東京都内高速道路の発達網といえば、それはそれはこの50年で著しい変化を遂げました。
東名高速道路、首都高速、中央道、東北道、圏央道…挙げればきりがありません。
高速道路もまた、高速道路と自動車専用道路と種類がありますが、一般自動車道という括りの道路も存在します。
この度タクシー営業でもよくりようされる都内の名物道路が、来春姿を消そうとしているのをご存じでしょうか?
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【タクシーニュース】東京タクシー銀座の要『KK線(東京高速道路)』が来春廃止に。
東京高速道路株式会社は2024年11月12日、KK線の愛称で親しまれている東京高速道路を来年2025年4月を以てに廃止すると発表しました。
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都内の名物道路として半世紀以上、ついに役目を終えることになります。
5年前から廃止検討に動いていた。
実はKK線(東京高速道路)の廃止の検討はさかのぼること5年前2019年~2020年頃から持ち上がっていました。
と言いますのも、付近では『日本橋周辺の首都高速道路の地下化事業』に伴って、首都高速都心環状線と首都高速八重洲線を地下で結ぶ新たな都心環状ルート「新京橋連結路」の整備が決定したことに起因します。
但し東銀座出口は残存します。
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大型車非対応がネックだった
KK線(東京高速道路)は特性上、首都高速と末端で繋がっているメリットがあります。
しかしながら、大型車の通行に対応していないというデメリットがありました。
このことから、国土交通省の「首都高都心環状線の交通機能確保に関する検討会」にて大型車の交通機能確保対策を検討した結果、2023年には都市計画を変更し、新たな都心環状ルートとなる『新京橋連結路』を整備することとなりました。
廃止後の跡地は公共的空間へチェンジ
来春のKK線(東京高速道路)利用廃止後の跡地は一体どのようになるのでしょうか?上述でもお伝えしたように高架下にはコリドー街などのテナントも多く存在しています。
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東京都市整備局によると、KK線(東京高速道路)は廃止後自動車専用の道路から歩行者中心の公共的空間へと様変わりをするそうです。
「世界から注目される観光拠点」を目指すため、地域間を結ぶ歩行者空間を創出し、かつての跡地には植栽、オープンカフェやベンチ、そして次世代モビリティの発着所を今後整備されます。
KK線(東京高速道路)とは?
そもそも…KK線(東京高速道路)とは一体どこにあるのでしょうか?そして何ぞや…ですよね。
都内をたまにしか車で走らない方や郊外の方はもしかすると『え?そんな高速道路あるの?』『首都高速じゃなくて?』と疑問符が浮かぶかもしれません。実は知る人ぞ知る、高速道路…みたいな穴場の道路なのです。
無料の自動車専用道路
KK線(東京高速道路)は、都内中央区の京橋と汐留ジャンクションを結ぶ全長約2キロの『自動車専用道路』です。
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直結する首都高速とは違い、一般自動車道という括りで存在しているのには理由があります。
通行はなんと無料で、KK線(東京高速道路)の高架下には賃貸スペースを設けており(コリドー街など)、テナントからの賃貸収入で道路の建設費や維持費を賄っているのです。
1964年東京オリンピック後に開通
KK線(東京高速道路)の開通は、1964年の東京オリンピック後の1966年になります。
1951年、当時の財界人達が、戦後の銀座復興と自動車交通量が飽和状態になったために、緩和を目的として『東京高速道路株式会社』を設立したことが始まりです。
銀座を囲む外堀、汐留川、京橋川の一部を埋め立てて建設を実施し、高架の自動車道路を建設。1959年に部分開通し、1966年7月に全線開通に至りました。
首都高速道路の誕生が1962年12月(京橋~芝浦間の全長4.5km)ですので、それよりも3年早く都内中心に開通したことになります。
以来、近隣の利用はもちろん、タクシー営業においては周辺の銀座地区からの近道としても重宝されています。
末端全て首都高へ直結
KK線(東京高速道路)は首都高速の都心環状線汐留ジャンクションと京橋ジャンクション間をバイパスするルートを形成しています。
途中の西銀座JCTでは首都高速八重洲線に接続していため、ここでタクシー営業における『ロング』での利用時は首都高へと入るシーンがよく見られます。
昭和通りに接する蓬莱橋 – 新京橋間が東京高速道路の管理区間で、汐留ジャンクションから汐留乗継所を経て昭和通りを跨ぐ橋までは首都高速2号線の一部と京橋ジャンクショからKK線(東京高速道路)の白魚橋乗継所を経て昭和通りを跨ぐ橋までは首都高速都心環状線の一部となっています。
タクシー営業に影響は?
KK線(東京高速道路)はタクシー運転手にとっても3区内(千代田区・中央区・港区)を走行する場合は利用することが多い道路です。
近隣にお住まいの方も「土橋からKK線上って東銀座で降りてもらえますか?」と慣れている方が多い印象です。
そんな状況下、生活道路が廃止されることでさえ、一般車には大打撃ですがタクシーも大打撃のはずです…。
いつもの道が使えない…
KK線(東京高速道路)が廃止になると、周辺へアクセスの際にショートカットとして利用していたタクシー運転手は、かなり痛手です。また、周辺は都内タクシー運転手には御馴染みの『銀座乗禁地区』です…。
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平日の規制がかかった折は近隣のタクシー乗り場からKK線(東京高速道路)を経由して首都高各線へ出られる割増のタクシー運転手も多いはずですが、来春の廃止を受けて、遠回りを余儀なくされます。
また、ナビのアップデートが間に合うのかも疑問ですよね。
乗車時は予めお声がけを
KK線(東京高速道路)の廃止となれば、お客様への周知がどこまで行っているのか甚だ疑問が生じます。
都心環状線の京橋ジャンクションや江戸橋ジャンクション方面へ行かれる場合は、東銀座出口は廃止にならないとのことなのでそこまで下道で行く旨や、行先や場合によっては霞が関から乗車した方が早いことも全然ありますので、必ずお客様には乗車前に必ず一声かけましょう。
これで大分印象が違いますよ。
これから~Opinion~
KK線の運営手法は開設当時としては非常に画期的なものとして知られています。
それは『民間の資金とノウハウ(技術力・経営能力)を活用し、公共施設等の設計や建設、改修、更新そして維持、管理、運営を行う公共事業の手法』でした。
現在においても公共事業を実施する上でPFIというものがありますが、それに十分該当するのではないでしょうか。
首都高速や当時の道路公団などとは違い、会社運営で高速道路(一般自動車道)を運営していたのですからユニークなものです。
しかし時代の変貌と共に戦後の高度経済成長期に作り上げた産物が徐々にニーズや多様性との歯車にかみ合わなくなったことと、建築物の老朽化もあって昨今リニューアルが著しいのも顕著です。
この先インバウンド需要がさらに高まってくれば東京は更に利便性の向上を実施すべく大がかりなアップロードを強いられます。タクシーも日々変化に対応しなければならない…この点では本当に現場のタクシー運転手というのは応用力に長けている職業だと痛感します。