タクシーは不特定多数の人が乗る、公共性の高い交通手段です。そのため、電車やバス、あるいは飲食店などと同様に、タクシーに忘れ物をするお客さんは多いものです。
人間はうっかりミスをする
荷物を持ってタクシーに乗ったことを乗客は認識しているはずですし、降りるときに忘れ物のないように、しっかりと気を付ければ済む話だと思いがちです。しかし、それでも忘れ物は現実にたくさん発生しています。
仕事に疲れてついウトウトと眠りに落ちてしまった、飲み会の帰りに酔いが回って車内で爆睡してしまった、眠りに落ちているときに目的地への到着を告げられ、慌てて代金を支払って降りた際など、うっかり荷物を置き忘れてしまいます。
また、車内で携帯電話の会話に夢中になり、そのまま代金だけ払って降りて、荷物の存在そのものを忘れてしまうといったことも起こります。このように人間は、日頃から忘れ物をしないように気を付けていても、何かの拍子にうっかり気が緩むこともあるのです。
その点に留意し、タクシードライバーは乗客が下りる際に「忘れ物はありませんか?」とはっきりと問いかけるようにすることが大切です。そうすることで、たとえ乗客の注意力が散漫になっていたとしても、現実に引き戻すことができます。
後部座席の足元とトランクは要注意
置き忘れしがちなのが、後部座席の足元に置いた荷物です。
特に、タクシーは歩道寄りの左側の後部ドアから乗り降りするのが一般的で、1人で乗る際には後部座席の左側に座り、荷物は右側に置くことが多いです。その荷物が走行中に足元に落ちてしまっていることに気づかない場合があります。あるいは雨の日にタクシーに乗る際、雨に濡れるのが鬱陶しいので、トランクを使わずに車内に荷物を持ち込む場合があります。
荷物の大きさによっては、後部座席の足元に荷物を置く場合があり、そのまま置き忘れて降車してしまうこともあります。
また、荷物が多いときに、大きな荷物をトランクに積んでもらった場合、手元に小さな荷物があることによって、トランクの中の大きな荷物の存在自体を忘れてしまう場合があります。
これは単に乗客が気を付けるだけでなく、トランクに荷物を積んであるということをタクシードライバー自身もしっかりと認識し、降車の際には荷物を取り出すのを手伝うなど、忘れ物が発生しないように能動的に行動するようにしましょう。
このほか、スマートフォンや鍵の束、名刺入れやIDカード、社員証など、衣服やカバンのポケットからするりと落ちやすい小物が後部座席や足元に落ちていることもあります。できれば、「携帯電話など小物類のお忘れ物がございませんようにお降りください」といった丁寧な声掛けをするのがよいでしょう。