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タクシー「流し営業」のメリット。アプリ配車時代席巻ではなかった?じっくり解説
タクシー業界に転職したてのAさんはアプリ配車を実施するタクシー事業者で、乗務員デビューを果たしました。
前回、乗務中にお客様とおしゃべりしてよいのかという疑問を筆者こと現役タクシー運転手のカケルに惜しみなく質問をしてくれましたね。
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今回は、また違う質問でタクシーメディアに登場です。
しかし、2回目の登場ではありますが「Aさん」という呼称は可哀想ですね…笑。かわいらしい愛嬌のあるニックネームのひとつでもつけてあげたいところです。
という訳で…全国から-2,487,693件の応募の中から厳選に選ばれました中野区在住「ラッパ」さんが考えた『タクシー運転手のタクゾー君』に決定致しました。(※件数及び人物は架空です。信じないでください笑。)
そんな彼は乗務開始してから数ヶ月間は、会社の意向によりアプリ配車ではなくまずは『流し営業に慣れてください』という事から流し営業を実施しているのですが…なかなか不安も多いようです。
アプリ配車での営業が主流となった今
東京都内に限らず、近隣首都圏、地方各地においても現在アプリ配車の地名度は各段に上昇しております。
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これはテレビコマーシャルやネット広告、さらにはタクシー車内で流れる広告の効果も出てきているという事ではないでしょうか。
世の中にこんなに利便性の良いものが存在するのか!とコロナ禍に改めて国民は認知したと言えましょう。
すごいですよね配車アプリって!タクシーの配車を変えましたよね。この3年ですごい進化です!
ただ実を言うと、タクシー配車アプリ自体は登場から既に丸10年以上は経過していて…認知と合致、そして「需要と供給」が合点する機会がなかなか合わなかったのかなというのが見解です。
やはりきっかけはコロナ禍でスマホがあればドアツードアで目的地まで移動が可能になった。
あと『手軽に呼べる』という感覚がウケたんでしょうね。
現在特に東京都内では全体の半数近くがアプリ配車での営業が主流となっているのは否定できません。
しかし、そんな状況下でも東京都内や都市でタクシー営業を実施するのに欠かせない「流し営業」は未だもってして根付いているのです。
「流し営業」のメリットとは?
ふぇ~ん!流し営業怖いよぉ~!
確かに最初のお客様は超緊張しますよね。
自分も一番最初のお客様は今でもよく覚えています。
でも一歩進まなきゃ始まりません。
流し営業のメリットとは一体どのような部分があるのでしょうか?
アプリ配車に押されて、とかく「昔ながらの営業」だの「※正規のタクシー運転手ですがもうアプリ配車しかやりません」というタクシー運転手も一部では存在しているようですが、流し営業の良さも知っておいた方がよいでしょう。
※アプリ専用ドライバー枠、ライドシェアは除きます。
キャンセルがない
タクシー運転手がアプリ配車の依頼➡受諾を受けて到着した後、ほとんどのお客様は乗車位置にてスタンバイをしていらっしゃってくださっています。
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しかし、場合によってはなかなか出てこないこともあります…。そう、鋭い方はもうお気づきかと思いますがアプリ配車は「キャンセル」というのが存在するのです。
実は筆者は流し営業が大好きなのでほぼ流しメインにしていることもありあまり遭遇したことがないのですが、キャンセルは痛い…ただ迎車料金は発生しますのでラッキーではあるのですが、時間がもったいないですよね。
ニーズは多い
流し営業なんて時代に合わないと思ったタクシー運転手さん及びこれからタクシー運転手になりたいと思っている転職希望の皆さん、それは大きな間違いです。
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流し(手上げ)で乗車されるお客様は今だ持っていらっしゃいます。
コロナ前との比較では何とも言えませんが、少なくともアプリ配車の台頭でタクシーが以前に比べて捕まりづらくなったのは事実です。
それ以上は…有料レベルになるので察してください笑。
お客様は『メリット』が高い
お客様はアプリ配車でタクシーを呼ぶ際、『いつ目の前を通るかわからないタクシーを待つよりも、予約をして5分前後でタクシーが確実に来てくれる』というサービスに投資したのです。
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つまりこれは通常のタクシー料金にプラスして『迎車料金』が発生することを意味します。
ということはお客様にとっては数百円ほどが懐から出ていくわけですから、人それぞれとは言え痛手であることには間違いありません。
となれば、流しのタクシーを拾えば通常の運賃のみで済むわけですのでお財布にもありがたいという訳なのです。
お客様から感謝される機会が多い
2025年現在タクシーは今、アプリ配車の台頭で街中を走る空車のタクシーを捕まえるのが以前にも増して至難の業となってきています。
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但し時間帯によってですので、タクシーの稼働台数が過剰な時もあれば需要と供給が全く合わずに空車が走行していないという時もあります。
そのため、お客様が空車のタクシーを乗車されると「よかったー!タクシーに乗れた」「タクシーが居たー!」という声をよく頂きます。
確かに私も、タクシーを流しでやってみましたが…驚いたのがお客様が「助かったわ!」って言ってくれるんです。しかもこの間はお釣りもチップで頂けましたよ。
一期一会の出会いが濃い
アプリ配車であろうと無線配車であろうと、予約でも…そして流し営業であろうとお客様との出会いはタクシー運転手にとってもお客様にとっても『一期一会』です。
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とりわけ流し営業は「いつものタクシー会社で頼んでいる」という方が乗車する訳ではなく、良くも悪くも不特定多数の方が乗車されるので様々なドラマを乗せてタクシーを利用してくださいます。
お客様から思わぬ話や情報をもらうこともありますし、それが人生において0.1%でも役に立ったり考えさせられることならばタクシー運転手をしていて良かったと思いますよ。
美味しいお店や、道を教えて頂いたり…それも素敵なことですよね!
そうなんです。道を覚える事はタクシー運転手にとって必要不可欠な事ですので、ナビだけに頼らず、時にはお客様に聞いて目的地へ行きましょう。
意外と『帰りの道順』などを教えてくれたりしますよ。
「流し営業」が成立する場所は?
それでは、流し営業が成立する場所は一体どこなのでしょうか?
タクゾー君はタクシー運転手をする前は自動車部品の期間工で勤務していて自動車好きではあるものの、タクシー業界は未経験。しかも東京都内も初めてなのです。
はい。僕は九州出身です!なので東京の地理はわかりませんでした。。とにかく勉強しただけでは机上の空論なので、あとは実践でお客さんに聞くしかなくて!
ばってんばってん!
一定の時間
流し営業が成立する条件に正解はありません。
なぜならば、お客様の需要は時として隠れており人によって変動するからです。
それは季節性や時期、様々な因果関係が複雑に重なっているのです。
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但しある程度の規則性や事例に則って「この時間帯に流し営業は成立しやすい」とうのは当然あります。
皆さんは日々の生活において『おはようからおやすみまで』どのようなタイムスケジュールで過ごしますでしょうか?
通勤・通学の時間帯に公共交通機関あるいは何か乗り物を利用して職場へ向かうことがあると思いますが、その際の移動手段にタクシーが使われるとしたらどのようなシーンを思い浮かべますでしょうか?
一定の通り・幹線道路
タクシーで流し営業が成立しやすい場所は『ほぼ』決まっています。
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大体がある一定の通り沿いであったり、幹線道路であることが多く、場合によっては一日を通してお客様がタクシーを求めていることもしばしば。
ある程度実践していけば、おのずと「この時間帯・この通りにお客様がいる」というのが分かってくるでしょう。
当初のうちはタイミング悪く全然お客様がご乗車頂けなかったのが…慣れてきて徐々にご乗車頂けるようになってくることがあります。
深夜帯
深夜帯のタクシーは流し営業が強い時間帯と言えましょう。
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どうしても深夜帯の特性上、終電に乗り遅れてお酒が回っている状況でアプリ配車というのが難しい状況になります。(この点からもキャンセルが多いのもこの時間帯です。)
通りをフラっと出た際に、空車の流し営業をしているタクシーを見つけると乗車する率は比較的高いのではないでしょうか。
深夜帯はそのまま寝てしまいそうなお客様が先日いらっしゃったので、先輩のタクシー運転手に教えてもらった『予め住所聞いてごらん』というのを思い出して最初に聞き出しました!
案の定寝てたんですが、目的地についてほっとしましたよ♪
…ってタクゾーよ!それ教えたのはこのワシじゃぁ~笑!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
流し営業が初めて、流し営業が不安という方がいらっしゃるかもしれません。
しかし筆者から言わせますと…流し営業こそチャンスなんです。
アプリ配車のメリットは大きいかもしれませんが、その代償…つまりしわ寄せ的なものがユーザーに影響を及ぼしてしまい、需要と供給がやや崩れているいまこそ、流し営業のメリットは抑えておいたほうが良いと言えましょう。
とはいえ、配車アプリ・無線配車・流し営業、効率よく上手に駆使していきましょう。