

21世紀初頭、東京都内を中心に外国籍ドライバーの活躍が目覚ましくなりました。
彼ら彼女らは日本国内への永住権を取得しており日本語も大変流暢に喋れることから、運転も日常生活で何不自由なく出来る点も踏まえ、タクシー運転手としての転職先を一つの選択肢として考えるようになったのです。
結果として東京では日の丸交通を中心に多くの外国籍ドライバーが在籍し、平等に「がんばったら頑張った分」収入を稼いでいるのです。
見出し
日本でも外国人ドライバーが絶賛普及中!徳島県の教習所でベトナム人タクシー運転手を育成へ
徳島県徳島市にある自動車教習所大手『広沢自動車学校(徳島市)』ではこの度、ベトナム社会主義共和国(以下:ベトナム)の南部ドンタップ省人民委員会と連携し、日本国内で働くベトナム人向けにタクシー運転手の育成を開始することを明らかにしました。
広沢自動車学校の祖川嗣朗社長はこの度の人材育成プロジェクトについて「ドライバー人材の輩出において最も重要な、安全運転の技能の訓練を担う教習所が主体となることには大きな意義がある」と述べています。
年間300人規模を目標に全国へ普及を目指す
広沢自動車学校はタクシー運転手に必要不可欠な『二種免許』を取得可能な教習所です。
当面の目標として、広沢自動車学校では今回のベトナム人向けにタクシー運転手の育成には年間300人規模を見込んでいます。
また、育成に関して徳島県のみならず日本全国に継続的に送り出す構想を掲げています。
いつから?
広沢自動車学校では、ベトナム人タクシー運転手の育成を2025年夏から開始する予定です。
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これには、ベトナム全国での人材育成はもちろんのこと、将来的に日本全国へ活躍してくれるタクシー運転手の輩出も視野に入れるのが狙いです。
複数企業やグループ会社も協力
今回のベトナム人タクシー運転手を育成するプロジェクトは、徳島県と現地ドンタップ省の経済・文化交流の一環として始動しました。
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そう、まさに文字通り「プロジェクト」なのです。
このプロジェクトは徳島市の映像制作などを扱う「株式会社シンクスリー(以下:シンクスリー)」と、国内の自動車教習所グループが共同で設立した東京都内のスタートアップ企業「株式会社テトラ・シフト(以下:テトラ・シフト)」の関連会社2社が参画しています。
西日本のタクシー受け入れ企業はシンクスリーが担当窓口し、東日本のタクシー受け入れ企業はテトラ・シフトが担当窓口となる予定です。
既に動き出している
また、既に3月に入り広沢自動車学校では、国内の外国人の自動車教習に力を入れている教習所とベトナム国内の教習所と協力し、動きを見せています。
日本国内では埼玉県羽生市の二種免許取得可能な教習所『羽生モータースクール』と、ベトナム・ハノイ市に本社を置く「バンタイングループ」との間で、日本でタクシー運転手として働くことを目指すベトナム人の育成を請け負うサービスを開発することを発表しています。

大手でっせ!
そして既に、四国の大手タクシー会社などから複数の問い合わせを受けているとのことで、育成に向けて調整を開始しております。
登録支援機関としての役割を担う
この度広沢自動車グループは、日本国内のタクシー運転手を目指すベトナム人に向けて、タクシー会社の就労支援のみならず、日本での生活サポートなども実施するとのことです。
登録支援機関でもあり、何より自動車学校(教習所)として、日本国内の水準に合わせた安全運転を実施するためのトレーニングを始め、日本語会話の訓練を率先して実施していきます。
特に国内免許及び二種免許への切り替え支援を教習所が主導して行う点は非常に意義が大きいと言えましょう。
特定技能1号の対象となったタクシー
今まで外国籍の方が日本国内のタクシー運転手になるには在留資格が永住・定住に限られていました。
しかし、昨年大きくルールが変更されたのです。
2024年3月に日本政府が外国人向け在留資格「特定技能1号」の対象に運送業のドライバーを加えたことは記憶に新しいことでしょう。
これを受けて広沢自動車学校では、現在全国的に人材不足が深刻なタクシー業界にベトナム人運転手を割り当てる考えです。
日本の交通ルール、自社のノウハウを日越で共有
日本の交通安全、そして安全運転技術の指導は世界でもトップクラスといっても過言ではないでしょう。
これらの教習所で学ぶ二種免許の学科を含めた安全運転のノウハウは今後、ベトナムの教習所はもちろん、日本国内の教習所にも共有する予定で、この先の日本国内のタクシー運転手不足の解消を目指します。

現地にて日本語を学び免許取得
ベトナムでは現在、日本での就労希望者にはまず、現地で日本語を習得を実施し、その後一般的な運転免許(普通一種免許)を取得してもらう手順を踏んでいます。
この日本語のレベルは「日本語能力試験」のN4レベル検定と、現地の教習所で行われる講習を合格して、初めて日本に送り出すことが出来るという訳なのです。

来日後は二種免許を取得するために、今度は日本の自動車学校へ入校し、必須の研修を受講したのち国内のタクシー会社に就業し乗務するという流れを計画しております。
2019年に制定された「特定技能」
特定技能とは、2018年に国会において「改正出入国管理法」が可決・成立したのをきっかけに、2019年4月に制定・創設された在留資格の制度です。
正式名称「外国人特定技能制度」と言います。
主に人手不足が慢性的な分野において国内企業が海外で研修施設等を設置し、日本国内で問題なく対応できるよう人材育成を強化するものです。
また、日本国内では人口減少の要因となっている『少子高齢化』が進んでおり、労働力不足が懸念されることから、これらに対応するために創設されたものです。
特定技能の在留資格が許可される主な条件は、職種に対して一定の技能、及び日本語能力基準を満たすことです。
また、就労する内容も介護職をはじめ、清掃業、自動車整備業、航空業、宿泊業、農業、漁業、飲食系など…専門性が高く高度な技能を要する分野に限定され、2024年にはタクシー運転手をはじめとした自動車運送業もこの特定技能制度の就労内容に加わりました。
これから
日本に来て人手不足の雇用に救いの手…そう聞こえるかもしれませんが、実は特定技能には期限があります。
外国人特定技能には2種類の在留期限があり、日本国内では「特定技能1号(通算で上限5年の在留期限)」と「特定技能2号(在留期間3年もしくは1年毎6か月の更新有)」のいずれかを選択する形となります。
つまり、特定技能では永久的に日本国内で就労することは不可能で、在留期限が終了したら祖国へ帰国しなければならないのです…。
渡りに船と言うには聞こえが良いかもしれないこの制度は、どちらかと言えば「猫の手でも借りたい」という感覚が近いかもしれません。確かに技能を学んで来日し仕事に従事する点は非常に効率面では歓迎される内容でありましょう。
しかし、期限付きとなればタクシーに限らず今後国内の企業が蓄積した独自のノウハウなどが不意に国外へ流出する可能性も否めません。
この点も踏まえて、この先の法改正などを今後見守りたいところです。
但し特定技能で来日する彼ら彼女らは、ほとんど純粋に仕事をする好印象な方が多いのも事実ですよ。