見出し
【ライドシェアニュース】国土交通省がバス・鉄道事業者を対象に参入要件緩和へ
タクシー以外の交通事業者からもライドシェア提案
『NRS(日本版ライドシェア)』は2024年3月にサービスを開始し、現在では全国に広がりを見せています。
とは言いましても、世界中で代表されるようなライドシェアとは違い、基本的に日本国内のタクシー会社が主導で実施するサービスとして、交通空白解消や、繁忙期時間帯のサポートに充てるのが狙いです。
【関連記事】Uberとタイムズカーシェアがシェア開始
バス路線の再編や鉄道廃止の代替に
近年路線バスの運転手不足の影響により時刻・路線再編を検討する動きが顕著になっております。
また、地方都市に目を向けると鉄道事業者が運営する路線の廃止が相次いでいるのも現状です。
タクシーを除く交通事業者各社では、これらの代替に充て『ラストワンマイル輸送の補完』という狙いもあって、『NRS(日本版ライドシェア)』への参入できないかと検討していたところでした。
【関連記事】ライドシェア利用。都市部と地方で差。
観光需要の閑散期を狙う
日本国内は史上まれにみるインバウンド需要爆増という様相を呈しています。
しかしながら、季節の関係上で観光需要の増減が大きい地域はどうしても存在します。
【関連記事】交通空白解消本部を国土交通省が立ち上げ
その際地元で幅を利かせる『貸切バス』などの利用需要がどうしても閑散期となりすよね。
この時にこそ、「個別輸送」に着目し、需要が高まるシーズンにこそ『NRS(日本版ライドシェア)』を活用したいという交通事業者各社の思惑も見え隠れしています。
そんな中での規制緩和ですから、何しろバスや鉄道事業者にとっては新たな可能性を開拓する絶好の機会となることは言うまでもないでしょう。
許可はどうなる
上述のようにバスや鉄道事業者が『タクシー事業の許可を受けて日本版ライドシェアに参画』というケースは、タクシー事業の許可要件及び『NRS(日本版ライドシェア)』について、すでに旅客運送に必要な体制が整っていることもあります。
【関連記事】タクシードライバーの豆知識③『タクシーの種類って何がある?小型からライドシェアまで紹介!』
今後の規制緩和によって大きな点は、参入の前提となる『タクシー事業の許可』をバス事業者・鉄道事業者ともに得やすくなることです。
専従役員は『兼任』でもOK
今回の規制緩和では、運行や車両整備を管理する『専従役員』を新たに選任する必要はなくなります。
つまり、業務は兼務でも問題ないということになります。
都度新規事業取得の際に整備を強いられるのではと思いがちですが…『営業所』や『車庫』、各運転手の仮眠室やシャワールームなどの休息スペース関連は、現在の既存施設が問題ないようなら整備不要としています。
タクシー事業の許可に当たっては、タクシーの運行管理や車両整備管理といった管理運営体制の責任者として、当該事業者の役員のうち、1名以上が専従することが必要となっている。
一方、バス事業者が日本版ライドシェアを実施することを目的として、タクシー事業の許可を受けようとする場合には、役員の専従要件を緩和し、バス事業の管理運営体制の責任者がタクシー事業の管理運営体制の責任者を兼任できることとすべきである。
【交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会『バス・鉄道事業者による日本版ライドシェアへの参画についての論点整理案』より一部抜粋。】
交通事業者とパートナーシップを組むには
各運転手や施設、そして車両の共用が行われることと、運転手が複数の事業者に雇用されることを想定して、必要な措置を講ずることを望ましいとしています。
施設や車両の共用
日本版ライドシェアに参画するバス事業者、鉄道事業者者は、パートナーシップを組むバス事業者、鉄道事業者の各営業所(車庫、休憩等施設、駅舎といった営業関連施設や社用車、乗合タクシーの遊休車両を、日本版ライドシェアの実施主体となるタクシー事業者と共用することが今後考えられるでしょう。
労務管理・就業規則
日本版ライドシェアに参画するバス事業者、鉄道事業者は今後、タクシー事業者との間で運転手(ドライバー)をシェアすることが考えられます。この場合、該当の運転手は果たしてどのような管理下に置かれるのでしょうか。
該当する運転手はバス事業者、鉄道事業者及びタクシー事業者双方において勤務することとなります。
そのため複数の事業者に雇用される形となります。
運転の副業はNGだが…
従来、運送関係のお仕事を従事している方は「運転関係の副業」は安全管理の関係でNGとされています。
ですが『NRS(日本版ライドシェア)』の運転手として従事する場合については、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」に準じることが必要があることもあります。
そのため兼業する双方の運転事業者において自動車の乗務に従事するようなケースは、運送の分野における会社員の労務管理を徹底するため、メイン(主)の勤務先事業者と勤務先(従)の事業者が協定等を結べるよう整備をする予定です。
『オーバーツーリズム』や『プラスワンマイル』など、危機的状況を救うトリアージ的な隙間産業になれれば面白いかもしれません。
あくまでタクシーとの区別化は図りたいところですが…。
これから~Opinion~
2024年3月の日本版ライドシェアの解禁によって、小出しに規制緩和を実施している様子が伺えますが、他業種のとはいえ同じ公共交通機関で活躍を共にする事業者の「ライドシェア」参入が本格化となりそうです。
これらの背景には、需要が見込まれる時間帯に本来供給を賄えるはずのタクシー台数が都内を中心に少なくなっていること。さらに加えてタクシー運転手の充分な確保に至っていないことが原因として挙げられます。
そのような状況下、新規参入そのものは現状日本国内のライドシェア事情では認可が下りなかった…しかしここで交通事業者であれば、運行管理や整備関係などはタクシー・ライドシェアの業務を踏襲する内容も多いことから規制緩和になりました。
空いた時間の隙間産業として、海外同様にもう少し緩和してくれると良いと思う反面、安全面の担保に未だもってして疑問があるのも事実。
日本の国民性でもある『事業者=絶対安全』神話…これは一切否定しませんが、ライドシェアなどの一個人が運営するビジネスにはユーザーとしてもまだ少し理解を深めるには時間がかかりそうな気配を感じます。