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タクシー会社へ直接声が届く…『エコーカード』の存在とは?
タクシー運転手は日々お客様を最短距離で、安心安全快適に目的地まで届けることを信条としています。
しかしどうしても不特定多数のお客様が乗車されること、接客業であること、さらに言えばタクシー運転手側にも不手際があったりと…何かしらの不適切な部分が発生したりすると、お客様が何かしら意見も言いたくなるものです。
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ところで皆さんはタクシー会社やタクシーの業務適正化を図るタクシーセンターへは日々様々なお客様からのご意見を頂く中で、カード形式(ハガキ)があるのをご存じでしょうか?
それが今回ご紹介する「エコーカード」なのです。
『エコーカード』とは?
エコーカードとはタクシーの運転席後部に位置し、直接タクシー事業者やタクシーセンターへと届く会社に届くハガキです。
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タクシー車内でお客様がお気づきの点があった際、それを口に出して『その場で伝えるのか』、或いは後日ブーメランのように『あの日あの時あの乗務の際の出来事はこうでした…と記入して良くも悪くも蒸し返されてしまうのか』、エコーカードの場合は当然のことながら後者になります。
苦情・好評・意見などが届く
お客様がタクシーをご利用になられた際、エコーカードに評価(苦情・善行・好評)その他意見などを明記しますと、後日所属のタクシー事業者やタクシーセンターへと届くのです。
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乗車したその場でタクシー運転手に伝えるのではなく、手紙としてお送りすることによって時には効果をもたらすという事もあるのです。
総じて苦情が多いのは確か
エコーカードの内容は、お客様がご乗車になられたタクシー乗務員の挨拶慣行や行先確認など細部にわたる評価を記載する名目がありますが、正味この部分の記入は任意となっています。
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しかし、ご意見などを書き込む際はやはりご乗車になられた時間に起きた事象に対するご意見が当然ながらほとんどです。
残念なことに多くが苦情…いわゆるクレーム案件となっています。
「挨拶がない」「投げたように釣銭を渡された」「行先を告げているのに返事がない」「タメ口」「危険な運転」「道の間違い」などです。
しっかりとハキハキ対応しましょう。防犯にも繋がりますからね。
善行・好評はどうなる?
しかしながら、エコーカードの内容には苦情ばかりではありません。
評価そのものは全体を指しますので「好評」や「善行(小田急線の駅名ではありません)」の声もあるのも事実です。
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そういったお声は個別にタクシー事業者の管理者に呼び出されお褒めの言葉を頂くもしくは、掲示板に張り出されることもしばしばあります。
また、あまりにも模範的で良い行いであった場合は、警察や機関紙新聞などで取り上げられたり、タクシー防犯協会から表彰を受けたり、各タクシー事業者などの研修にも用いられたします。
実はこのU乗務員、過去にも何度かそのような場面に遭遇すると助けていたそうです。
そして、余談ですが、本当のお話し、U乗務員は約10年前に筆者が初めてタクシー会社へ紹介した第一号の求職者(お客様)だったのです…!
時を経てなんと今同じタクシー会社で勤務しているという奇跡、嬉しいものです。(この内容はまたどこかで特集記事を組みます)。
『エコーカード』を設置する理由
それではいよいよ本題となります。
タクシー業界がタクシー車両に『エコーカード』を設置する理由は一体なぜなのでしょう?
ちなみに、先にお伝えしておきますと、エコーカードは法人個人関係なく設置されており、場合によっては設置のないタクシー事業者も存在します。
業務の品質向上
『エコーカード』を設置する一番の目的は、やはり何と言いましてもタクシー営業に関する業務の品質向上に他なりません。
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お気づきの点など、普段我々が口にする食品でも「お客様相談センター」などが設置されており、ご意見をいただくのと同様で何かあればタクシー業界に対しての大きな改善に繋がる可能性がある…そんな意見もあるからです。
それは苦情も好評も一般的な意見も関係なく、普段タクシー業界の人間ではなくユーザーからの意見だからこそ新鮮味があり、貴重な意見となる訳なのです。
タクシー運転手及び事業者のモチベーションアップ
お客様からの評価の中で「好評」「善行(江ノ島線の駅名ではありません笑)」をエコーカードを通じて頂いた際、該当タクシー運転手とタクシー事業者は100%嬉しいはずです。
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そして今後のタクシー営業に自信がつき、さらに良い対応をしていこうという気持ちにもなるのではないでしょうか。
むしろ何と奇特なタクシー運転手であろうと尊敬してしまいます。
苦情発生時の再発防止
業務の品質向上と繋がりますがエコーカードは苦情発生時の再発防止に役立っています。
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お客様から直接口で苦情、クレームを言われるのも確かに厳しい事でしょう(悪質な場合やカスハラは別)。
しかしこのように書面で残ってしまうとタクシー事業者はおろか、タクシーセンターにまで話が行くとになることは避けられないため、さらに厳しい場面に直面してしまいます。
下手をすれば営業停止や業務改善などのペナルティを課される可能性もあるからです。
戦々恐々の運転手もいるが
上記の事から恐れをなして戦々恐々とするタクシー運転手もいるのも確かですが、理不尽な場合は毅然とした対応を取ることと、必ず証拠は残されていますのでそれを基に説明をしましょう。
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それにはタクシー運転手側もお客様に対して間違いのない接客対応を敢行することも大切ですし、それは常日頃から習慣づけるようにしましょう。
時代にそぐわない声もある
エコーカードは法人ならばタクシーセンターからの通達、個人であれば協会からの通達というように何かしらの形で該当のタクシー運転手に向けての業務改善、もしくは評価が実施され、著しく善行が宜しくないタクシー運転手に関しては乗務停止などの処分対象になる可能性が高いのです。
さてそんなエコーカードなのですが、直接記入して意見を投書できるという優れモノと言えば優れモノなのですが、業界内では『時代にそぐわないのでは?』という声もあるのです。
一体どんな内容なのでしょうか?
意見・好評・苦情等はwebや電話でも可能のため。
近年エコーカードによる問い合わせ(意見・好評・善行・苦情等)はかなり減少しています。
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確かに対応の良いタクシー運転手が増え、コロナ禍前に比べても苦情案件はタクシー業界前回で減少しているのは事実ですが、それとは別に上記の問い合わせは電話、特にwebでも実施することが可能となっていることが理由として挙げられます。
また近年ではGoogleの評価などで記入する人も多く、多くが利用時の対応について記載されており、どうしても苦情に係る声が各社目立ってしまうのが現状です。
しかしこれらは、電話もそうですが基本ほとんどが『匿名』であり、本当に苦情と言える案件そのものもコロナ禍以降は減少傾向にあるというのがタクシー業界の現状です。
一定数の認知もある
『時代にそぐわないのでは?』という意見がある一方、そうは言ってもエコーカードはタクシー運転手の評価やタクシー事業者の評価に著しく影響を及ぼすものです。
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一定数の年配の方などは未だにエコーカードで投書する方もいらっしゃいますよ。
事件も発生。
2021年11月、エコーカードに関する事件も発生しています。
当時個人タクシーに女性のお客様が乗車したタクシーの車内に閉じ込められたとSNS上で訴えたというニュースが全国に流れ衝撃が走りました。
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お客様の話によると、「エコーカードを巡りタクシー運転手に恫喝され、下車を希望しても降ろしてくれなかった」というのです。何と恐ろしい…。
▼事件の経緯は以下です。
個人タクシー運転手の男性は、乗車時には「タメ口」で話しかけてきて、行き先を伝えると無言になったとのことです。その後タクシー運転手の対応に不安と不満を感じた女性は、運転席後方部にある『エコーカード』を手に取りました…すると「クビになるからエコーカードを返してくれ!エコーカードって駄目なんですよね。だからお金払わなくていいからエコーカード返して!タダでいっから。クビになっちゃうんだよ!なんでそんなエコーカード抜くわけ?頼むよ、お願い、お願いします!」と訴え、目的地に到着するなり再度カードを渡すよう訴えると女性のカバンに手を触れドアをロック…。
女性は恐怖のあまりその場で警察に通報し駆け付けた警察官が外からドアを開けてようやく降りることができたそうです。
タクシー運転手という仕事のイメージダウンにつながりかねません。。
それ以前に接遇対応がベテランとは思えない程酷いですね。。
まだ運転手やってなくてニュースで見たことありましたが、タクシー運転手怖いな…というより「なんでこんな事しているんだろう」と当時思ってました。
配車アプリの場合は「評価制度」もある
近年はタクシーを配車アプリで注文するお客様が増えましたよね。
その際、ただ『タクシーを呼ぶ』だけでなく、どのタクシー(ナンバープレート・会社名)にどの名前の乗務員が乗っていて、どういう評価なのかという情報まで開示されています。
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そして利用後は乗車後の感想やタクシー運転手の評価などもレビューで記入できるようになっております。そのため、「エコーカードに記入する」という手段すら知らないお客様も多く存在するのも事実なのでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
いずれにしてもタクシー運転手はお客様に対してはしっかりとした接客をして余計なことはしない、これに尽きるのですがどうしても人間同士…致し方ない部分もあります。
目的地は必ず復唱することと、たとえワンメーターであってもタクシー運転手であるならばしっかりと気持ちよく対応すること。当たり前の行動をとり、安全運転で営業をしましょう。
とかく一般乗用車とは違い、タクシーは公共交通機関の乗り物ですので世間からの注目を受けやすい乗り物です。タクシー運転手の対応一つ一つ、一挙手一投足にお客様は目を離していませんので、そのつもりで運転しましょう。