後部座席の乗車時にもシートベルトを締めなければいけなくなった事は、広く知られていますが、タクシー利用時に子供はチャイルドシートが必要なのでしょうか。
また、積んでいない場合はどう対応すればいいのでしょうか。
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タクシーでチャイルドシートは使わなければならないのか
タクシーは、老若男女さまざまな方が利用され、当然のことながら子供連れの方も利用されています。
2008年6月より、一般道において後部座席のシートベルトの装着が義務付けられるようになりました。
これは一般車だけでなくタクシーにおいても同様で、タクシーに乗るときにはシートベルトの装着が義務付けられています。
ちなみにチャイルドシートとは、シートベルトが着けられない子供を自動車に乗せる時に、安全のため身体を固定させる装置の事をいいます。
日本では運転者が6歳未満の子供を自動車に乗せる時に使用することが義務付けられています。
チャイルドシートは単に固定のためだけでなく、暴れる場合などの防止にもなり、これが安全運転につながります。
では、子供連れでのタクシーの利用時にチャイルドシートは必要になるのでしょうか?
タクシーはチャイルドシートが免除!
「そういえば…タクシー乗る際にチャイルドシートって見たことないなぁ」と言う方結構いらっしゃるのではないでしょうか?
実はバス・タクシー(ハイヤー)ではチャイルドシートの装着は義務付けられていません。
理由の一つとして、日本の法律で定められている『チャイルドシートの使用義務が免除される場合』の中に「バス・タクシー(ハイヤー)などの旅客である幼児を乗車させるとき。」という文面があります。
タクシーはこれに該当するでしょう。
また、バスや一部のタクシーはそのほか「座席の構造上、チャイルドシートを固定して使用することができないとき。」という点にも該当します。
しかし、そうは言っても危険防止のため、子供にはチャイルドシートで移動させたいと思う方もいらっしゃるかもしれません。
地域によって子育て世代の多い場所はありますので、営業区域や時間帯などに応じて、チャイルドシートを可能であれば搭載しておき、正しく装着できるよう練習しておきましょう。
チャイルドシート未着用での致死率は10倍以上
ここで悲しい現実をお話しすると、チャイルドシートの未着用での致死率は適正に使用している場合(0.03%)と比較して10倍以上の致死率(0.42%)であるということが統計データでもはっきり出ています。
※平成26年~平成30年度統計(警察庁)。
以上のことからチャイルドシートの機能をしっかりと発揮すべく正しい使用方法で安全に利用することが重大事故防止につながると言えましょう。
乗用車・そしてタクシーでもそうですが、装着場所は運転席の真後ろが安全かつ便利でしょう。
「チャイルドシートありますよ」という運転手側の気配りが、「子供連れにも気遣いができる」と印象付けられます。
これをきっかけに日頃からお客様にタクシーを利用していただくポイントにもなるかもしれません。
タクシーに赤ちゃんと一緒に乗るときの注意点
タクシーに普段利用で一人で乗るならまだしも、新しく産まれた大切な家族とともに移動するなら、不安も尚更拍車もかかるわけです。
タクシーに赤ちゃんと一緒に乗るときの注意点はどのような部分でしょうか?
子供のタクシー事故防止のためにチャイルドシート
タクシーに限らず、公道で自動車が走行している以上、何が起こるかわかりません。
あまり考えたくはありませんが…万が一の場合は、未然に事故を防ぐためにチャイルドシートを使用するのが安全策でしょう。
ではチャイルドシートを実際にタクシーで使用する例を見てみましょう。
持ち運び可能なチャイルドシートを利用する
皆さんはチャイルドシートにどんなイメージをお持ちでしょうか?
子育て世代の方、特にマイカーで週末は家族でお出かけを頻繁に行うパパ・ママに話を聞くと、ほとんどが「持ち運ぶには重いので、車の中に積みっぱなしです」と答えています。
通常チャイルドシートは平均で『幅45cm前後、奥行65cm前後、高さ70cm前後』と結構場所を取りますし、重量も平均『14~15kg』とそこそこあります。
そうなると都度取り外して、移動毎に持ち出すとなると…なかなかの労力がかかりますよね?
そこで登場するのが、持ち運び可能なチャイルドシートです。
対象年齢が限られていますので、赤ちゃんや子供の月齢や身長・体重にあったサイズを選んで購入し、持ち運ぶと良いでしょう。
形もメーカーによって様々あります。持ち運び用ですので重さも3kg前後と軽く、サイズもコンパクトで収納しやすいものが多いのも特徴です。タクシーに乗車する際も、持ち運びできるので便利ですよ。
チャイルドシート付きのタクシーを利用する
タクシー車両すべてが、チャイルドシートを搭載している訳ではありません。
ですが、地域によってはチャイルドシートを積極的に導入していたり、子供の送迎・育児中の人をサポートするサービスを行っているタクシー会社もあります。これらは各タクシー会社のホームページで予約が可能です。
あらかじめ目的地や利用日時が決まっている場合はこちらを利用してみるのがベストでしょう。
子育てのミカタ!「子育てタクシー協会」
主軸となって展開しているのが一般社団法人「全国子育てタクシー協会」で、主催の養成カリキュラムを受講・修了した認定タクシードライバーが全国のタクシー会社と子育て支援団体と提携して展開しています。
その中にはチャイルドシートを設置しての送迎も含まれておりますので、是非とも利用したいところですね。
「全国子育てタクシー協会」では認可の下りた全国128の優良タクシー会社(北海道4社、東北地方34社、関東地方31社、信越北陸地方2社、東海地方26社、近畿地方5社、中国地方7社、四国地方7社、九州・沖縄地方12社)で形成されており、協会指定の養成講座及び保育実習を修了したタクシードライバーが登録されております。
最寄りに加盟のタクシー会社がありましたら、利用登録(登録無料)を行い、各種該当のコースを予約する際にチャイルドシートの要望を出せば設置してお迎えにあがるサービスをおこなっています。
キッズタクシーを利用する
キッズタクシーとは主に「学校」や「塾」からご自宅までの間を送迎するサービスです。
メリットは「ドアtoドアで送迎が可能であること。」そして「原則同じタクシードライバーが送迎を行うこと」です。
そのため、子供のみのご乗車でも安心して利用が頂けます。当然ながら、キッズタクシーは選抜されたタクシードライバーが運転を行います。
「子育て経験者」「保育士」「普通救命講習」「救急救命法メディック・ファーストエイド」…と満凱一の際も安心です。
タクシー車両を選ぶこともできる
お子さんを連れている状況でタクシーを街中で拾う、或いはタクシー乗り場から乗車する際、どうしても車両の指定というのは難しいものです。
どんな車種のタクシー車両が来るかわかりませんので、少しでもストレスの緩和を考えるならば、少しでも適した広さや対応が出来るタクシー車両で目的地まで移動したいものです。
最新配車アプリなら「車種指定」も可能!
日本国内でここ数年ブームになりつつある最新の「配車アプリ」を使えば「車種指定」も可能です!
配車アプリでは常に最新の機能や新しい地域での利用が可能になっており、『車種指定』という機能も近年お客様から非常に好評となっています。
国内No.1アプリ「GO」
テレビCMでもおなじみのタクシー配車アプリ『GO』ですが、2021年1月20日よりタクシー車両指定サービスの提供を開始しております。
現在は東京都の23区、武蔵野市・三鷹市。そして神奈川県、京都府といった『GO』管轄の一部エリアにて試験導入的にスタートを開始しております。
「スライドドア車両」や「車いす対応車両」と言った車種を指定することができます。
都内最大級、全国ネットワーク展開中「S.RIDE」
「S.RIDE」は都内最大級の大手タクシー配車アプリで、現在全国展開を広げております。
「S.RIDE」のタクシー配車アプリも2022年の7月12日に自社の月額課金サービス「S.RIDEプレミアム」に“車種指定サービス”を追加しました。
実はこの車種指定サービスは「S.RIDE」ユーザーの中でも「是非とも取り入れてほしい」という要望が多く、プレミアム会員の中でも人気を集めているサービスです。
現在は東京23区、武蔵野市、三鷹市が対象エリアとなっております。
また、「S.RIDEプレミアム」の概要はその他にも『予約配車使い放題』、『注文配車時にライドポイント2倍』があります。月額は3,480円ですが、なんとお申し込み日より1カ月間は無料利用可能!
そして予約配車時は車種指定が何度でも可能なのもメリットです。(指定可能車種は「JPN TAXI」又は「NV200」のみ。)
様々なキャンペーンを展開!外資系最大手配車アプリ「DiDi」
タクシー配車アプリ「DiDi」は世界1000都市以上、5.5億人の利用、延べ3100万人のドライバーが利用している世界的にも有名な外資系配車サービスです。
日本国内では東京、大阪を筆頭に北海道、宮城、埼玉、千葉、神奈川、静岡、兵庫、京都、福岡、広島、沖縄など順次対応エリアを拡大しており、通年で利用できるキャンペーンクーポンを開催したりとお客様にとっては非常にメリットの多いタクシー配車アプリとなっております。
残念ながらDiDiのサービスでは現在、車種指定機能は搭載しておりませんが、DiDiのアプリ内ではタクシードライバーにメッセージや電話が可能。
タクシードライバーに「お子様を乗車させたい」「チャイルドシートを載せたい」などの相談をアプリを通じて連絡ができるのがメリットと言えましょう。
タクシーで長距離移動する場合はどうする?
子育ての最中の皆さんはタクシーでの利用となると、必ずしも近距離で利用することが多いという訳でもありません。
やはり微妙な距離の場所へお出かけの方もいらっしゃいますし、「高速道路を利用して身内の自宅まで行ってください」という方も当然いらっしゃいます。
そうなりますと、長時間チャイルドシートを着用しないままの移動は大丈夫なのでしょうか?
やはり、長時間の移動となるとチャイルドシートを装着したほうが安全上好ましいのは至極当然と言えましょう。
その際はタクシー会社に予約の際に「チャイルドシートの有無」を確認することをお勧めします。
チャイルドシートを積んでいない場合
もしチャイルドシートやベビーシートをタクシーに積んでいない時、何を注意していただいたらいいのでしょうか。
まず、チャイルドシートと兼用できるベビーカーをお持ちの場合は、それをベビーカーから外して、チャイルドシートと同じように車へ固定しましょう。
抱っこ紐で子供を抱いているお客様には、抱っこ紐の上からシートベルトをしめてしまわないよう、注意を促す必要があります。
万が一事故が起こってしまった時に、衝撃で子供と一緒に体が飛び出てしまい、子供が前部座席との間に挟まれてしまうので危険です。
シートベルトは抱っこ紐と体の間に通してもらい、親御様の体が前に出ることを抑えることで、子供が挟まれてしまうことを防ぎましょう。
チャイルドシートなしで子供とタクシーに乗る時の注意点
バス・タクシーといった公共交通機関の乗り物は特例によりチャイルドシートが無くても保護者または大人同乗のもと、乗車が可能です。
ですが、少なからずリスクが伴うことも頭にいれておかなくてはなりません。
ここではチャイルドシートなしで子供とタクシーに乗る時の注意点についてまとめています。
子供の年齢や体格によって、臨機応変に対応。
「保護者のみがシートベルトをしめ、膝の上で抱っこして乗ることが安全」と勘違いされがちですが、これは衝突事故の場合に一番危険な乗り方とされています。前方に飛び出す危険があるため、座席は運転席の真後ろに座っていいただくよう伝えましょう。
子供が大きい場合は、シートベルトを着用した方が安全なケースもありますが、赤ちゃんですと一番安全な方法として、「大人のみシートベルトをして、その上から赤ちゃんを抱える形」がベストです。
理由は乳幼児の場合、シートベルトをすると返って事故の衝撃で締め付けられて負荷が大きくかかってしまうケースがあるためです。
子供の年齢や体格を見て、臨機応変に対応しましょう。
子供は運転席の後ろに
子供心というのは「好奇心旺盛」で、外の景色が新鮮そのもので刺激に溢れているものです。特に前面の臨場感は興味津々ではないかと思います。
しかし安全面を考えるとそうは言っていられません。万が一ですが、乗車しているタクシーが交通事故を起こしてしまったら、子供が前面に投げ出されてしまう可能性があります。
その衝撃でフロントガラスに衝突し大ケガを負うどころでは済まされないことだって考えられます。
これらを未然に防ぐためには「運転席の後方に座る」という予防法があります。
運転席の後ろに座れば、万が一の際も、前面に投げ出される心配は大きく防げます。
子供心に水を差す行為かもしれませんが、安全第一を考え、子供にはほんの少しの間我慢してもらいましょう。
ボタンやドアに注意
やはりこちらも子供心と言いましょうか…。
興味本位で何にでも触ってしまいがちなので、手が届くボタンやドアに触ってしまってもいいように、チャイルドロックも忘れずにお願いしましょう。
対策としては「お子様と手をつないだり、気を紛らすためにお話しをしたり寝かしつけたりする」と良いと思います。
安全運転を呼びかけ
タクシードライバーというは、通常の普通免許に比べ、二種免許という「旅客業」に特化した特殊な免許=武器を持ったドライバーです。
いわばプロの運転手ですので、スピードの出しすぎや急ブレーキといったことを故意にするようなことは、配属しているタクシー会社はおろか自分自身の首を絞めることになりますので、常識的に考えてもすることは考えにくいと言えましょう。
ましてや可愛い幼子を抱いてのご乗車とあればタクシードライバーの中にも所帯を持っていらっしゃる方もいると思います。そういった中では、安全を遵守する運転を最優先することは至極当然と考えます。
ですが、小さい子供がそのまま座席に座っている場合や、カーブや道が悪く車が大きく揺れるような場所を通ると事前に分かっている場合、あるいは通る場合はどうしても心配になりますよね。
その際は「子供が落ちないように注意して運転してください」とタクシードライバーへその都度お伝えてあげると良いでしょう。
大人が先に降りること
目的地に到着し、タクシーから降りる際は、決して子供を先に降ろしてはいけません。
子供は左右を見るという事がまだできないケースもあり、急に走り出したりすると後続の車両や二輪車とぶつかってしまい交通事故を起こしてしまう可能性があるからです。
以上のことから『子供が先に乗り、大人は後から乗車』『大人が先に降り、子供は後から降車』を遵守しましょう。
あらゆるは準備をしておく
赤ちゃんや子供は大人と違って「我慢」や「判断」を知りません。
それは致し方ないことですし、人類の誰しもが記憶にないだけで通る道なのです。
例えばタクシーの乗車中に赤ちゃんや子供がぐずり出したり、お漏らや嘔吐をしたりすると、タクシー側に迷惑がかかってしまいます。ある程度は仕方ないですが、対策は可能です。
▼ぐずりを回避するために…
・好きなおもちゃを持参する
・Youtubeなどの子供向け動画を見せる
・好きな音楽を聞かせる(歌う)▼お漏らし
・替えの着替え等を用意する
・タオルを用意する
・お漏らしの傾向が出たら早めにコンビニなどのトイレがある場所へ停めてもらう。▼嘔吐
・酔い止めを事前に飲んでおく
・眠っているときに出発する
・エチケット袋を持参する
など、出来る対策はしておきましょう。
その先、第二第三のパターンと考えておき、あらゆるリスクにも対応できるようにしておくのも大人の役目です。
こまめに休憩を
子供は発育途中で様々なものに興味を持つ時期なため、じっとしていられないケースが多いのは子育て奮闘中だった方、あるいは現在子育て奮闘中の方は痛いほどわかるはずです。
となると子供はタクシーに限らず、車内に長い時間滞在していると揺れや不慣れなスピード、シートカバーの匂いなど…様々な因果関係が重なり気分が悪くなったり、あるいはぐずり出したりします。赤ちゃんも同様です。
そのため、子供とタクシーに乗る際には、こまめに休憩を取りながら目的地へ向かうことをお勧めします。余裕をもって利用しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。実はタクシーにチャイルドシートの義務はなりません。
バス・タクシー(ハイヤー)などの二種免許を要するもの(公共交通機関)に乗車する場合はチャイルドシートの着用は免除されるのです。
ですが、タクシーも“自動車”です。道路交通法に定められた通り満6歳未満の幼児にチャイルドシートを着用して乗車することも当然可能です。万が一の際、事故防止には大きな役割を持つことに変わりはないのです。
近年では持ち運び便利なチャイルドシートの誕生で、タクシーに乗車する際に持参するお客様もいらっしゃる他、タクシー会社においてもサービスの一環で事前申し込み等で利用可能なケースも増えました。
これから先も、タクシーは公共交通機関としてより大人だけでなく赤ちゃんや子供にも利用しやすい乗り物であるよう、サービスの向上を目指していくことでしょう。