見出し
大阪タクシー&ライドシェアが『大阪・関西万博期間中』大幅規制緩和!
国土交通省は、2024年12月19日に東京都内で開かれた大阪府・大阪市との「NRS(日本版ライドシェア)」に関する共同会議において、来年の大阪・関西万博の期間中は『大阪府内全域』で「NRS(日本版ライドシェア)」を『24時間運行』に規制を緩和することを提案し、合意しました。
【関連記事】大阪タクシーがアツい!2025年に迫る大阪万博へ向け、地元タクシー業界が変革の嵐!
大阪市周辺では今年2024年5月から「NRS(日本版ライドシェア)」のサービスがスタート。
世界の基準と異なり日本独自の『タクシー事業者が運行主体』というスタイルで同年4月に東京都内に先駆けて実施されております。
しかし今回は大阪府内全体を24時間運行でのサービス緩和というまさに『特例』に舵を切ったのです。
大幅な規制の緩和
日本政府が発表した「大阪・関西万博日本国際博覧会基本計画(アクションプランVer.4)」では、大阪・関西万博開催期間中の想定来場者総数の約 2,820 万人とのことです(国内来場者約9割・海外来場者約1割と想定)。
【関連記事】国土交通省がバス・鉄道事業者を対象に参入要件緩和へ
この試算数字を見ても、現状の輸送手段では公共交通機関だけですと賄いきれないため、現在大阪市周辺のみに限定されていた「NRS(日本版ライドシェア)」の運行エリアを大阪・関西万博開催期間中は大阪府全域に広げ、移動需要に対応するとしています。
ライドシェア緩和の詳細
ここで現時点で判明している「NRS(日本版ライドシェア)」規制緩和の詳細を説明しましょう。
実施期間は来年2025年4月〜10月までの大阪・関西万博開催期間中という限定で、平日土日祝を問わず大阪府内全域において24時間ライドシェアを運行できるようになります。
【関連記事】新たな規制緩和「災害時にライドシェア運行可能」に。
また、これに先立って大阪市では国土交通省と大阪府、大阪市、大阪タクシー協会で大阪・関西万博の開催期間中に必要となるライドシェア車両の台数を検討するために早速、2024年12月20日から24時間ライドシェアを試験運用での走行を開始しています。(大阪市周辺210台・その他地域は各区域内タクシー車両数の5%)
タクシー事業者以外の新規参入や運転手の業務委託はNGですし、当然『白タク』などもっての外です。
タクシーの営業規制も同時に緩和する
大阪・関西万博開催期間中においては、実を言いますと規制を緩和するのは「NRS(日本版ライドシェア)」だけではありません。
【関連記事】Uberとタイムズカーシェアがシェア開始
大阪府内を走行する一般タクシーも万博開催期間中は『規制緩和の対象』になるとのことなのです。
営業区域を超えた営業を可能に
本来ではあり得ないことなのですが…大阪府では大阪・関西万博開催期間中の4月~10月の6ヶ月間においてはタクシーの営業規制も緩和し、することも明言しております。
【関連記事】大阪メトロがタクシー会社を子会社化へ。業界初参入。
大阪府内のタクシー全営業区域がなんと、大阪・関西万博開催期間中は『交通圏を越えた運行を可能になる』とのことです。
現在大阪府には、下記の交通圏が存在し、大阪運輸支局が管轄する7つに分かれる営業区域が存在します。
- 大阪市域交通圏
大阪市/豊中市/吹田市/守口市/門真市/東大阪市/八尾市/堺市(旧美原町区域を除く)/大阪国際空港/関西国際空港【発地限定】 - 北摂交通圏
池田市/箕面市/茨木市/高槻市/摂津市/島本町/大阪国際空港 - 河北交通圏
枚方市/寝屋川市/交野市/四條畷市/大東市 - 河南交通圏
松原市/藤井寺市/柏原市/羽曳野市/関西国際空港【発地限定】 - 河南B交通圏
富田林市/河内長野市/大阪狭山市/堺市(旧美原町区域)/太子町/河南町/千早赤阪村/関西国際空【発地限定】 - 泉州交通圏
泉大津市/和泉市/高石市/岸和田市/貝塚市/泉佐野市/泉南市/阪南市/忠岡町/熊取町/田尻町/岬町 - 豊能郡
豊能町/能勢町
慢性的な『車両・運転手不足』の恐れから
今回の大阪・関西万博の開催期間中に「NRS(日本版ライドシェア)」と「タクシー営業区域」の規制緩和を実施する理由として、純粋に『来場者数の移動手段が賄いきれない』というのもありますが、以下のような推計試算から必然的に実行に移されるようなものでした。
【タクシーニュース】新規参入ライドシェア事業者『newmo』が大阪万博へ向けドライバー募集を呼びかけ
それは大阪府と大阪市の推計によれば『万博開催中は1日当たり最大で1880台のタクシーが不足する恐れがあり、タクシー運転手の人数で言えば1日当たり約4,000人相当のタクシー運転手が必要』という試算が出たことによります。
こうなってしまえば運転手そのものを確保するためにはライドシェアを認めるべきだとして、19日の会議の場において大阪府は国土交通省の案に同意をしたというわけです。
インフラ整備が続く大阪
いよいよあと4ヶ月弱に迫ってきたビッグイベント「大阪・関西万博」。
空飛ぶタクシーの公開やら近未来スペック満載の移動手段が登場するか否かという話題もある中、現実的に考えてイベント会場の「夢洲」までのアクセス、インフラ整備はどこまで進んでいるのでしょうか。
【関連記事】日本初!空飛ぶタクシー!2025年大阪で誕生へ。
大阪・関西万博では、1日最大22万人超の来場者が訪れる予定(日本国際博覧会協会の試算による)であり、万博会場へのアクセス手段は「地下鉄」「バス」「船」そして「タクシー・ライドシェア」となります。
建設当初は「間に合うのか」「事業費が膨大」など散々な言われようでしたが…会場周辺のインフラ整備も徐々に整い始めており、懸念事項であった道路の整備も順調のようです。また、今回の開催で大阪メトロ中央線の延伸が実施され、総合的なアクセス向上を目指しております。
一日の最大入場者数はなんと83万5,000人!6ヶ月間の開催期間中で国内外から6,400万人以上の方が大阪の地へ訪れたのです。当時は「月の石」など超目玉な展示や訪日観光客ですら珍しい時代だったこともあり、近未来を味わえる万博はひと際エポックメイキングなイベントだったのでしょう。
当時は阪急千里線や北大阪急行が臨時駅を設けるまでして対応をしていました。
これから~Opinion~
日本国内はコロナ禍以降、東京オリンピック2020(開催は2021年)での無観客開催があり、なんとしても近畿関西方面の経済界のみならず日本全土でこの大阪・関西万博を成功させたいものです。
そのために公共インフラの整備、公共交通機関の充実は欠かせませんし、鉄道・バスだけでは賄いきれないものがあります。
普段タクシー運転手をしている筆者でさえ、東京都内で大規模なイベントが開催された折、お客様全員が鉄道・バスで移動するかと言えばそうではありません。やはりタクシーのお客様も必ずいらっしゃるのです。
タクシー営業をしているとお客様は様々な心理でタクシーを利用されてくださっていることがよくわかります。
例えば『本当に急いでいるとき』、『乗ろうか乗るまいか迷っているとき』、『体調がすぐれないとき』、『人混みが苦手な方』…イベントを楽しんだ後であれば帰宅を急ぐ方にとって移動手段は大切な選択肢です。
だからこそライドシェアの規制緩和はしっかりとした着実な研修体制を望んでやみません。
また、大阪府内のタクシー運転手も普段運行しない交通圏に行くことはいささか未知の体験でしょうから、運転には充分注意して営業を行っていただいたいと切に願っています。