タクシーは乗客を安全に目的地までお連れして対価を得る運輸業です。しかし、ただお客様を安全に運べばいいというわけではなく、近年ではドライバーによる顧客接遇の向上が強く求められています。そのためには、単に研修等を開いてドライバーを教育したり叱咤激励したりするだけではなく、ドライバーが明るく快適に生き生きと働けるようにするために、福利厚生面の充実も非常に大切です。
シャワー室があることの意義は大きい
タクシーの勤務体系は、昼日勤(朝から夕方まで乗務)や夜日勤(夕方から深夜まで乗務)のほかに、隔勤(隔日勤務)があります。隔勤のドライバーは、会社を朝8時頃出発して深夜2時ごろに戻ってくる18時間勤務が多く、言い換えれば1日で2日分を働くようなものです。勤務パターンがこの3パターンのいずれかに完全に固定されているのであれば、入浴やシャワーは出勤前あるいは帰宅後に自宅で済ませるのが普通です。
しかし、タクシードライバーの勤務体系は、必ず固定化されているというわけではなく、人繰りの都合などにより、勤務を終えてから短時間の休憩を取ったのちに、別の勤務体系での就業を依頼される場合もあります。その際に自宅に帰って仮眠を取ったりシャワーを浴びたりするのは、効率的でない場合があります。また、18時間勤務の隔勤の場合は特に長丁場ゆえに、汗をかく夏場などには休憩の際にシャワーを浴びたくなる場合もあります。そうしたときに、シャワー室や仮眠室が会社にあるのは、ドライバーにとってありがたい存在となります。
女性専用のシャワー室や仮眠室が必要
シャワー室や仮眠室を設置しているタクシー会社は多いです。ただ男性が大半の職場であることから、男性用と女性用を区別していない例も一部に見受けられるようです。これは、女性ドライバーにとっては働きづらさの原因ともなりますので、女性用のシャワー室や仮眠室を設置することが重要となります。
シャワー室の完備が顧客接遇向上につながる
タクシーは鉄道やバスなどと比べて、乗務員と乗客の距離が非常に近く、しかも狭い車内という密室空間で一緒に過ごすわけです。必然的にタクシードライバーの身だしなみや清潔感が大切になってきます。長時間勤務や連続勤務の場合などにシャワーを浴びて体を綺麗にしておくことは、車内環境を整える面でも有意義と言えます。
顧客接遇の向上や従業員の福利厚生面の充実という点において、男性ドライバー用のシャワー室は言うに及ばず、今後は女性のタクシードライバーが増えると予想されることからみても、女性ドライバー専用のシャワー室はますます求められる設備となってくるでしょう。