タクシードライバーを目指す方、タクシーに興味がある方、あるいは朧気でも「タクシー」というキーワードを浮かべたとき、まず無いと困る資格と言えば…「二種免許(普通第二種免許」です、そしてそれを取得できる大まかな資格として「普通免許を取得して最低3年以上が経過していること」が条件となっております。
今回、わたくしタクシーメディア専属ライターSが、たまたまこの夏を利用して「合宿免許に行く」ということになりましたので、その模様を「リアルタイム」でお伝えしたいと思っております!恥ずかしながら一応、都会っ子なわたしも人生初の教習所です。【この取材は2020年7月に行ったものです。】
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合宿免許とは?
通常の「通い」とは違い、『短期間』、『好きな場所』、『手頃な値段』で自動車免許が取得できるというのが魅力で、特に長期休暇シーズンは学生などで混雑することが多い傾向がみられます。また教習所によっては、「総合教習所」という形を設けている場所もあり、「普通免許(AT)」だけでなく「マニュアル(MT)」「普通・大型二種免許」「大型免許」「大型特殊免許」「高所作業車」「小型クレーン車」「フォークリフト車」などの自動車免許が取得できる場所もあり、余裕のある方は、空いた時間に併せて別の免許を取得される方もいらっしゃいます。
よくある問い合わせの一部「合宿免許」
タクシー会社でも、タクシードライバー未経験で入社の際に当然ながら「二種免許(普通第二種運転免許)」を取得することが義務付けられており、これらは全国のタクシー会社の9割が「教習所にかかる入校費用はタクシー会社の費用負担(条件あり)」となっているのが現状です。ですが、「通い」で取得するのと「合宿」で取得するのでは、少々気持ちのモチベーションも差が生じると思います。前者は比較的タクシー会社から近い場所もしくは本社営業所近隣などがメインとなりますため、「自宅から通える」という最大のメリットがあります。一方後者は「場合によっては知らない地域へ行く」ということ、普通AT免許は最低14日間、普通MT免許で最低16日間、そしてタクシードライバーに必須な普通二種免許は平均10日前後と言われております。これらはタクシー会社の面接で初めて知るケースが多いですが、一度転職道.comの専門カウンセラーに相談してみるのもよいでしょう。実際によくあるお問い合わせ例としても挙げておりますが、どちらが良くなくて、どちらが良いということはありません。要は「目標をもってこなしていけるか」でしょう。
二種の場合はいずれも「短期集中型」
タクシードライバーになる場合、上記でも伝えました通り「タクシー会社から費用原則負担で教習所へ通う」ケースがほとんどですので、合宿はもちろんのこと、通常の普通自動車免許を取得するよりも「短期集中型」で自動車免許を取得することができます。お仕事をしながら「空いた時間教習所の予約を取って自動車免許を取得したら半年以上かかった」という話も珍しくありません。その点ですと合宿は比較的約2週間みっちり行うので、「早く取得したい」という方は本当におススメです。ちなみにあるあるですが、よく合宿免許には「半年以上合格できず、半ば暮らしているも同然に近いヌシがいる」という話を聞きますが、本当に稀ですのであまり気になさらず、笑い話程度にとどめておきましょう。
合宿免許に行くまで
まず当然ながら自動車免許を取得する際は教習所に通います。そのためには「申し込み」をしなくてはいけません。直接教習所へ申し込みをするのも可能ですが、運転免許の申し込み代行を行っている会社がありますので、そこから申し込むとお値段の割引や、不明点の相談なども親身に乗ってくださいます。実際私も代行会社を通じて申し込みをし、このコロナ禍でどうしても心配事は絶えなかったので色々と質問もしましたが、丁寧に答えてくださいましたよ。そして何より合宿免許に必要な書類などの説明もありますので、必ず確認をしましょう。
運転免許を取る流れとは?
そもそも、教習所(自動車学校)の役割は「運転免許を取得する場所」ではありません。これは現に何かしらの自動車運転免許取得されていらっしゃる方であればもう手前味噌な話ですが、教習所とは『安全な運転者を育成する施設』なのです。ですので、教習所で実技・学科のすべてを受け、卒業検定に合格された方は、住民票記載の都道府県にある公安の「運転免許センター」へ行き、学科試験を受けたのち、合格後晴れて「自動車運転免許」を取得することができるのです。
そうそう、もう一点ありました!本来各都道府県の「運転免許センター」では「実技試験」と「学科試験」があるのですが、教習所で仮免許→卒業検定の認定証を持っていくと、「実技試験が免除」となり、学科試験のみを受けるということになります。なので教習所を卒業した方は運転免許センターで「学科試験」だけ受けて合格すれば『自動車運転免許』を取得することが可能なのです!※ちなみに運転免許センターの「実技試験」は超がつくほど難しく、再試験などになってしまった場合に受験することが可能ですが、合格するのは至難の業と言えましょう。(停止線から車が~cmの距離で収まっている」など非常に細かいそうです。)
申し込み開始
2020年7月初旬、このコロナ禍において大人の事情で時間ができたため「今こそ自動車運転免許を取るラストチャンスかもしれん!」と考えたのもそうですが、親しいお取引先の方とお話をしていた最中、「実は運転免許が無くて…」と漏らした際に相当驚かれたというのもきっかけです。もともと自動車の運転は興味が有るか無いかと言えば、「無かった」のほうが近いと言えます。でなければこの年まで(30代中盤)無免許じゃないですから(笑)。ただ道路や助手席に座ることだけは昔から好きで、自然と道案内も出来たのは強みと言えます。ただ実際ハンドル握るとでは心もモチベーションも違いましょう。「すぐ帰ってこれるよ!」と激励を頂いたと思えば「いや~大変だから、頑張ってね…」と超意味深な投げかけもありましたが、とにかく私も「絶対に最短で取得して帰ってくる!」と心に決めたので、どうかこれをご覧の皆さんも、応援してくれましたら嬉しい限りです(笑)。さて申し込みを開始、そしてお振込み。実際にこの度私が入校する教習所は人気の場所で7月初旬に申し込んだところ、すでに満員だったため、7月末頃に入校する形に。入校まで少々時間は空きましたが、逆に「早割」が適応されたのはラッキーでした(笑)。怪我の功名というやつです。
既往歴のある人は要注目
最初の申し込み時、あるいは入校時でも必ず聞かれることがあります。それは「身体条件」についてです。※非常にデリケートな部分ではありますが、万が一の事もあります。目を通しておくことをお勧めします。入校時にすぐ身体条件に対する「適正診断」が行われます。その際には必ずご自身の身体条件を正確に申告するように求められます。(万一不備があった際や相違があった場合、公的な書類がないと無効となり、入校ができなくなる可能性があります。)この場合の「公的書類」とは「適正相談修了証」と言って、ご自身が過去に何らかの既往歴、あるいは該当する病気に現在もかかっており、治療中であった場合に、医師からの診断の下、問題ないという了承を得たのちに住民票記載の住所に該当の都道府県運転免許センターへ行き、手続きを行うものです。やはり人を乗せて運転する。「命を預けて運転する」という点では、責任もそれだけ伴いますし、健康管理も重要になってきます。まれに「バレなきゃいいんでしょ?」と聞かれることがありますが、バレたら終わりです。バレるどころか、罪がより重くなります…。ですので少々申請が面倒ではありますが、きちんと手続きしておくことによって安心して運転免許の講習に臨むことができます。
適正相談の対象
・身体に障害があるが、運転免許の取得を希望する方
・規定自動車運教習所入校時の適性検査に不安がある方
・身体の障害により、現在の限定条件の解除を希望する方
▼以下は過去1年以内において該当が無い方
・飲酒を繰り返し、絶えず体内からアルコールが入っている状況が3日以上を3回3回以上ある
・治療のために飲酒をやめるよう医師から助言されているにも関わらず、飲酒したことが3回以上ある
・医師から自動車免許の取得を控えるように助言されている
▼以下は過去5年以内において発症が無い方
・病気が原因、または原因は明らかではないが、意識が失ったことがある
・病気が原因で体の全部、または一部が一時的に思い通りに動かせなくなったことがある
・充分な睡眠時間をとっていたにも関わらず、日中に活動している際に眠り込んでしまったことが週3回以上ある
原則として医学的な診断結果の証明書(診断書)が必要な方
※持参の上、運転免許センターへ適正相談に行くケースがあります。
・統合失調症、そううつ病などの精神的な病気、心療内科などで治療を受けている方
・てんかん
・不整脈。ペースメーカー、植え込み型の細動器などを植え込んでいる・
・意識消失を伴うもの
・低血糖
・重度の眠気の症状を引き起こす睡眠障害
・認知症
・脳疾患(脳出血など)
・アルコール依存症、薬物中毒症
・筋力や神経系の症状を引き起こす筋ジストロフィー、パーキンソン病
・その他運転に支障が出るとされているもの
以上になります。こうしてみると、もしかしたら「あ、自分該当している…」という方もいらっしゃると思います。しかし、該当しているからと言って普通免許が絶対にとれませんとは言い切れませんので、必ずかかりつけの医師に先ずは相談し、そして公安の交通安全課や運転免許センターに相談し、自動車運転免許取得の際、自動車学校へ行く前の手続きを確認しましょう。(※既往歴や病気によってはバス・タクシーに必須な大型・普通第二種免許の取得が不可能な場合もございますのでご注意ください。)
荷物は多めに
出発の時が刻々と近づいてまいりました。必要なものも結構あります…。何せ約2週間も家を留守にするわけですから!2~3日の慰安旅行とは訳が違います…。ただ話によれば、有料ではあるもののコインランドリー付きらしく、比較的利便性はあるようですが、それでも日本列島は梅雨明け直前…なのかどうかという気候。そうでなくてもジメジメするわけですので、多く衣類をもっていくことに越したことはないでしょう。合宿免許で必要な荷物は以下になります。
いよいよ出発!
集合時間は現地最寄新幹線駅に午前10:00~。関東1都3県内の某所から、合宿免許先の餃子が消費量が日本トップクラスの県までは移動距離にして概ね2~3時間を要します。なので7:00に出発!胸が高まると同時に、もう30歳も中盤に差し掛かると…「あらゆるリスクにも対処できるように冷静でいなければ」と思うようにもなってしまいました。無我夢中だった20代が懐かしい…合宿免許はどんな年齢層の人が多いのでしょうか…?
し、しまった…!思わぬトラブルも。
やってしまいました…。最寄駅までの坂道で、キャリーバックをガラガラ引いていたら急に軽くなって何事かと振り向いたときにはもう「ボキッ!」と、持ち手が折れてしまいました。。。約2週間ということで、かなり詰め込みましたが、返って裏目に出てしまいました。トラベルは一文字違うと「トラブル」になってしまいますので、慎重に行きたいところですが…いやぁ初っ端からこれは参りました(笑)。ぜひこれから合宿免許で自動車免許や二種免許を取得される予定の皆さんは気を付けましょう。…あれ、そういえば「あらゆるリスクに」と言ったばかりでしたね。テヘ!
合宿免許の教習所へ到着
東京駅から新幹線に無事乗車。最近は「乗換案内」も進化して、目的地へ確実に到着するために利用する方も、常識となりつつある機能ではありますが、出発当日は大荷物のことも踏まえ、時間に余裕をもって調べるのはもちろんのこと、条件を入力する際「ゆっくり歩く」にすると良いでしょう。
つい普段使いのままで「急いで歩く」モードのままであったりするなどすると、ターミナル駅の乗換でかなりな苦戦を強いられるどころか、電車を逃すことにもなりかねません。さて、そんなこんなで私もヘトヘトになりながら目的地最寄駅へ到着…。無事送迎バスに乗り、待望の合宿所へ到着!到着早々、学科や実技で使用する教材などを配布され、施設の説明…俗にいうオリエンテーションを行い、まず最初の階段『適正検査』を実施することなります。
(その後の学科・実技の学習などは『合宿免許へ潜入㊙取材!【第二話:衣食住もコロナも安心!合宿一日の流れ編】2020年7月をご覧ください。)ちなみに今回合宿免許で入学した教習所には普通自動車免許だけに限らず、「普通・大型第二種免許」「準中型免許」「大型自動車免許」「大型特殊自動車免許」「大型自動二輪車」「高所作業車」「小型移動式クレーン」「車両系建設機械」「高所作業車」など多岐に渡る教習所となっています。
まとめ
さて今回は合宿免許の出発前と当日の様子をお伝えしました。主に「備えは万全に」、「トラブルにも冷静に対処」…これらは後々合宿免許での生活や特に教習での技能にも生かされる事柄ですし、今後皆さんが普通自動車免許やタクシードライバーとしてタクシー会社に入社する際などに合宿免許での「トラブルを未然に防ぐ」という点でも大いに役立っていただければ嬉しい限りです。自動車免許は18歳から取得できますし、今回の合宿免許でも18~19歳の教習生も多い印象です。私は18歳の時、運転免許は取得せず、合宿免許に申し込む手前で辞めた経歴があるのですが、ふと思うと30歳半ばで社会人経験をしてから免許を取りに行くのも、いろいろと視野が広がってそれはそれでよいのではないかと思います。所詮タイミングの問題で今まで取得できていなかったのであれば、何か意味があってのことだったのでしょうし、前向きにとらえることとしました。それにタクシードライバーも、自家用車も普段「こんなに色んな事を気を付けて普段頑張っているんだな」と深く考えることができたのは多分…10代では無理だったような気もします(笑)。
▼バックナンバー
合宿免許へ潜入㊙取材!【第一話:最初はみんなが“初心者マーク”準備・出発編】2020年7月
合宿免許へ潜入㊙取材!【第二話:衣食住もコロナも安心!合宿一日の流れ編】2020年7月
合宿免許へ潜入㊙取材!【第三話:仮免許運転中♪学科・教習編】2020年7月
合宿免許へ潜入㊙取材!【第四話:みきわめろ!実技卒業検定編】2020年7月