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あなたは知ってる?日本国内の「ライドシェア」には2種類ある!
2024年4月に登場した日本版ライドシェア。間もなく8カ月が経過し、年を跨ごうかというところまで来ております。
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日々日本国内でライドシェアのサービスを実施している地域は増加傾向ではあるものの、浸透率は正味今一つというのが現状です。
そんな日本国内で実施しているライドシェアですが、実は大きく2種類に分かれていることをご存じでしたでしょうか?
2種類のライドシェアについて解説
2024年4月に登場したライドシェアですが、詳細には『2種類』に細分化されています。
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しかしながら、この業界のスペシャリストですので、情報と経験とデータだけは蓄積しておりますので、わかりやすく解説していきたいと思います。
公共ライドシェア
公共ライドシェアは、別名「2号ライドシェア」とも言い、地方自治体や公共交通機関が関わるライドシェアとなっております。
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そのため、公共ライドシェアは従来より運行されている「自家用有償旅客運送」に該当するのです。
利用されるお客様のニーズに応じて運行されることが常で、公共交通の空白地帯や高齢化が進む地域での移動手段の確保を目的としていることが主です。
一般的には既存のバス・タクシーによる供給が充分でない過疎地などの地域で運用されていることがほとんです。そのため交通空白を埋める手段としてNPO法人や公共団体等が運行していることが多いようですよ。
※但し現在は、省令により「交通空白地有償運送」及び「福祉有償運送」のみが認められています。
特性上「乗合」が認められている
基本的に公共ライドシェアは過疎地での運行がメインであるため、バスや乗合タクシーの代替としての役割を持っています。
つまりは『交通空白地や公共交通機関が不十分な地域での移動手段をサポートする』ことを目的としており、地域住民や利用されるお客様をいかに効率的に運ぶか熟考した末、道路運送法によって複数のお客様が乗り合うことは認可されているのです。
新たなサービスではない
公共ライドシェアは、実際のところ今回新たに始まった輸送のサービスではないのです。
実質的には「自家用有償旅客運送」というこれまでも存在していた制度を、新たな名称『公共ライドシェア(2号ライドシェア』として置き換えたものなのです。
NRS(日本版ライドシェア)
NRS(日本版ライドシェア)も、別名「3号ライドシェア」とも言います。
タクシー事業者の許可のもとで運営されることを条件として、ご存じ2024年4月から東京特別区の一部でスタートしました。
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NRS(日本版ライドシェア)と海外のライドシェアとの大きな違いは「一般のドライバー」が自由にライドシェアに登録=営業を可能にするというスタイルではなく、法人タクシー事業者や国土交通省が認可した企業のみがライドシェアに参加できるという点です。
道路運送法の言葉を借りれば「地域又は期間を限定して運送の用に供する」というやつです。
2号、3号とは、道路運送法78条に示される下記の条文によるものです。78条2号に記載のある「自家用有償旅客運送」が2号ライドシェア、同条3号に記載のあるものが3号ライドシェアとなります。
そもそもライドシェア導入の背景って?
日本国内には沢山のタクシー事業者があり、タクシーも日々多くの車両が蔓延っているにも関わらず、ライドシェアを導入する…一体これはどうしてなのでしょうか?
また、この議論は10年以上前から交通業界では話題になっていましたが、こっぴどくタクシー業界内では反対の声も強かったのです。
タクシー運転手不足への対応
日本国内では、普通・大型に限らず『二種免許』の取得に際して長年、費用面と専門技術などによる高い壁が存在しています。
現在タクシー業界の多くが条件付きでにタクシー運転手に転職を希望される業界未経験者の方については二種免許の費用をタクシー事業者が全額負担で養成する制度を設けております。
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二種免許は公共交通機関で運転する「プロドライバー」として安全・安心な運転技術を保証する免許として非常に大きな意味を持ちますが、昨今の問題として二種免許保持者の平均年齢が高齢化していることが挙げられます。
現在、二種免許は普通免許取得から3年以上経過していることが受講・取得の最低条件ですが、数年前に条件が一部緩和され「特例講習」を受ければ18歳で普通免許を取得している方の場合、1年経過で二種免許を取得できる資格を得られるので最短19歳から取得をすることが可能になりました。
しかし、「特例講習」もその分費用が倍になるため、さらにハードルは高くなる一方です。
この免許取得への負担が大きい点が『二種免許取得者数の減少』に紐づいているのは、偶然の一致ではないようにも思えます。
インバウンド需要によるオーバーツーリズムへの対応
2020年のコロナ禍では観光客も一般利用客も消え、絶望的はてまた哀しみの極みを経験したタクシー運転手も多いのではないのでしょうか?
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しかしながら、あの時代はなんだったのだと言わんばかりインバウンド需要の爆増ぶり、コロナ前を優に越す観光客とタクシー利用によって東京をはじめ横浜、京都、名古屋、大阪、神戸、広島、福岡、札幌など海外からの訪日観光客が多く訪れる都市においては、タクシーの供給量不足が顕著になってきております。
仰る通りではありますが、時間帯別でみていると状況によっては充分すぎるほどタクシーが溢れている時間帯もあるのも事実です…。需要と供給がアンバランスなのは間違いなさそうです…。
「交通空白地帯」への対応
ライドシェア導入背景の中で、真っ先に日本国内の需要とマッチングするのではと想像に難くないモデルが「地方過疎地」ではないでしょうか。
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現在、日本国内では人口減少と少子高齢化の影響を大きく受けています。
特に地方においては、バス事業者が利用されるお客様の減少と運転手不足により時刻削減や撤退を余儀なくされ、また輸送もダウンサイジング化が図られております。
タクシー事業者もドライバーのみならず事業所も不足の傾向であり、特に過疎地を中心に自家用車を活用したお客様の送迎に対する期待が高まるようになっていきました。
『白タク』との区別化
上記の内容から政府では海外で実施されているように日本国内でもライドシェアを解禁し、地域経済の活性化を図るべく都市部及び地方の需要ニーズに応えようとする動きがでてきました。
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しかしながらライドシェアは「白ナンバー」で走行します。
つまりは「白タク」に該当するのです…。
ライドシェア参入に対してここまで時間が経過した理由のひとつとして、タクシー業界からの根強い反発があったことが挙げられます。
安全面への懸念はもちろんですが、料金設定やタクシー運転手ならではのサービス品質など、既存のタクシーで築きあげてきたビジネスモデルが根本から変わってしまうという声もあり、日本独自のルールが敷かれた現在でも反対の声は後を絶ちません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
日本におけるライドシェアの制度についてまとめてみました。実は二つの種類に細分化されており、それぞれのニーズに沿った形で実施されていますが、今のところどうしても『タクシー色』が強いのも事実です。
思えばタクシーアプリも根付くまで10年ほどかかりましたし、国民に浸透する大きなきっかけは間違いなく『コロナ禍』であったと思います。
今後この遠くない未来でもしかしたらライドシェアが日の目を見る、或いは現代でいう「バズる」ような出来事が起きるかもしれません(皮肉にもそれが災害などであったら、非常に悲しいのですが…。)
タクシー業界はこの先、自動運転の件もありますが決して衰退企業にならず、常日頃のアップデートを実施しライドシェアドライバーやタクシー運転手共々雇用条件が時代が進むにつれて同様に整えば、こんなに嬉しいことはありません。