タクシーといえば、オーソドックスなデザインのセダンボディを思い浮かべる人が多いと思います。しかし、タクシー会社によっては、セダン以外の車両、例えば多人数乗車に対応したジャンボタクシーなども取り扱っているほか、ユニークな企画の車両を導入している事例があります。その一部をご紹介します。
レトロタクシー
レトロタクシーは、岩手県花巻市の文化タクシーが走らせている、英国で1920年に製造されたクラシックカーベースのタクシーです。9人乗りの大柄なボディから威風堂々たるボンネットがせり出したスタイルは、レトロな中にも小型バスのような迫力ある外観となっています。
運賃はジャンボタクシーと同等で、貸切のほか通常のメーター走行も可能とのことです。古き良き時代のヨーロッパにタイムスリップしたかのような優雅なひとときを過ごせるタクシーとして人気があります。
ロンドンタクシー
ロンドンタクシーは、英国ロンドン市内を走っているタクシーで、ブラックキャブと呼ばれています。
最も多く走っているLTI社製のブラックキャブは、クラシックカーのような縦に長い巨大なグリルとお茶目な印象の丸形ライトという異色の組み合わせのフロント回り、そしてミニバン並みの天井高を持つ大きめのボディという独特の外観とは裏腹に、小回りの利く足回りを組み合わせた設計となっています。
特に、客席は通常の後部座席3名に加え、運転席と客席の間を仕切る隔壁に折りたたみ式の後ろ向きシートが2脚ビルドインされており、5名の乗客が乗れるようになっています。ちなみに、通常助手席がある位置は荷物置き場となっています。このロンドンタクシーが日本にも輸入され、一部のタクシー会社や結婚式場などが保有しています。
このうち、神戸の近畿タクシーではロンドンタクシーを導入する際に、乗務員の制服もホテル風のハイセンスなものとし、地元の一流ホテルともタイアップ。結婚式や観光など特別なシーンを演出する場面などで大活躍しています。
タイガースキャブ
阪神電鉄系の阪神タクシーが走らせているのが、タイガースタクシーです。タイガースの縦縞ユニフォームを思わせる白黒の縞模様がボディ全体に描かれており、ボンネットにはおなじみの猛虎マーク、そして両側面には「FIGHT!! Tigers」の巨大ロゴが踊っています。
このド派手なタイガースキャブは、わずか7台しか走っていません。なぜ7台かというと、ラッキーセブンにちなんだものだそうです。
ラッキーセブンは、阪神ファンならロケット風船飛ばしと六甲おろし合唱でワクワクする瞬間ですが、7台しかないタイガースキャブに偶然遭遇できた乗客、しかも阪神ファンであれば間違いなくラッキーでしょう。