新型コロナウイルス(COVID-19)が世界中で大流行しており、今日、日本も新型コロナウイルスに大きな影響を受けています。
そんな中タクシー業界はこの脅威に立ち向かうべく、お客様はもちろん乗務員・従業員への感染拡大を予防する取り組みに励んでいます。
タクシーは感染しやすいというイメージを持っている方も少なくないはず。
ですが、タクシーはこまめに換気ができ、不特定多数の人との接触を避けて移動できる点から、他の公共交通機関と比べて安全に移動できる手段であると言えます。
また、タクシー業界は新型コロナウイルスの流行以前から、乗務員の健康管理の徹底やお客様の安全を第一に考えている業種です。
ここではタクシー会社が行っている感染予防へどのような対策を行っているのか、各社どのような取り組みをしているかを特集し、最新の業界に関する情報をお伝えしていきます!
タクシー会社の感染防止への取り組み【随時更新】
まずは業界全体で行っている取り組みを記述します。
下記に記述していることは風邪や季節性インフルエンザ流行に対してでも同様の対策を取っていますが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、より一層取り組みを強化しています。
手洗い. うがい、咳エチケットの徹底
過去の季節性インフルエンザや従来のコロナウイルス(SARSやMARS)などの感染症における対策でも度々報じられてきたことでもあり、私たちも幼少時から教育されてきましたが、やはり「基本の基」は手洗い. うがいの徹底につきます。
タクシー会社では、出社(出庫)の際、乗務するタクシー車両の点検も含め、必ず『点呼』を行います。
タクシー会社には必ず『運行管理者』が常駐しており、乗務員に対して点呼を行っており、報告・確認・指示を与えており、記録を保存しております。うがい手洗いも同様で、徹底に徹底を行っております。
手洗いとうがいは先程も記述しましたが、「基本的」なこと。ですが、この基本がウイルスから自分の身を守る為の大切な予防策なんです。お客様へうつさないことはもちろん「うつす」前に「うつされない」対策をすることが重要なのです。
また、『咳エチケット』に関する注意喚起も出庫時の点呼では重要事項の一つとして上がります。
報道の過熱やSNSの不特定な情報に敏感になるあまり、多少の咳でも気にするようになってきている昨今、首都圏の鉄道に乗れば「咳エチケットへのご協力を…」というアナウンスが流れるほどです。
タクシー乗務員も咳エチケットは厳守事項。非常に気を遣う部分でもありますので、マスク着用、ティッシュやハンカチで覆ったり、普段から口が乾かぬよう、のど飴などを舐めるなど対策を講じているようです。
毎日の体温測定
「なんだか熱っぽいから体温計ってみようかな」
おそらく私たちが体温計で自らの体温を計る機会は、妊娠時などを除いて「具合の悪い時」くらいかもしれません。ですが、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためには毎日体温を計ることはとても重要なんです。
新型コロナウイルスは感染しても無症状・軽度の症状で済む事例も多く、無意識に自分がクラスターとなってしまう危険性が十分にあります。
日々不特定多数のお客様をお乗せするタクシー。感染予防だけではなく、感染拡大を防ぐ為にも、乗務前に検温及び健康状況のチェックを怠りません。
この検温は、決して乗務員一人で行うものではなく、管理者が確認する目視での健康調査になります。タクシー乗務員は乗務中に倦怠感、発熱、悪寒、関節痛などの該当する自覚症状を有する場合は、即座に乗務を中止し、その結果を自身の所属するタクシー会社に報告するという形をとっております。
点呼では1人1人に対して、申告漏れがばないように第三者が検温を行うようにしている。(東京都足立区 つばめ交通)マスクの装着
新型コロナウイルスが流行し始めた1月下旬頃、世間のニュースでこんな話題を目にしました。「接客業でマスクを着用することは、お客様にとって表情がうかがえない部分もあり抵抗がある」これには賛否が分かれましたが、程なく世界的に流行し出したのを機に「感染抑止を最優先と考えればマスクの着用は至極当然」という潮目に代わってきたように思えます。
タクシー業界も例外ではなく、特に特別区で「おもてなし・ホスピタリティ」を重視する営業所にとっては、お客様に対してどうあるべきかを考える事態となったのはいうまでもありません。
ただ、やはりタクシーは『接客業』。その中でも~お客様に背を向けている時間が圧倒的に長い~という特殊なお仕事。その為、接客次第では誤解されることも多いのも事実です。そのため、各会社では「マスクを着用する意味」をきちんとお客様に理解をしていただくためにも、乗車時のアナウンスや文章の提示などで認知、理解を呼びかけています。医学的な見解はここでは控えますが、当然ながら飛沫感染などを抑えることが目的で、お客様にも、タクシー乗務員にも、タクシー乗務員の会社にも、タクシー乗務員の家族にも迷惑が掛かってしまっては元も子もないというわけです。
▼つばめ交通では乗務員にマスクを配布している様子をSNSでも発信して感染予防に取り組んいることを呼びかけている。
つばめ交通では、新型コロナウイルス感染拡大への対策として、乗務員のマスク装着の徹底・全車両全て車内の除菌消毒を徹底しております。
タクシーは皆さんの大切な移動手段の1つです。感染予防対策を怠らず、感染防止に努めます。#タクシー #つばめ交通 #新型コロナウイルス #感染防止 pic.twitter.com/Vi7w293f9V
— つばめ交通株式会社 (@TsubameKotsu_TK) February 14, 2020
▼他にもマスク不足を懸念して手作りのマスクを配布する会社など、各社この困難を乗り越えるべく工夫をしている。
代表自ら乗務員の為に手づくりのマスクを作って配布。その心遣いに乗務員から感謝の声が上がっている。 【出典:転職道内ブログより。東京協同タクシー株式会社(東京都板橋区)】現在は、乗務員のマスクの装着は必須と言えるレベルまで浸透をしています。ですが、マスク不足の影響はタクシー業界にも広がっており、中にはマスクの確保に困難をきたしている会社も増えています。
深刻なマスク不足を乗り越えるべく、国もバスやタクシーへのマスク供給に向けて準備を進めています。各タクシー会社も乗務員へ何とかマスクを配布できるよう日々奮闘しています。
▼乗務員に会社からマスクを支給し、点呼時には全員がマスクを着用している。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、1月29日から毎日全員にマスクを支給しているとのこと。【出典:葵交通HPより。葵交通株式会社(東京都杉並区)】無線グループの「チェッカーキャブ無線協同組合」も加盟会社にマスクを配布し、マスク不足を支援する等の取り組みを行っています。→詳細はコチラ
車内の除菌・消毒
一般論ではありますが、ウイルスはアルコールに弱いと考えられています。
飲食業でも、やはり食中毒予防に「アルコール消毒」は欠かせませんし、日常生活でもアルコール除菌をされている方は多いのではないでしょうか。
政府の発表によると新型コロナウイルスに対してもアルコール消毒(70%)に弱いことが判っています。
タクシー車両は、バスや鉄道にはつり革などたくさんの共用部分があるように、タクシー車両にもドアレバー・シート・シートベルト・画面パネル…お客様が直接触れる可能性が高い部分がありますので、念入りにアルコールスプレーや除菌シートで消毒を行っています。
次世代型タクシー車両として近年導入が進んでいるJPN TAXIも、タッチパネルでの決済が多いため、画面の除菌・消毒も念入りに行う対象となります。
アルコール以外でも、アルコールと同様の殺菌効果を持つ、次亜塩素酸ナトリウム等を用いて各社車内の除菌を徹底しています。
※アルコール消毒・次亜塩素酸ナトリウムについての記載は厚生労働省の新型コロナウイルスについてを参照しています。
車内の換気
感染予防対策のひとつとして、『換気』が重要というのは各方面でも挙げられております。
タクシー車両のメリットは「換気が出来る」こと。いつでも窓を開けられるということです。
この感染予防対策は雨天時を除けば、簡単に出来ることなので、こまめに換気をしながら営業することが大切と考えます。
(お客様によっては花粉症の方がご乗車される場合・トンネルなどの空気の悪い場所を通過する際は注意が必要です。)
情報提供企業一覧(五十音順
・グリーンキャブ株式会社(東京都 新宿区)
※リンクは本社営業所のものになります。
・日の丸グループ(東京都 文京区)
※リンクは世田谷営業所のものになります。
・株式会社フジタクシーグループ(愛知県 名古屋市)
※リンクは本社営業所のものになります。
・飛鳥交通グループ(東京都 新宿区)
※リンクは品川営業所のものになります。
その他各社が実践している取り組み
乗務員のコロナ保険の加入(キャピタルモータース株式会社)
日々の業務において事故が隣り合わせな職種に為、各タクシー会社は万が一の事態の為に保険に加入しているのが一般的です。キャピタルモータースでは新型コロナウイルス感染拡大を受けて、
社員への福利厚生の一環として、新たに新型コロナウイルスに感染した場合でも有効な保険を設けています。
不特定多数のお客様をお乗せすることに不安を持つ乗務員も少なくありません。保険に加入できることによる、少しでも社員の不安を解消できればとのことでした。
タクシーで脱密通勤!タクシー会社の徹底されたコロナ対策紹介(換気,除菌)
感染防止対策車の運行(境交通・日の丸交通)
出典:境交通HPより運転席と後部座席をビニールシートで区切り、お客様と乗務員との飛沫感染を予防する取り組みも行われています。
タクシーは不特定多数のお客様が一堂に会する他の交通機関に比べて感染リスクが比較的低い交通機関と言えます。ですが、現在はタクシー乗務員にも新型コロナウイルスの感染が確認されており、ドライバー同士の感染拡大・ドライバーからお客様への感染拡大を不安視されている方が多いのが現状です。
そういった不安を解消すべく、堺交通や日の丸交通では上記写真の様に飛沫感染防止シートを装着する対策を行っています。境交通では装着している車輛には車両左側・助手席ドアに「 感染予防対策実験車 」と表示し、運行を行っています。
境交通ではこのように感染対策車には助手席ドアに「 感染予防対策実験車 」と表示している。
【4/20追記】大手日本交通が新型コロナウイルス感染者の宿泊療養施設までの搬送を受託することを発表。
自動車メーカーのホンダが新たに生産を始めた患者を搬送する特別車両。医療現場への無償提供を予定している。(参照:https://www.honda.co.jp/news/2020/c200414.html)東京都が新型コロナウイルスの宿泊療養者の搬送を特別車両を用いて行うことを決定したことを受け、大手タクシー会社日本交通では、この特別車両の運行を受託すると発表しました。
特別車両は、乗務員と患者が接触しないように座席の前後が完全に仕切られているホンダが開発したものを使用します。さらに運転者は患者の乗降時も車両から出ないなどの対策をし、運転者の感染リスクを抑えています。当面は5台体制でのスタートとなるとのことで、新型コロナウイルスの影響を受けるタクシー業界ですが、新たなサービスの試みを始めました。
参照:日本交通HPより(https://www.nihon-kotsu-taxi.jp/news/200417/)
乗務員への生活・心身への配慮(東京協同タクシー・つばめ交通)
外出自粛が広がり、タクシー業界は売上に大きな影響を受けています。殆どの会社が歩合給を設けている為、乗務員の生活にも大きな打撃を受け始めています。
乗務員の生活を守る為に、東京協同タクシーでは売上を出来る限り乗務員さんに還元できるよう、条件の緩和や貸付の対応・返却の一時停止などを行い、
在籍している乗務員がこの苦難を乗り越えられるように対策を練っています。
まだまだ気の休まらない日々が続いていますね。
少しでも乗務員さんの気疲れを軽減できればと、おやつを配り🍬リラックス効果のある香りを点呼場に😉🌸
こんな時でも笑顔を忘れない乗務員さんに元気を貰っています🥰#タクシー #足立区 #つばめ交通 #コロナ対策 #コロナに負けるな pic.twitter.com/ocvHADpZVp— つばめ交通株式会社 (@TsubameKotsu_TK) March 26, 2020
また、つばめ交通でも乗務員への精神的なケアとして、のどの乾燥を防ぐのど飴やイライラを緩和させるチョコレートの配布・リラックス効果のあるアロマを炊くなどして乗務員の精神的なケアを行っています。
営業車両における感染防止対策/従業員に対する補償(飛鳥交通グループ)
・次亜塩素酸水(製品名ジアファイン)スプレーボトルを全車に配備し消毒に使用。
・車両については稼働車両の殆んどにビニールのセパレーターを設置し、感染リスクを低減。
・持病のある乗務員らを優先して休業させ、今回のコロナ休業補償率も同業他社より手厚い保障率で実施。
・アルコールチェッカーに利用するストローを全て使い捨てに変更。
・拠点営業所には協力オゾン殺菌機を配備し、車両内の殺菌が可能。
・疑わしい乗客を乗せた場合等、乗務員を2週間の自宅待機とし、その間は休業補償。
・昼日勤への勤務シフトの変更など、柔軟に対応。
タクシー業界、無線グループでの取り組み
チェッカーキャブによる加盟会社へのマスク配布
・加盟会社46社に合計11万枚のマスクを配布し、各社配属のタクシー乗務員のマスク不足を支援している。
(※マスクは新型コロナウイルス問題浮上前に『拡販用』として大量注文可能な時期にストックしておいたものとのこと。)・大半は乗務員優先とさせて頂こうと思っている』とのことだが、一部の加盟会社は「こんな時だからこそ」と乗客へ手渡しを行っており、非常に好評を博している様子。
日の丸交通グループ
コロナ対策の取り組みに関しまして日の丸交通では以下の対策を取っております。
⑴ 営業中のマスク着用(各営業所より配布)
⑵ 営業所にて出庫前に体温測定
⑶ お客様降車後等車内のこまめなアルコール消毒
⑷ 飛沫感染防止用セパレーターカーテンの装備 ※写真添付・面接の際の取り組み
⑴ 電話面接・スカイプ/Zoomを使用した面接
⑵ お互いがマスクを着用しての面接
⑶ 面接後にテーブル等のアルコール消毒
⑷ 夜間の営業回数減少に伴い、昼日勤の大幅受け入れ
株式会社グリーンキャブ
グリーンキャブは全営業所で下記の対策を行っています。
営業中の対策
・出庫時には携帯用の除菌スプレーを持ち、出庫しています。営業中も除菌スプレーを用いて都度ドアノブやシートベルト類を除菌しています。
・車内にクレベリンを設置し、社内空間の除菌消臭を行っています。
面接時の対策
・政府の「緊急事態宣言」を受け、面接は現在電話での面接で対応をしています(受付時間:平日10:00~16:00)
各タクシー会社プレスリリース
東京特別区主要タクシー会社はそれぞれ新型コロナウイルス関連の対策を自社公式ホームページでプレスリリースを行っています。一度参照頂くことをお勧め致します。
日本交通プレスリリース
国際自動車プレスリリース
大和自動車プレスリリース
帝都自動車プレスリリース
東京無線プレスリリース
日の丸交通プレスリリース
グリーンキャブプレスリリース
東京ハイヤー・タクシー協会プレスリリース
東京ハイヤー・タクシー協会プレスリリース(お客様向け)
東京都個人タクシー協同組合プレスリリース
上記は主要のプレスリリースですが、ご存じの通り全国のタクシー会社各社で新型コロナウイルスの対策は行っており、各営業所のホームページで対策を公開している状況です。
その他はここでは割愛させて頂きますが、一度近隣のタクシー営業所や、転職を考えているタクシー会社の取り組みなどを調べておくと良いでしょう。
なお、万が一タクシー乗務員に陽性反応となってしまい、感染者が出た場合は、各営業所とも速やかに報告とプレスリリースを行っているようです。早めに公表することにより、対策へ真摯に向き合っていると捉えてよいでしょう。大手の食品チェーンなどでも度々そういった報道が出る中、時代の風潮的に「早めの公表」という点では、タクシー業界も同じであると言えます。
各社の採用活動状況のまとめ
タクシー業界への転職を考えている方にとって、新型コロナウイルスの影響を受けているタクシー会社の採用状況は気になりますよね。ここでは、各社が発信している採用状況や会社の運営状況についてまとめました。(随時更新)
三和交通では、4/15から出庫する乗務員さんの数を半数まで減らします。お休みいただく乗務員さんには、労基法で定められている休業手当を支給予定です。
また、出庫時間を早朝4:30~とし、より柔軟な勤務体制を整えます。本当に従業員を家族だと思っているなら、解雇なんてしないはず#タクシー #解雇— 三和交通/東京・荒川区【kmグループ】 (@sanwataxi) April 9, 2020
新型コロナウイルスの影響で600人を解雇https://t.co/fG2V4hgYNQ
— タクドラch✡公式アカウント (@mash_up_taxi) April 8, 2020
当社ではコロナ・ウイルスから社員とその家族を守り、「緊急事態宣言」に基づく感染防止、通勤抑制の一環としまして、本日より5月10日(日)までの間、タクシー部門(無線配車を含む)を休業とさせていただきます。
お客様にはご迷惑をおかけいたしますが、ご理解ご協力をお願いいたします。(社) pic.twitter.com/Hx6rb9WdBl— 寿交通 (@taxikotobuki) April 17, 2020
新型コロナウイルス蔓延に伴う緊急事態宣言を受け、日興自動車グループは本日より2日間4/18~19を休業とさせていただきます。
また、今後稼働数の50%を目安に、稼働調整のための休業日を設けます。1日も早い事態の収束をお祈りして
Stay home
— 日興自動車グループ (@nikkotaxigroup) April 17, 2020
▼休業を選択する会社も多い中この状況に立ち向かうべく、採用強化をしている会社も。
こんなご時世だからこそ、採用強化しています!
入社後6か月間は30万円の保障給もありますので、いまのうちに研修を終わらせ、お仕事始めませんか?
応募の方お待ちしています!
応募者非常に増えていて、昨日も1人添乗で路上デビューしました。https://t.co/3ufsB13BQs— 豊玉タクシー(公式) (@toyotamataxi) March 27, 2020
▼WEB面接をスタートする会社も出てきました。
4月9日から【WEB採用】がスタートします! https://t.co/TOMFFZihhD
— 日本交通 新卒採用担当 (@nihonkotsusaiyo) April 8, 2020
日の丸交通:新型コロナウイルスの感染拡大防止における面接時の対策⇒コチラ