どんな職業でもそうですが、就職、転職後、研修を経てから現場へでることが一般的ですよね。タクシー業界も例に漏れず、タクシー会社が定めた研修を経てお客様を載せての稼働になることが一般的です。
ドライバー未経験の方がタクシー会社へ転職、就職することがほとんどですから、これから転職を考えている方もタクシーに乗ったことはあるけれど、タクシードライバーがどんな研修を経て業務に携わるのか、気になる人も多いでしょう。
また、タクシードライバーはタクシー会社が設けている研修を受講するだけではお客様を載せて運転することができません。定められた試験に受験して資格を保持しなくてはなりません。今回はタクシードライバーへの従事を検討されている方向けに一般的なタクシー会社の研修、入社後の流れがどのようなものか、紹介したいと思います。
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タクシードライバーには必須!普通自動車運転二種免許の取得
まずはタクシードライバーとして働くために必ず必要な普通自動車運転二種免許の取得を行います。これからドライバーとして働こうと考えている方は、一種免許を取得されている方がほとんどかと思いますが、タクシードライバーとして働くためには、普通自動車運転二種免許が必要になります。
二種免許は旅客を目的とした旅客自動車を運転するために必要な免許です。もっと具体的に言うと、有償で自動車を使用して、旅客を運送するときに必要になる免許です。タクシー、ハイヤー、そして運転代行もこの二種免許が必要です。一種免許との違いはお客様を乗車させて運転することができるかどうか、です。普通、中型、大型と一種と同じように種類が分かれていますが、タクシーの場合は普通二種免許になります。二種免許には取得条件があります。まず年齢が満21歳以上であること、一種免許を取得し運転経験が3年以上経過している、あるいは中型、大型などの他の二種免許を既に取得していることが条件です。
この免許にもAT限定と限定無しがあります。最近はAT限定でも問題ないタクシー会社がほとんどのようです。
既に免許を持っている人しか受験資格がないので、学科試験などはないのかと思われる方も多いかもしれませんが、イメージ的にはまたいちから免許をとるような形になります。一種免許の取得と同様に、指定自動車教習所へ通い、座学で学科をを受講し、実技教習も場内教習を経てから路上教習へと移行します。そして一種免許の取得時と同様に、教習所の卒業検定に合格すると、免許試験場で学科試験を受験します。ただ、二種免許独自の出題ということはなく、一種免許と二種免許、両方の分野が出題されるようなイメージです。
また、これも一種免許と同様ですが、指定教習所に通うことなく、免許試験場で実技と学科どちらも受験する、いわゆる一発試験も受験は可能です。一発試験のほうが指定教習所へ通うよりもコストが大幅に抑えられますから、タクシー会社によってはこの一発試験によって免許の取得をさせるところもあるようですが、あまり一般的ではないでしょう。
二種免許の取得にかかる費用をタクシー会社が負担するケースもあるので、転職や就職時には確認しておきましょう。ただし、無秩序に負担してくれるわけではなく、短期間で退社してしまった場合には、二種免許の取得費用、エリアによっては次にあげる地理試験の費用を返済しなくてはならない、という約束事が設けられていることが一般的です。この期間はタクシー会社によって異なります。この約束を入社時に何らかの書面、覚書や金銭証書貸借証書などに署名することが多いです。
地域によっては…地理試験の受験
これは東京、神奈川県、大阪府の定められた地域でタクシードライバーになるために必要な試験です。出題数に対して80%以上、正答率で合格になります。試験名のとおり、地域の地理に関する問題が出題されます。道路の名前や交差点の名称、よく知られている建物や電車の駅の場所等を問われます。
東京を例にあげますと、公益社団法人 東京タクシーセンターが実施している新規講習とその3日目に行われる地理試験に合格する必要があります。試験への対策として、タクシー会社が地理試験の研修をおこなったり、過去問で問題集を作成したりすることもあるようですね。
案外に合格率は高くない試験で、合格率は5割程度と言われています。しかし、指定地域でタクシードライバーとして従事している方たちは皆さんこの試験を通過した人たちです。決して難関試験ではありませんから、気負わず、しかし準備はしっかりとして臨みましょう。
これまでに上げた普通自動車運転二種免許と、エリアによっては地理試験、これらを経れば法令で定められたタクシードライバーとして従事するための資格はそろいます。これからは実稼働に向けてより実践的な、あるいはタクシー会社独自の要素が含まれる研修内容になってきます。
タクシー車内の機器や顧客対応への研修
ここからはタクシー会社によって大きく異なってきますが、これまでの二種免許の取得や地理試験の合格だけでは、実務的な部分が伴っていません。実際の車両に搭載されている機器、無線の使い方や、日常の車両点検の方法、戦車の方法など、タクシー会社の一員として働くための知識を身に着けていきます。
最近ではクレジットカード、交通系ICカードでの決済も可能な車両も多いです。こういった機器をスムーズに取り扱えるよう、研修では繰り返し練習をします。
その他にも、顧客対応を学ぶため、ロールプレイングを行ったり、マナー講習をおこなったりもします。また、タクシードライバーは旅客自動車ですから事故への対策は入念に行わなくてはなりません。研修で過去の事故事例からその原因、対策などを学びます。警察官、あるいは元警察官を招いて講習を行うケースもあるようですね。
営業所へ配属、車両を使った研修
机上研修を経て、いよいお営業所へと配属されます。ここもタクシー会社によって異なってきますが、配属後しばらくは先輩ドライバーが同乗し、アドバイスを受けながらの稼働であったり、また、タクシー会社によっては最初から1人での勤務となる場合もあるようです。ただ、一般的には配属後の数回は先輩ドライバーとともに営業へ行くケースが多いようです。
研修期間中の給与って?
乗務開始後と別の賃金規定が設けられているケースが多いです。研修期間中は日当で1万円前後としているタクシー会社が多いようです。また、タクシー会社の求人情報の中に、〇カ月間は〇〇万円の給与を保障、と記載していることもおおいですが、これは乗務開始からの算出となるケースが多いようです。また、交通費も全額支給であったり、定めた一定額まで支給であったり、何らかの手当があることが多いようです。タクシー会社もドライバー確保に前向きです。こういった条件もよく見比べておきたいですね。
しっかりとした研修を経て現場へ
タクシー会社によって違いは多々あるでしょうが、タクシードライバーの研修内容についてご紹介してみました。少し不安を覚えた人もいるでしょうか。タクシードライバーは未経験からスタートする方がほとんどです。そしてですが今までタクシーに乗ったことがない、という人は稀有でしょう、日本にはタクシードライバーとして従事する方が沢山います。数多のタクシードライバーの皆さんもこういった研修を経て、現場へ出られていますから、いまタクシードライバーへの就職・転職を考えている方は気負うことなく臨んでいただけたらと思います。
稼働するまでにこんなにやらなきゃいけないことがあるのか、と思った人もいるかもしれませんが、しっかりとした研修を経れば、現場へ出るときの不安や混乱を防ぐことができますし、安心して乗務に臨むために必要な期間であるでしょう。
タクシー会社によって研修期間やその内容、二種免許取得費用の負担などは異なってくるので、応募の際には確認するようにしましょう。