皆さんは普段の生活で「空車」と聞くと何を思い浮かべますでしょうか?
例えばコインパーキングなど駐車場・駐輪場でのシーン。
そしてやはりタクシーを利用する際に、自分が乗ろうとする車が「空車」かどうか…
ではないでしょうか。
ここで目線をタクシードライバー側にしてみると、空車という立場はどのような状況で
あるでしょうか?
近頃タクシー利用が新型コロナウイルスの影響で減少傾向の中、タクシーの安全性を謳う会社も
多く、利用される方は、快適に過ごせるチャンスかもしれませんし、タクシードライバーにとっても有益といえます。
見出し
空車のタクシードライバーは何している?
お客様を探している
通常「空車」はタクシードライバーにとって営業中。
お客様をお乗せできる状態にあります。
タクシー車両側からみて左(正面から見ると右)のメータ機器表示ランプが赤色で「空車」と
なっているのが目印です。
昨今は訪日外国人観光客への対応とオリンピックも控えていることもあり、機器表示ランプも
「空車 VACANT」と英語表記に対応する車種も東京都内では増えてきています。
タクシー乗り場に向かっている
東京都郊外やその他地域では、主にお客様が外でタクシーを捕まえるスタイルはあまり無く。
タクシー会社などへ配車のお電話をするか、スマホ・タブレット端末での配車アプリでの
呼び出し、主要施設に設置されている直通電話での呼び出しがメインです。
それ以外となりますと、駅前のタクシー乗り場に向かうケースがほとんどです。
基本的にタクシーは駅前にタクシー乗り場があるにも関わらず、その手前などで乗車するという
行為をお断りしております。そのため、近隣の交通安全向上と秩序を守るという観点から、
既存のタクシー乗り場での乗車をタクシードライバーより促されるケースがあります。
時間帯によってはたくさんのお客様がご乗車になり、タクシーはピストンで駅前のタクシー
乗り場に戻ってきます。
空車の反対は?
空車がお客様を乗せていない状態であれば、その反対はなんと呼ぶのでしょう?
コインパーキングなど駐車場・駐輪場であれば「満車」ですが、さすがにタクシーに
限ってはそのような表示灯はありません。。
タクシーにお客様がお乗りになった場合は基本「賃走(ちんそう)」という表示になります。
近年はランプを非表示にすることもあります。
とにかく「空車」のまま走らせては絶対にいけません。
理由として、外でタクシーを見たお客様は「タクシーに乗れる」と勘違いをしてしまいますし、
タクシードライバーにとっても、貴重な営業収入が得られなくなるからです。
その他にも22時~翌5時までの深夜時間帯のみ有効の「割増」表示や、送迎などではタクシー
会社によっても異なりますが「送迎」「予約車」などがあります。
空車と回送の違い
タクシーにおける「空車」と「回送」の違いについて解説します。
車内にお客様を乗せていない…という点では同じですが、意味合いは大きく異なります。
空車はお客様を探している。
空車はお客様がタクシーに乗車可能の状態であることを言います。
お客様はタクシーのメータ機器表示ランプが「空車」であれば、乗車は可能。
例外を除き、空車中にお客様から手が上がり「乗りたい!」という依頼があったにも関わらず、
通過してしまった場合は「乗車拒否」となる可能性があるので注意が必要です。
回送はお客様をお乗せしない。
回送は電車・バスで使う意味合いとタクシーでも同じく、「お客様をお乗せしない」状態を言います。
タクシーはお客様を目的地までお乗せするのが主な仕事ですが、それ以外にも時間は使います。
給油・食事・そして乗務員の休憩。場合によっては遠い場所まで営業に行った際の帰り道。
これらの際はタクシーのメータ機器表示ランプを必ず「回送」にしておかなければなりません。
タクシーの営業区域は必ず決まっているので、ご自分の区域に戻るまでは「回送」で帰ってくるのが大原則です。
(例外として、他区域でお客様がご乗車の際、目的地がタクシードライバーの営業区域の場合は可能)
空車時の働き方
タクシードライバー目線になりますが、これからタクシー業界へ転職を希望している方も、
必ず考えるであろうことだと思います。
もちろん、入社をすれば各地域ごとに営業スタイルも違いますので、そこで研修担当の方と
不明点を解消していくのも手でしょう。空車時のお客様の見つけ方の一部をご紹介します。
東京特別区・武三地区
東京特別区・武三地区(武蔵野市/三鷹市)は47都道府県でも、お客様を走行中に捕まえて
お乗せする「流し営業」が大きな割合をしめる唯一の地域。それだけに、空車で走ることは
大きな意味を持ちますし、「どこの街をどの時間どの車線で走るか」を軸に考えるのが
大切でしょう。タクシー専用乗り場は『おまけ』にすぎません。
また、よく耳にする「勘に頼る」というのは何十年も業界に君臨するベテランドライバーが
することです。
タクシードライバーはそれぞれ各区に拠点の営業所から出庫し、一日の仕事をスタート
させます。出庫の時間帯もバラバラですが、タクシードライバーによっても得意・不得意な
街もあれば、時間帯もあるようです。
お客様側の気持ちになれば、3車線の街道でタクシーを捕まえたいとき、そのタクシーが空車
にも関わらず追い越し車線を走っていたら、お客様はタクシーに乗る事ができませんし、
タクシードライバーとしても、せっかくのチャンスを逃してしまいます。
首都圏では365日人も車も会社も、イベントもフル稼働しているので、タクシードライバーに
とって「情報量」が肝となってきます。それと同時に走り方ひとつでタイミングを掴めることも
できます。
交通規則は充分に順守して車間距離と信号とのリズムをうまくとりながら、混雑する交差点では
一番端の走行車線を走り、赤信号の際は先頭で停車できれば…お客様のご乗車が増えるかもしれません。
東京都多摩地区/その他一都三県
東京多摩地区の空車時の営業方法は、駅前のタクシー乗り場での待機スタイル・病院などへの
付け待ちとなります。こちらも東京首都圏ほどではありませんが、それでも小さな情報量が
大きな営業収入を生むこともあります。
日中の空車時間が多い際、『駅から離れた場所でのイベント=タクシー』という考え方も
持っていれば、上手に動く事ができ、日中は多くのタクシー車両が止まっている駅前の
タクシー乗り場から抜けられないこともないでしょう。
(例:病院の診察終了時・スポーツグラウンド付近・バスの来ない時間に走るなど…)
その他三県(神奈川県・千葉県・埼玉県)も同様に、駅前待機スタイルが多いですが、
ターミナル駅や繁華街付近となると東京特別区武三地区同様に、流し営業が成立する
場所もあります。
また、直通運転などを行っている電車は、終着駅などは穴場のようで、昨今は3県をまたぐ電車も
珍しくないことから、終電を逃したお客様からの依頼でロング営業というケースもあります。
観光地などの地方都市
観光地などの地方都市は通常時、東京多摩や一都三県と同様に駅前のタクシー乗り場での
待機スタイル・病院などへの付け待ちとなります。
また地方都市などは企業の支店なども軒を連ねることが多いため、出張族の足は繁華街に
出向くケースが多いので流し営業も成立する場合があります。
そして連休やお盆、年末年始などの繁忙期になると帰省客や観光客を乗せる機会が増えるので、
タクシーは一日中「目的地→駅までピストン」+観光地への送迎というスタイルが多いでしょう。
その他地域
地方でタクシーの需要が少ない地域として「マイカー率」が高いことが挙げられます。
または、運転代行サービスの普及もあり「居酒屋まで車で行って、その後は任せる…。」
という需要もあると、タクシーの活躍する場は貴重な機会かもしれません。
ですが、やはり目的地までの距離の長さ…これが大きな特徴です。
一度ご乗車されたお客様の単価が3,000円以上は行くというのも地方ならでは。
確かにお客様の数も多くなく、無論流し営業など成立しない場所でも、乗車されるお客様は
1メーターという方は稀。また、それでも病院通いで常時利用される方にとっては貴重な足と
なるので、駅前での「空車」は必要不可欠でしょう。
減少したお客様を乗せる取り組み
タクシーを利用するお客様が減少…。
もうご存じかと思いますが、昨今の新型コロナウイルス流行の問題は、タクシー業界に大きな
影を落としました。当然タクシードライバーにとっても収入に関わる大きな問題。
様々な公共交通機関の中で、タクシーは安全な乗り物であることは、このタクシーディアでも
取り上げておりますが、外出自粛や緊急事態宣言が発令させた今、一斉にお客様がタクシーを
利用するということは流石に考えられません。
連日、テレビの報道ニュースで「都心のライブカメラ」に切り替えると、人通りの少なくなった
街にタクシーばかりが走る映像をみて、心が締め付けられる思いです。
ただ、そんな中でも「タクシーは空車で走っている」というアピールは逆に、安全面を考えて
利用してくださるお客様もいらっしゃるのも現実です。つまりは、この状況でも空車をうまく
利用して営業しているタクシードライバーはいるということになります。
ここでは減少したお客様を乗せる取り組みや、乗せたケースの口コミを集めてみました。
4月14日(火)
こんにちは(^^)
本日もレクサスGSタクシーとレクサスESタクシー運行しております。
「空車」表示で見つけたら是非、手を挙げてご乗車お待ちしております。#国産自動車交通 #タクシー #レクサス #東京無線 pic.twitter.com/NXWOorVQjX— レクサスタクシー 国産自動車交通㈱ (@Lexus593TAXI_GS) April 14, 2020
https://twitter.com/1989taxi/status/1249898862984097792
https://twitter.com/juns01285173/status/1248078266990129153
【非常事態宣言下、タクシーが最強説1】
ウイルス対策には「#換気」が肝心。
ということで、各交通機関の空気が入れ替わる時間を調べてみました。
・ 飛行機の全面換気→2~3分
・ 鉄道の全面換気→6~7分
・タクシーの全面換気→1~2分(窓閉め+エアコン)#コロナウイルス #非常事態宣言 #タクシー pic.twitter.com/AQbRxRrrmn— T's Life-東京ハイヤー・タクシー協会 (@TsLife_tokyo) April 7, 2020
企業によっては休業、従業員の解雇と言った声も聞こえてきますが、やむを得ず外出を
余儀なくしてしまう場合の貴重な交通手段としてタクシーの利用が少しでも増えて、
空車を減らしていけたらいいですね。
まとめ
「空車のタクシードライバー」がお客様を乗せるための対策は、各地域によって違います。
昨今の国際化で空車表示も日本語と英語の両方で表記するようになったタクシーもあります。
お客様がさまざまなシーンで今まさに乗らんとしているタクシーが、「空車」の表示であれば、
利用することが可能です。
それにタクシードライバーもお客様がタクシーを乗りたいときは、気持ちよくお乗せしなくては
なりません。また、回送時はお客様は乗車できない・乗車をさせられないので注意が必要です。
逆に空車時にお客様をお乗せしない場合は「乗車拒否」に該当する場合があります。
新型コロナウイルスの世界的流行により、タクシー業界は空車の車両が多く、
タクシードライバーの収入にも大きな影響をもたらしています。
今はタクシードライバーの営業方法の見直しや対策を改めて考える時であり、
「働けていること」にありがたみを感じる時期なのかもしれません。
空車を少しでも減らせるように、様々な努力を、出来ることをしていくことが大事です。