

先日バス事業者、鉄道事業者を対象に日本国内のライドシェア参入要件を緩和することを決定しましたが、なんとこの度鉄道業界の根幹的存在企業が名乗りを上げました。
現在のライドシェア情勢を巡り巡って総合的な着地とみれば「当然の決断」であったのかもしれませんが、やはり日本国内で今まで普及がなされていなかった新たなモビリティサービスという事で、鉄道業界のビッグネームが一役も二役もライドシェアの定着に繋がるのは必至と言えましょう。
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ライドシェアにJR東日本が本格参入!今後エリアも増大予定。
国内最大級の鉄道路線『JR東日本』は、ライドシェア事業に今後、本格参入する方針を固めました。
先般2024年12月2日に国土交通省が審議会部会にて発表したライドシェア参入要件の緩和するに先立ち、ライドシェアへの参入に舵を切った形となりました。
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自治体運行の枠組みで実施
JR東日本では、自治体が運行を管理する「※公共ライドシェア」の枠組みで実施します。ライドシェアのドライバーに関しては原則一般応募ではなく、JR東日本管轄である自社の社員やOBをドライバーとして採用するとのことです。
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また『NRS(日本版ライドシェア)』と同等、営業時間は通常のタクシー稼働台数が少ない時間帯に運行をします。※現在は省令によって「交通空白地有償運送」と「福祉有償運送」が認可されております
今回のJR東日本の取り組みはまさに従来のタクシーや路線バスを利用することが困難な「公共交通空白地」の解消や「高齢化地域での移動手段の確保」につなげることを目的としています。

注目の実施地域
JR東日本のライドシェアは、早速実施に向けて調整を始めているようです。
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もう年内も残りわずかのところまで来ているこの2024年度中に、専用のアプリを通じてライドシェアを配車できるように検討をしています。
尚、注目の実施地域は千葉県の『南房総市』と『館山市』で調整を進めており、いずれも「公共交通空白地」かつ「高齢化地域での移動手段の確保」が必須な地域でもあります。
運行予定時間は22時から翌朝7時で車両はグループ会社のレンタカーを使う。
但し…この地域ですと、いくら公共交通空白&過疎地とは言え、正味そこまで需要があるのかとも思います。。

JR東日本の展開について
JR東日本は鉄道事業を中心とした公共交通機関のリーディングカンパニーです。
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そのため、ライドシェアの法整備が整い規制緩和が実施されれば堰を切ったかの如く行動に移すであろうというのは専門家からも予想はついていたのです。
過去にもJR東日本ではタクシー東京大手四社の国際自動車とMaaS事業を進めたりとタクシー事業者との連携は切っても切れない旧知の仲なのです。
それだけに今後の展開に目が離せません。
公共交通機関の効率化
現在、JR東日本では鉄道運行の効率化を「ワンマン化」などといった形で進行させており、2025年から2030年頃までに山手線や京浜東北線、南武線などでワンマン運転を実施する予定です。
以上のことから今後は人員削減ではなく、新規に交通分野に人材を投入していく予定であるとのことです。
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今回はかなり限られた地域で、しかもほぼテスト運行の色が強いですが…ライドシェアの利用状況が好調であればこの先、新幹線の停車駅周辺での運行などを含め、他の地域にもライドシェアを拡大したいとしています。
それもそのはずMaaSの定着・浸透が今一つというのが現状だからなのではないでしょうか…。

10月には長野県野沢温泉内で実証実験を実施
このほか、実はJR東日本では現在、長野県野沢温泉内でライドシェアの実証実験を実施しています。
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既に2024年11月1日から始まっており、年明け2025年1月31日までの期間限定で運行され、おもに近隣のスキーシーズンにおけるインバウンド移動需要増加等に伴っての新たな移動手段提供という形となります。
東日本旅客鉄道株式会社(「JR東日本」)、一般社団法人野沢温泉マウンテンリゾート観光局、株式会社AMANE、株式会社日本総合研究所はJR東日本主催の「WaaS共創コンソーシアム」による取り組みの一環として野沢温泉村内での公共ライドシェア2の実証実験を11月1日(金)より実施します。
本実証では、利用状況、ご利用のお客さまとドライバーの評価などから、移動ニーズや運営方法、利便性を検証します。
インバウンド移動需要増等により不足する観光客や地域住民の移動手段を提供し、地域の社会課題解決を目指していきます。
【JR東日本:プレスリリースより一部抜粋】
このほか秋田県内ではJR東日本が運行しているオンデマンドバスに動きがあります。
いずれにしても、JR東日本としてはバス以外の保有車両を活用したり、自社の社員を動員して有償運送を実施するのは初めてとなります。
ライドシェア参入要件緩和が今後拍車か
先日のタクシーメディアで取り上げたニュースにおいて「国土交通省がバス・鉄道事業者を対象に参入要件緩和へ」という記事がありました。まさにその緩和の煽りを受けてJR東日本では大手鉄道会社ならではの資金力を活かし、「地慣らし」と言った形でライドシェア運行へ舵を切る形となった訳です。
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また、今回は千葉県内の南房総市と館山市。ほんの少し離れた場所ではまだJR東日本が管轄の久留里線(まもなく一部路線廃止)が走っており、今後バス等へのシフトチェンジとのことですので、まさにライドシェアサービスへの期待が膨らむところです。
2028年までに『Suicaアプリ』をリリース予定
JR東日本のサービスで興味深い話をもうひとつ。
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つい先日となる2024年12月10日、JR東日本では自社の交通系ICカード「Suica」の展望について発表がありました。
そこには2028年度までに「Suica」専用のアプリ(名称は未定とのこと)を新規にリリースすることで、従来のチャージや決済のみならず、ライフスタイルのシーンにおける新体験のDXのサービスとしてSuicaを推進していくというものでした。
一部は省略しますが、今後はあと払い、位置情報の活用、個人間送金もあり、注目すべきは「ライドシェアやデマンドバスなどとの連携」を紐づけるというものでした。
現時点ではまだここまでですので…詳細はまたリリースされると思います。
これから~Opinion~
日々刻々と変化を遂げるライドシェア。日本国内で根付くのはいつの事なのでしょう。
そう思いながらも、鉄道事業者が展開する公共交通空白&過疎地にアプローチする公共ライドシェアであれば、非常に理にかなったサービスなのではないでしょうか。
しかしながら課題もあり、時間帯が緊急時を除きそこまでして移動手段を欲するゾーンなのかというのが聊か懐疑的にも思えます。
長野県の実証実験は明らかにインバウンド需要のニーズをターゲットとしたものでありますので、わかりますが、地域ニーズを考えるともう少し時間帯を地元タクシー事業者や運輸局、協会と話を折り合わせた方がうまくいくのではないかと考える次第です。