能なのだから、冷静に考えるとかなりな詰め込みにはなります。それでも一日の乗車時間や、学科の時間などはきちんと法律で定められた時間内を守っての教習になっておりますので、「追加でもう一時間」や「教官が時間に遅れた」ですとか、そういった類はこの滞在中一切ありませんでした。同じように教習生の遅刻などに対しても厳しく、あまりにひどいようですと学科が受講不可→延泊となってしまったり、最悪は退校を命じられるケースもありますので要注意です。実際に私も修了検定前に厳しいチェックがあり、私も実は一度、不合格(リアルでしょ?)となった経緯があり、確かに落ち込みはしましたが、よく考えてみれば「順調に行き過ぎて浮かれたまま自動車免許を取得するのもいささか性格的にも危険かもしれないから、これくらいの躓きがあったほうが後々事故になるよりずっとマシであろう」と、前向きに考えて気を引き締めて臨めるようになりました。そして以降は技能も無事通過。徹夜で勉強した第一段階学科修了検定も終え、超緊張の合格発表…私の受験番号のアナウンスが無事最後に流れたときは本当にホッとしましたよ。
とにかく「平常心」と「確認」で安全を心掛けよう
自分に限らず、シーズンとあって沢山の教習生の皆さんが教習所に自動車運転免許を取得するために入校しておりました。その中には、トントン拍子に学科や技能を終わって、心に余裕を一喜一憂を持っているが故、少々浮かれ気味の方も印象に残りました。確かに運転技術は初心者にしてはセンスのある方もいらっしゃるのですが、事実それが仇となり慢心が生まれ、実際の検定(みきわめ)の際に大きな失態を犯してしまい不合格となってしまうという、なんと勿体ないケースも。ただもちろん、それをバネに心を入れ替えて誠実に、謙虚さを手に入れたと思えば、多少は時間をかけても自動車運転と真摯に向き合うことが出来ることでありましょう。もちろん普通二種・大型二種も同じです。バスやタクシードライバーになりますと、より注視する部分が増えますが、そこは決して気を緩めたり慢心になることなく、平常心と安全を第一に考えて運行することが交通事故防止の一歩と考えられるからです。
まとめ
基本的に学科は〇×、正誤の問題なのでとかく単純と思われがちなのですが、日本語特有の表現の難しさなどを駆使して「ひっかけ問題」が多いのも特徴です。おそらく運転時でも応用されるであろう「きちんと確認する」という事を、試験においても試されているのではないかと思います。教習所の学科・実技は繰り返し行われ、学科で学んだことを実技で応用、実践していく形が多くあります。それらはもちろんすぐにできるわけではありませんが、繰り返し行うことで徐々に手ごたえをつかみ、自分のものにしていくことが出来るでしょう。
▼バックナンバー
合宿免許へ潜入㊙取材!【第一話:最初はみんなが“初心者マーク”準備・出発編】2020年7月
合宿免許へ潜入㊙取材!【第二話:衣食住もコロナも安心!合宿一日の流れ編】2020年7月
合宿免許へ潜入㊙取材!【第三話:仮免許運転中♪学科・教習編】2020年7月
合宿免許へ潜入㊙取材!【第四話:みきわめろ!実技卒業検定編】2020年7月