これからタクシー運転手になろうと考えている人にとって、最も気になるのは「お給料」のことでしょう。ここでは、運転手の給与体系がどのようになっているのかをご紹介したいと思います。
固定給+歩合給が主流
タクシーの給与体系で主流なのは、「固定給+歩合給」という制度です。営業成績に関係なく支払われる固定部分と、営業成績によって加算される歩合部分で構成されます。固定部分については、勤続年数に応じた加算、あるいは各種手当や会社業績に応じた臨時給などをどのように計算するかによって様々な考え方があり、A型やB型などの通称名で呼ばれます。
基本的な考え方として、A型は固定給をベースに、時間外の割増や各種手当、臨時給などを加え、さらに歩合給を足すもので、サラリーマンの営業職などで一般的にみられる給与体系です。B型は、A型では別扱いとしていた臨時給などを固定部分に組み込んだもの(固定額が多くなったように見える)や、あるいは後述する完全歩合制に基づいて給与総額は決定するものの、その給与総額を通常のサラリーマンの給与体系のように基本給〇円、手当〇円、歩合給〇円といった具合に落とし込んで精算するものもあります。
完全歩合給は稼ぎやすいがデメリットも
一方、固定給+歩合給とは別に、「完全歩合制(オール歩合制)」も存在しています。これは、ドライバーの売り上げの中から、会社の取り分や税金等を差し引いた残額をすべて受け取れる給与体系で、固定給が一切ありません。固定給がないことにより、営業成績が良くないドライバーへの報酬額を抑えることができるため、営業成績がよいドライバーにとっては比較的有利な報酬が得られやすい給与体系だと言えます。
但し、タクシーの集客は、景気や運にも大きく左右されます。通りすがりの客が少なかったり、長時間の客待ちをしても一向に順番が回ってこなかったり、あるいは配車センターからの迎車要請が少なかったりすると、途端に営業成績が落ちてしまいます。
そういった集客数の変動をある程度吸収してくれるのが固定部分を設けた給与体系の良さなのですが、完全歩合給にはそれがありません。一見すると、完全歩合制は頑張れば頑張った分だけ給与が上がるので、稼ぐのには有利な制度だと思われがちですが、このようなデメリットも理解しておく必要があります。
運用にバラツキがあるため詳細は勤務先に要確認
タクシーの給与体系は、会社ごと、あるいは地域によっても運用の中身には差異があり、同一の通称名であっても微妙に中身が異なる場合があります。
そのため、たとえば「B型はこうである」と一概に断定することはできません。固定給+歩合給を導入していても、歩合部分のウェイトが非常に高いのがタクシー業界の特徴ですし、B型の中には、完全歩合制を便宜的に固定給+歩合給に当てはめたに過ぎない運用も見受けられます。勤務先ではどのような制度で運用されているのかを、しっかりと確認することが大切です。