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タクシー都内23区の知られざる地区名『城南・城北・城東・城西』『都心3区』『5区』とは?
東京特別区武三交通圏…これはタクシーの営業区域を管轄する関東運輸局の特別区運輸支局が定める『東京23区と武蔵野市、三鷹市』を営業出来る交通圏内の呼称です。
しかしながら、都内のタクシー業界では昔から使用されてきた地域の呼称が存在するのをご存知でしょうか?
今ではほとんど公の場では使われなくなった名称ですが、未だに一部の大手タクシー会社やタクシー事業者の皆さん、タクシー運転手はこぞって使う事はあります。
城南・城北・城東・城西って?
今回ご紹介するのは「城南・城北・城西・城東」という各地区の呼称です。
実はこの呼称は、タクシー業界に限った話ではなく、都内の不動産業界でも使用されている呼び方なのです。
では果たしてこれらの地区はどの辺りを指すのでしょう?
城=江戸城(現在の皇居付近)を中心と考える
都内のタクシー営業で地理を覚える際、今も昔も『皇居を中心として幹線道路を覚えていく』という常がありますよね。
かつて皇居は江戸城のお堀であり、城南・城北・城東・城西はそれらの東西南北で別れた地域を今の縮図で表しています。
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これらは東京23区…ではなく、そもそも江戸城(現在の皇居)は現在の千代田区に位置しているため残り『22区』を東西南北4地区に4・6・6・6と分ているのです。
では「城南・城北・城西・城東」の各地区を解説していきましょう。
城南地区
城南地区は主に目黒区、品川区、大田区、港区の4区になります。
タクシー業界では城南地区という括りで営業することもありますが…港区は起点の千代田区と、城東地区の中央区を含め『3区』と言われることもありますよね。
城南地区は目黒区や大田区を筆頭に高級住宅地も多く、六本木や麻布などといった都内有数の歓楽街もありタクシー営業が特に激戦となる港区を構えております。
港区はそれ以外でも湾岸エリアに目を向けますとオフィス街やタワーマンションなど富裕層エリアが多い場所でもあります。
また大田区に限っては蒲田などの下町も存在するものの、東京都の空の玄関『羽田空港』と言った全国的にも世界的にも重要な拠点があるため、タクシーの送迎・乗降で現地へ向かうこともしばしばあるでしょう。
城北地区
城北地区は主に荒川区、文京区、豊島区、板橋区、足立区、北区の6区になります。
ポイントは足立区や北区といった都心の北部を含んでおり、即ちこれは埼玉方面へのアクセスが格段に良い現れでもあります。
加えて豊島区、文京区といった『文教地区』も含んでいるため、タクシー営業の特性にはばらつきがあります。
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また23区内では比較的特別区の中でもベッドタウン的な地域が多いことから、昼夜で入り浸っての営業をする地区としては若干不向きとも言えるでしょう。
池袋駅周辺や東京ドームなどの集客が多い場所も存在している地域ですのでバランスよく営業するのがコツです。
城東地区
城東地区は主に中央区、墨田区、台東区、葛飾区、江戸川区、江東区の6区になります。
いわゆる下町風情を残すエリアが主で、江戸時代から栄えてきた地域です。
この辺りは中央区を除くと都内でも土地も比較的安価ですのでタクシー事業者も多く点在していることでも知られています。
しかしながら江東区に目を向けると縦に長く、湾岸エリアは昨今豊洲、有明などが再開発や豪華客船の発着エリアとして著しい変貌をとげております。
タクシー運転手の界隈でもこの付近は新たな営業スポットエリアとして注目を集めている地域です。
またこの城東地区で異彩を放つのが、なんと言いましても『中央区』でしょう。
日本橋はもちろん、なんと言ってもタクシー営業の花形『銀座』があるエリアは絶対に見逃せません。
平日は乗車禁止地区に注意し、土日祝は歩行者天国に注意しながら営業しましょう。
城西地区
城西地区は主に新宿区、世田谷区、中野区、渋谷区、杉並区、練馬区の6区になります。
東京の副都心エリアの新宿、渋谷エリアは周辺の移動のみならず、多摩地区や神奈川のベッドタウンへの通勤通学の利用客も非常に多いため、タクシー営業が盛んです。
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都内有数の人気住宅地である世田谷区、杉並区、練馬区、中野区をメインとした地域とあって地価も高くタクシー運転手の中でもこの城西地区を主戦場として選ぶ方は今でも多く、また穴場的な場所も多々あります。
タクシー事業者も都内有名事業者の東京無線やグリーンキャブの本社が軒を連ねているのはこの城西エリアで、未だに無線配車顧客が強いことでも知られています。
その他の呼称
千代田区の旧江戸城(皇居)を中心として、22区』を東西南北4地区に分けているのがこの「城南・城北・城西・城東」です。
いわゆる読んで字の如くと言いますか…『城の南、城の西…』という感じなのがお分かりいただけると思います。
ではその他の呼称はあるのでしょうか?
ただ都内でも城西大学はバリバリ千代田区にあります…(キャンパスは麹町なのでどちらか言えば新宿寄りですので城西地区と言えば城西地区ですが)。
都心3区(なか)
都心3区とは、千代田区・中央区・港区の国内最大級の地価高級エリアを言います。
千代田区は国内の政治の中心としても有名で、面積のほとんどが皇居にも関わらず周辺には大手企業や新聞社なども軒を連ねております。
まさに日本の中枢、首都、教科書やテレビで見る場所がここです。
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また、別の呼称でこれら3区を『なか』とも呼びます。
タクシー事業者ではよく運転手に研修時や売上アップの集会などで『稼ぎたいなら中(なか)を攻めろ』とはっぱをかけたりします。
タクシー運転手も『今日は“なか”に入って営業するよ』と言う会話はよくあるのです。
もちろんタクシー運転手にはノルマ的なものは存在しないのですが、自由度が高い仕事であるが故、稼ぎたいならどうしたら良いか壁にぶち当たる事があるのは誰しも一度や二度ではありません。
激戦区ではありますが、需要は高く都心3区は顧客単価も高いのも事実です。
※決してホッピーのおかわりではありません。
都心5区
都心5区とは、上述の千代田区・中央区・港区に城西地区の渋谷区・新宿区の副都心として栄えるエリアを加えた地域を言います。
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新宿区はネオンの煌びやかな繁華街『歌舞伎町』『ゴールデン街』『区役所通り』など騒がしいイメージがつきまといますが、昼間は伊勢丹本店や髙島屋へのお買い物需要も非常に多く、また海外から訪れる観光客のインバウンド需要が非常に大きいのも特徴的です。
また、西口方面に目を向ければオフィス街も多いのです。
中でもかの日本を代表する建築家『世界のタンゲ』こと『丹下健三』が設計・建築した高さ約240mにもなる東京都庁は新宿の象徴として、訪れた人々に大きなインパクトを与えています。
渋谷区は海外の訪日観光客にも絶大な人気を誇るエリアで、単に若者の街だけでなく現在では様々な商業施設が建設され老若男女、国境問わず賑わいを見せる地域となっています。
スクランブル交差点はまさにその象徴と言えましょう。混雑する割にはタクシーがあの場所でお客様を捕まえるのは至難の業ですし他のクルマの迷惑にもなるため難しいのですが、それでも渋谷区はタクシー運転手にとってもエキサイティングなエリアで激戦区でもあります。
世界最大のターミナル駅の新宿は戸山、初台、西新宿、新宿御苑など。一方で渋谷は『※日本3大高級住宅地』として名高い松濤をはじめ恵比寿西、南平台町など、配車でも高単価が望めます。
※その他は神戸市の芦屋、六麗荘など。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
基本的にはこの「城南・城北・城西・城東」の各エリアの呼称は不動産業の用語として成立すべく派生している印象があります。
しかし未だにタクシー業界でも現場内はもちろん、事業者ホームページや一部大手タクシー事業者の営業所の屋号に使用されている事もあり、通じることでしょう。
これからタクシー運転手に転職される際、どのエリアを攻略していきたいか迷う際、もしくはどのエリアで転職を考えるかは大事になります。ですので正直なところ大々的に使われる事は無いと思いますが覚えておいて損はないでしょう。