タクシー運転手の「稼ぎ方」について、大まかに分けて2つの方法があるのをご存じでしょうか?
攻めか守りか
まず、道路を走っているタクシーに手を挙げて「あなたのタクシーに乗せてもらいたい」という意思を示した客を乗せるのが「流し」です。法律や条例等で禁止されている場所を除き、タクシーが安全に停車でき、乗客が安全に乗車できる場所であれば、どこででも乗客を乗せることができます。
一方、駅前にあるタクシー乗り場など、所定の場所で乗客が来るのを待つのが、「付け待ち」です。それぞれ、「攻め」の姿勢と「待ち」の姿勢ということができますが、いずれも長所と短所があります。
流しは運まかせではダメ
流しの場合は、所定の乗り場以外の場所で、今まさにタクシーに乗りたいと考えている乗客にタイミングよく遭遇する必要があるため、実際に乗客を乗せられるかは運に左右されます。ただ、完全に運まかせの不安定な方法かというと、必ずしもそうではありません。乗客が現れやすい有望な地点や時間帯を日頃から探しておき、その地点にタイミングよく出向くことで、当てもなくタクシーを走らせるよりも格段に乗客を見つけやすくなります。
また、ある地点で乗客が現れなくても、近場にある別の乗客がよくいる高確率地点を調べておき、すぐに移動することで乗客に遭遇できる可能性もあります。つまり、日頃のたゆまぬ研究が物を言う方法ということになります。
付け待ちは休憩も兼ねる
付け待ちは、駅前のタクシー乗り場など所定の場所に行って、客が現れるのを待つ方法です。街の中をぐるぐると走り回って、挙手で乗車の意思を示す人を探すよりも、客を探す手間はかかりません。ただ、付け待ちの場合は、ライバルが多い場合があるのが難点です。たとえば、駅のロータリーで付け待ちをする場合、すでに大量のタクシーが順番待ちをしていることが珍しくありません。順番待ちの列に数十分~数時間かけて並んで、ようやく自分が客を乗せる番になり、乗客の行き先がワンメーターで行ける距離でがっかりしたという話もよく耳にします。
また、順番待ちの長蛇の列を避けるために、ライバルの少ない駅や施設で並んでも、客がなかなか現れないというケースもあります。ですので、付け待ちの利用は、客待ちで並ぶ時間を休憩時間と兼用にし、流しに力を入れるドライバーも大勢います。受け持つ地域に関する傾向分析や、地理などの習熟度合いに応じて、付け待ちのウェイトを減らし、流しのウェイトを高めていくのが、理想的な方法といえるでしょう。