筆者は隔日勤務でタクシー運転手の仕事を時折しています。
普段タクシーの乗務をしていると、明番の日にタクシーのことを考えてしまう事が多々あります。
『深夜、ロングで家の近くに行ったらそのまま帰れればいいのに』ですとか、『ライドシェアもカーシェアで提携できたら面白いのに』ですとか…前者は個人タクシーでない限りはNG極まりない行為ですので無理なのですが、後者はなんと、この度実現となりました!
(『私の案が通ったので実現した』わけではありません…笑)
見出し
【ライドシェアニュース】Uberとタイムズカーシェアがシェア開始
日本国内でタクシー配車アプリとライドシェアサービスを行う「Uber(ウーバージャパン)」と、駐車場やレンタカー・カーシェアリングの会員・決済などのサービスを提供する交通インフラの総合プロデュース企業である「パーク24」は2024年9月4日、「タイムズカー」のカーシェア車両を活用した日本国内初となる日本版ライドシェアサービスの試験運用を開始しました。
国内では初の試みとなります。
『わ』ナンバーでライドシェアが出来る
カーシェアでライドシェアサービスが出来る…つまりこれは『わ』ナンバーでライドシェアが出来ると言うことに他なりません。
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日本国内のライドシェアは俗に『日本版』と言われ、一般のドライバーがタクシー事業者に一時的に雇用され運営するサービスとなっているのですが、使用するクルマはタクシー事業者が用意したライドシェア専用の白ナンバー車両もしくは認定された自家用車のみでした。
この度は「わ」ナンバーの貸渡車を使用して有償の運送事業を行うサービスとなります。
車種は2種類。ロイヤルリムジングループが窓口
注目のライドシェア車両ですが、トヨタ「シエンタ」とスズキ「ソリオ」の各1台が対象となります。
このライドシェア車両は千代田区の商業施設内にあるタイムズカーシェア内に停車されています。
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もちろんカーシェアですので、上述の2台はライドシェア車両としての貸出し時間以外はと言いますと、通常のタイムズカーシェア会員が車両を使用となります。
今回のカーシェアとのサービスを行う経緯は、Uberのパートナーのタクシー・ハイヤー事業者である『ロイヤルリムジン』が雇用のライドシェアドライバーを対象に、東京特別区武三交通圏で展開する運びとなりました。
新興企業のタクシー事業者「ロイヤルリムジン」
ロイヤルリムジンはタクシー規制緩和が施された平成20年創業の新興企業です。
一説によれば『最後のタクシー・ハイヤーベンチャー』とも言われています。
創業16年目を間もなく迎え、東京都内では特別区武三交通圏において現在は『7社9営業所』を展開する一大勢力へと成長しました。
ロイヤルリムジンのタクシー運転手は東京大手4社に引け取らない売上を誇っております。
その特徴としてGO、Uber、S.RIDE、DiDiの4大配車アプリ全てを配属のタクシー運転手が自社で駆使できることにあります。
また、現在ロイヤルリムジングループは事業を拡大し、大阪市域交通圏では3社、神戸阪神交通圏及び東播地区でも3社のタクシー事業の営業を展開しております。
▼特別区武三交通圏
・ロイヤルリムジン株式会社
・株式会社ジャパンプレミアム東京(銀座営業所)
・株式会社一二三交通自動車(練馬営業所)
・株式会社Z
・株式会社Z (五反田営業所)
・目黒自動車交通株式会社(目黒区)
・目黒自動車葛飾株式会社(葛飾区)
・株式会社関東自動車交通(本社営業所)
・株式会社関東自動車交通(江戸川営業所)
▼大阪市域交通圏
・朝日自動車第一株式会社
・朝日自動車第二株式会社
・朝日自動車第三株式会社
▼神戸阪神交通圏及び東播地区
・オリエンタルタクシー株式会社
・ファイブスタータクシー株式会社
・富士恵タクシー株式会社
日本版ライドシェアは随時規制緩和を実施
日本版ライドシェアは令和6年4月に東京都内を皮切りにスタートし、現在では全国おおよそ12のエリアにてサービスを展開しています。
しかしサービスの時間帯は限られており、基本的にはタクシーが不足する時間帯に運行するのが常となっています。
ライドシェアニュース『気温35度以上で台数上限引き上げへ(規制緩和)』
また規制緩和も随時行っており、一部地域では『気温35度以上』、『1時間に5mm以上の降水量が予測される場合』などにおいては運行可能としています。
所有車種に合わない方向けのニーズに
今回ライドシェアとカーシェアが手を組んだ背景はこのような事が考えられます。
実際にライドシェアドライバーをやってみたいが『自家用車をそもそも所有していない』、『所有する自家用車が軽自動車などで条件に合わない』、『持っていても家族で使用しているために運転時間に制限がかかっている。』という声があったためと言われています。
そこでライドシェアドライバーを確保していくためパーク24とUberが課題解決をしていく…という訳なのです。
日本版ライドシェアは『事前確定運賃』制
日本版ライドシェアはタクシーと違い、配車アプリによって注文を実施してお客様の元へと車両を走らせます。
お客様は目的地に合わせた事前確定運賃においてすでに運賃が決定していますので、ドライバーとお客様双方で『乗車中のメーター上昇のハラハラ感』がありません。
高速料金はどうなる?
ライドシェアに乗車中の高速料金は、事前確定運賃に含まれ清算されますのでドライバーは安心です。
この際、ETCカードはタクシー事業者から支給されるものではなく、ドライバーのカードを使用します。
タクシーニュース/新規参入ライドシェア事業者『newmo』が大阪万博へ向けドライバー募集を呼びかけ
高速道路の通行料は一旦、ドライバーが立て替える形となりますが、タクシー事業者経由でドライバーへ返金されます。
ちなみにUberを例に挙げますと…料金は『運賃+通行料+その他』となっており、料金はドライバー自身のアプリで随時確認できます。
(運転中は危険ですから一旦停車したのち実行しましょう)
これから~Opinion~
日本版ライドシェアはあらゆる可能性を探り、今後も規制緩和という形でサービスを拡大していくと予想されます。
しかしながらドライバーの目線で見ると、この仕事を『本業』とするには程遠く、やはり副業として行うことがマストであるという立ち位置です。
働き方は令和になり非常に多種多様となり、必ずしも正社員雇用が王道という訳ではなくなりました。それは私達がコロナ禍を経験して身に沁みた事だと思います。
タクシー業界もライドシェアに対して長らく反対の姿勢を見せてきた中、今年に入り様々な事情によって制度受け入れとなりましたが、これを機により働き方にも多様化を受け入れる時に来ているのではないでしょうか?