タクシー運転手として乗務するには、普通自動車第二種免許(二種免許)の取得が必須要件となります。二種免許には一種免許にはない眼の検査項目として「深視力検査」が設けられています。
あまり馴染みのない、しかしタクシー運転手に必要不可欠な深視力とは一体どのような能力なのでしょうか。
深視力は立体感や遠近感を認識する能力
深視力とは、立体感や遠近感を認識する能力のことです。
自動車を運転する際の、前方車両との車間距離や、高速で迫ってくる対向車の的確な認識に必要になります。あるいは狭い道で対向車とすれ違う際の車幅感覚など、立体感や遠近感を研ぎ澄ます必要がある場面にたびたび出くわすものです。
こういった場面では、単に視力が優れているだけではなく、目標物までの距離感や前後左右の位置関係などを的確に判断できることが、必要な能力となります。安全運転や危険回避のためには必須な能力のため、二種免許には取り入れられています。
深視力検査には三桿法を用いる
深視力検査には、「三桿法」(さんかんほう)と呼ばれる方法を用います。「桿」という漢字は操縦桿(そうじゅうかん)という言葉以外にはあまり馴染みがありませんが、「さお状の棒」のことを指します。三桿法は、3本の棒を用いる測定方法であることから、このように呼ばれています。
具体的な測定方法は、測定器内に縦に固定された左右の2本の棒の間を可動式の1本の棒が前後に動きます。被験者は測定器側面の窓から2本の固定棒と1本の可動棒を見て、3本が横に一直線になったタイミングで、押しボタンや口頭で申告することになっています。
それぞれの固定棒の間隔は6センチで、可動棒は前後20センチの範囲で前後に動いていきます。測定器内に設置された固定棒より250センチ離れた場所から検査を受けることになっています。
深視力検査は手ごわい存在
深視力検査では測定を合計3回おこない、許容誤差は合計6センチ以下(つまり1回平均2センチ以下)と規定されています。被験者と測定器との距離が遠い割に棒の間隔も狭く、なかなか手ごわい検査です。
また、深視力は眼だけの能力でなく、眼から得た情報を脳内で分析処理して得られるものですので、通常の視力が優れている人でも深視力検査は苦手だという人もいます。深視力検査に不安がある人は、眼科医による診断を受けたり、深視力測定に対応した検査機器を常備しているメガネ店を利用するとよいでしょう。
深視力は鍛えることができます。この深視力を鍛えるトレーニングは動画を使ったものや、指だけで出来るものなど様々な種類があるので、病院で適切な専門的アドバイスを受けることをおすすめします。