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今各地でスタートしている「乗り合い(デマンド)タクシー」とは?
タクシーの多様化とでも言いましょうか、2025年の国内タクシー業界における情勢は昨年にも増して慌ただしく変貌を遂げるでしょう。
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日本版ライドシェアの規制緩和を始め、自動運転の試験導入、さらには相乗りサービスも加えて、石油高騰の中でタクシー運転手はそれでも柔軟に対応し、タクシー運転を通じてお客様を快適に目的地まで運び、稼がなくてはいけません。
そんな中で、今各地でスタートしている新たなサービスをご存じでしょうか?
「乗り合い(デマンド)タクシー」とは?
今回は地方や首都圏郊外などで主にサービスを開始している「乗り合い(デマンド)タクシー」について解説したいと思います。
そもそも、乗り合いタクシーって聞いた事ありますか?通常のタクシーとどう違うのでしょうか。
複数の方が予約・乗車
「乗り合い(デマンド)タクシー」は予約をもとに1台のタクシーに複数のお客様が乗り合わせる場合もしくは複数のご利用になられるお客様からの予約をベースに、タクシーがお客様の各ご自宅などを経由し、順次目的地まで送迎する運行形態を言います。
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知り合い限定ではなく、複数の方もタクシーに乗車される…バスの超小型版のような感じです。
「相乗り」とは違うサービス
ここで似ているサービスとして比較されがちなのが「相乗りサービス」でしょう。
実は「乗り合いタクシー」と「相乗りタクシー」は似て非なるものなのです。
相乗りタクシーの内容は『タクシーに乗車する直前に専用アプリなどを通じて目的地の近いユーザー同士を結びつけ、相乗りできるサービス』で、2021年11月から制度として認められ運用が始まりました。
バスの減便に伴いニーズ増加
ここ最近話題になっている「バス運転手の深刻な人手不足」が深刻化になっているのは、首都圏に限らず全国各地でも同様です。
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人手不足となればそれだけ運転する乗務員が確保できなくなり、バスの本数を減便せざるを得ません。
また加えて細道ではバスのような大型、中型の車両ですと通行に支障をきたすため、デマンド型のタクシーに白羽の矢が立ったという訳なのです。
各地の「乗り合い(デマンド)タクシー」の様子
現在、日本列島では多くの地域で「乗り合い(デマンド)タクシー」が運行されています。
完全地域密着型の営業で、バス型タクシーとも言えるようなサービスですが、今各地で密かに実証実験を含めて展開の輪が広がっているのです。
今回は年末や新年にニュースとなった各地の「乗り合い(デマンド)タクシー」を紹介したいと思います。
和歌山県紀の川市の「のりのり交通」
和歌山県紀の川市では、人工知能とAIを活用して、利用者のニーズに合わせて運行する地域公共交通オンデマンド乗合サービス「のりのり交通」が2025年1月8日にスタートしました。
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紀の川市の北部エリアを対象に、市役所や駅、病院、商業施設など紀の川以北の河北西・河北東の2エリアで運行を開始し市内331カ所に乗降可能な箇所が設定されております。
香川県観音寺市の乗り合いタクシー
香川県観音寺市でも2025年1月6日に乗り合いタクシーの実証運行がスタートしました。
利用者の予約に応じて『便利で持続可能な移動手段の確保』を目的に、3月31日までの期間限定で走行されます。
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運行は地元観音寺市の立石タクシー(豊浜運輸興業株式会社)が実施しており、予約時もタクシー会社への連絡が必須です。
タクシーは月曜日~金曜日に1日5便、お客様の自宅と谷上(教育センター)、大野原支所(いきいきセンター)、宮ノ下(JA香川大野原支店)、中姫(マルナカ)の4カ所を回ります。
定員は4名(タクシー運転手除く)。料金は1回200円。1週間前から前日の16時までの期間で電話予約が必要とのことです。
尚、2023年12月には香川県さぬき市において、電脳交通が運行を支援し「乗り合い(デマンド)タクシー」の運行を開始。当時としては珍しい形態での運行となりました。
埼玉県神川町のAIデマンド交通「チョイソコかみかわ なっちゃん号」
東京からほど近い埼玉県でも2025年1月6日、神川町のタクシー事業者『神川交通』の運行によってにてAIデマンド交通「チョイソコかみかわ なっちゃん号」の実証実験がスタートしました。
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やはり神川町も高齢者等の移動手段の確保や地域活性化と町内の交通空白地域の解消等を図るべく、町内在住で会員登録を完了している方を対象にサービスを始めております。
車両はハイエースを使用し、月曜日から土曜日の運行で運賃は町内300円ですが、 週2回停留する隣県の群馬県藤岡市に位置する公立藤岡総合病院への運賃は1,500円となります。
練馬区南大泉、東大泉でもデマンドタクシー(東都グループ)
地方ばかりと思うなかれ、東京都内でも「乗り合い(デマンド)タクシー」は運行されてます。
2025年1月6日、練馬区南大泉と東大泉地区で東都中央自動車、東都自動車交通、東都城北タクシーが運営するAIデマンド交通タクシーのサービスがスタートしました。
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タクシー車両はミニバンタイプで5人まで乗車可能(タクシー運転手除く)で、利用の際は事前に電話かアプリで会員登録を実施し予約をします。
こちらは会員になればどなたでもご利用が可能とのことで、予約は1週間前から当日まで可能です。
停留ポイントは各5エリア内に分散されており、それとは別に「大泉学園駅(南口)」や「武蔵関駅(北口)」などの5つのエリア外停留ポイントもあり、エリア内の乗車は大人300円/子ども200円、エリア外の乗車は大人400円/子ども300円となっております。
※子どもは小学生。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
各地で「乗り合い(デマンド)タクシー」のニーズは増加傾向にあります。ライドシェアや相乗りとは違ったサービスですが、昨今取り沙汰されるバス運転手の深刻な人手不足や地域の人口減少と少子高齢化、そして過疎地故の険しい道などが相重なってこの先、AIを駆使して息の長いサービスとして君臨する可能性が高いと思いませんか?
タクシーはライドシェア、乗り合いタクシーと様々なサービスと共存共栄をしていかなくてはならないのかもしれません。ここに来て自動運転の話も出てきていますが、それはまた別の回にしましょう。