地域によってその交通事情が異なることは経験したことがある方も多いのではないでしょうか。タクシードライバーとして、今住んでいる場所と違う場所で働こうとしている人には、その地域の交通事情が気になるところなのではないでしょうか。
最近はどのタクシー車両にもカーナビが搭載されていますから、知らない場所でも案内することは難しくなくなりましたが、それでもタクシードライバーたるもの、その営業エリアの地理事情は頭に入れておきたいものです。
それに、利用者の希望する場所への案内だけではなく、タクシーの大事な営業手法である街中を車両を走らせて利用者を捕まえる「流し営業」をする場合にはカーナビなどに頼っていられませんから、やはり地理情報を頭に入れておきたいですね。
では大阪の場合の交通事情とはどういったものがあるのでしょうか。
大阪の運転マナー
もちろん大阪の人がみんなそういったものではないですが、一般的に大阪の運転マナーは良くないと言われています。
例えば、交差点での信号待ちの際、信号が青に変わったときに少しでもスタートが遅れるとクラクションが鳴らされたり、信号が黄色の時に安全を取って停車するとクラクションが鳴らされたり、後続車が車間距離をぎりぎりまで詰めてきてあおられたり、強引に割り込まれたりと…、大阪のみならずどこの地域でもこういった運転マナーの方は見受けられますが、大阪はこういったケースが多くみられるようです。
特に大阪では多車線の道路が多く見受けられます。御堂筋なんかは有名ですね。通勤時間帯などのこういった場所では一車線だけでなく、2車線、多い時には3車線まで駐車車両が止まっていることがあります。3車線まで停車車両があることなんて、想像つかない人もいるかもしれないですが、大阪ならではの交通事情ですね。
大阪の交通事故
大阪の運転マナーがなんだかよくなさそうだな、と印象にもつ人は多いですが、実は交通事故の発生件数は愛知県がトップです。大阪に劣らず、愛知県の名古屋市ではその運転マナーが悪いといわれることが多く、「名古屋走り」なんて言われたりもしますね。
特に、ウインカーをつけないで車線変更、割り込みは日常茶飯事と言われています。これは大阪も同じですが、片側6車線、7車線のような道路がよくみられることが関係しているのではないかと言われることもあります。観光や出張などで大阪、名古屋へ訪れた人は、その道路の車線数の広さに驚くことがあるでしょう。
SBIホールディングスが運営するほけんの窓口インズウェブで公表されているデータでは、平成26年の都道府県別の交通事故発生件数の第一は46,161件の愛知県、次いで第二位が42,729件の大阪府となっています。しかし車両保有台数からみるとその印象はまた変わってくるかもしれません。
交通事故の件数が多い愛知県では車両保有台数もダントツで、5,148,520台。交通事故発生件数第二位の大阪では、3,735,142台となっています。
交通事故件数を車両保有台数で割った数字は、愛知県は0.89%、大阪は1.14%と大阪のほうが高い結果となります。愛知県は車両保有台数が高いため、件数も比例的に高いという形でしょうか。とはいえ決して低い割合ではありませんので、大阪と愛知県の交通事故発生件数、そして割合は多いと言えるでしょう。
阿波座駅前交差点は要注意
交通事故の発生場所の半分は交差点で起きていると言われています。
事実、平成26年のデータでは、大阪府の交通事故発生件数42,729件のうち、54%の23,073件は交差点で発生しています。
一つの交差点でも多数の交通事故が発生することがあり、大阪では大阪市西区の「阿波座駅前交差点」で17件(左折時6件、右折直進5件、右折時2件、追突1件、出会い頭1件、その他2件)の交通事故が発生しています。交差点では歩行者、自転車、そして車が頻繁に行き交いますから、交通事故が多く発生しやすい場所と言えるでしょう。
阿波座駅前交差点は高速道路の橋桁、交差点の角にある地下鉄の出入り口があったり、幅の広い中央分離帯があり駐車場になっているため見通しが悪いにも関わらず交通量が多い、交差する道路がどちらも車線数が多いため交差点の面積が広い、こういった要因から交通事故が発生しやすいと言われています。
大阪でタクシードライバーとして働くためには地理試験の受験が必要
大阪府の中でも、大阪市、美原区を除く堺市、和泉市、池田市、吹田市、豊中市、泉大津市、高槻市、守口市、茨木市、八尾市、箕面市、門真市、摂津市、高石市、東大阪市、三島郡及び泉北郡の区域でタクシードライバーとして働くためには公益財団法人大阪タクシーセンターが行っている、地理試験に合格する必要があります。
この他、大阪以外でも東京では23区、三鷹市、そして武蔵野市、神奈川では、横浜市、川崎市、横須賀市、三浦市でタクシードライバーとして働く際には必要になります。
各エリアのタクシーセンターが試験を行っていますが、その合格率は50%前後と言われており、一発で合格するのは難しいと言われています。複雑な交通事情をもつ都市部であっても、こういった試験に合格しているからタクシー乗務員の皆さんはスムーズに案内ができているわけですね。
問題内容としては結構コアな部分が出題されますので、その地域に住んでいる人でも試験専用の対策と行わなくてはなりません。
例えば、○○道路と○○号線が交わる交差点の名前をこたえよ、といった感じです。これに合格しないとタクシードライバーとして働けない、と重く受け止めがちな方が多いですが、その合格率から何回か受験して合格、というのが一般的ですから、一発合格できることに越したことはないですが、落ちたとしても気を落とさず、再度チャレンジしましょう。
地域ごとの交通事情を知っておこう。
タクシードライバーは人を載せて運転するわけですから交通事故は絶対に避けなけばなりません。その為、営業エリアの交通事情は熟知しておく必要があります。
エリアによっては地理試験が必要ない場合もありますが、ある程度の知識がないと働くときに苦労することになります。研修や働き始めてからの経験で自然と身につくものですが、自分から意識づけておくかで身につき方が変わってくるというものです。