今回はかなりマニアックな内容です。
概ねタクシー業界未経験の方にとってもはここまで情報を入れる必要性があるのかと言うような内容かもしれませんが…知っておいて損はないでしょう。
運転席と助手席の間に設置してあるタクシーの運賃等を表示する機械。値段が上がるごとにヒヤヒヤした記憶は一度や二度ではないでしょう。今回のお話はタクシーメーターです。
国内のタクシーメーターには様々な種類があるのです。
どんなメーカーがある?
それではタクシーメーターの種類を見ていきましょう。
あくまでもタクシーメーターは操作性などの『使い勝手』が重要となるだけの話であり、“他社のメーカーにしたら運賃が安い・高い”などと言う話では決してございません。
実を言いますと全国にはタクシーメーターを製造する会社はいくつかあるのですが、その中でもいわゆる…『大手四社』をご紹介します。
矢崎エナジーシステム(YAZAKI)
比較的タクシー業界でもメーターといえばメジャーなのがこのYAZAKIこと矢崎エナジーシステムです。
1941年に親会社の矢崎総業株式会社が設立され、1960年代にタクシーメーターの製造販売を開始。矢崎総業は24万人の従業員を抱える国内最大規模の電気部品メーカーのひとつです。
現在のタクシーメーター製造はグループ会社『矢崎エナジーシステム』内で行っており、タクシーメーターにおける国内トップシェアのメーカーとしてサービスを提供しています。
始めて使用したという事もありますが…それを差し引いても使いやすいと感じていますよ。
自社タクシーメーター『アロフレンド27』
矢崎エナジーシステムの『アロフレンド27』は自社の最新タクシーメーターです。
タクシー業界初のメーターに無線LAN搭載!
さらに視認性が大幅に向上した液晶パネルを採用しており見やすくなりました。
SDカード差し込み…という従来からの常識を覆し、日報は乗務終了後の書込み時に無線LANを通じてすぐ営業所へ配信されます。
二葉計器(Futaba)
二葉計器は大正14年、1925年創業のタクシーメーター専門会社です。
2025年で創業100年を迎えます。
高機能タクシーメーターの専業メーカーとして創業以来これまてわ国内のタクシー営業を支えて来た老舗企業で、さすがはタクシー業界の最大手企業からも厚い信頼を受けております。
業界大正・昭和・平成・令和と時代に変わりゆく多様なニーズに合わせて対応できる柔軟性も備えています。
特徴としてタクシーメーターは一般タクシーのみならず、介護タクシー専用のタクシーメーターも取り扱っています。
▼二葉計器のタクシーメーターを使用している主な事業者
日本交通グループ/飛鳥交通グループ /グリーンキャブ/京王自動車/大日本交通/エムケイグループ/日本タクシー(大阪)/阪急タクシー/名鉄タクシーHDGSなど…
自社タクシーメーター『R9-6』
二葉計器の自社タクシーメーターは高コストパフォーマンスにすぐれた『R9-6』。多くのタクシー事業者でも扱われております。
なんと言っても業務初となる業界初のフルカラーとタッチパネル液晶を搭載したタクシーメータです。
これにより視認性の高い画面表示が展開されボタン名が表示された大型操作ボタンでタクシー運転手の操作性を向上したのが特徴です。
ニシベ計器製造所
ニシベ計器製造所は1949年、日本国内でタクシー料金のメーター制が施行されると同時に設立されました。
ニシベでは常により正確で安心なタクシーメーターを提供することに専念し、「正しく精度の高い計量」という社会的使命のもと、70年の歴史の中でタクシーの電子機器サプライ品を提供し続けています。
また、オンラインサポートのサービスも展開しており、万が一の際は専門のオペレーターが丁寧に教えてくださります。
自社タクシーメーター『ルミナス』
ニシベの自社タクシーメーターは『ルミナス』です。
賃走・割増の自動切換が可能で、さらにオートカレンダー・自動検定対応・ゼロアジャスト・車載料金改定などが搭載された次世代型のタクシーメーターです。
岡部メーター商会(OKABE METER)
岡部メーター商会は1953年創業のタクシーメーター製造会社です。
社内で法人が分かれており、長年の経験から培った信頼・実績の積み重ねを武器に顧客ニーズに日々応えております。
直系サービス部門である「株式会社岡部メーター商会」。
以下製造メーカーは『岡部メーター製造株式会社』、販売部門は『株式会社KIOコーポレーション』となっております。
自社タクシーメーター『MS70』
岡部メーター商会の自社タクシーメーター『MS70』は、タクシーメーターとデジタル式運行記録計の一体型メーターです。
プロフェッショナル集団OKABE METERならではのこだわりが詰まったタクシーメーターで『GPS標準搭載』、『大型フルカラータッチパネル液晶』を搭載。
これにより様々な表現やボタンのカスタマイズが可能となっております。
視認性が抜群に良いですね!
メーター設置は法律で義務化
タクシーメーターの設置は道路運送法で義務付けられています。
当然ながら法人、個人に限らす必ず設置しており、介護タクシーも同様となっております。
また特性上貸切制ではあるものの、ハイヤーにもメーターは搭載しているのです。
基本操作は同じ
タクシーメーターのメーカーは国内に多数あれど、基本的な捜査はどこでも同じです。
実車のボタンを押すことで、自動的に運賃計算が開始され、『初乗り運賃』が表示されます。
タクシードライバーあるある集【実体験版】。それって職業病かも笑?Ver.4
以降移動距離や時間によって加算が行われ、お客様が乗車されたタクシーが目的地に到着しましたら支払ボタン→合計ボタンを押して運賃の会計を実施します。
その後空車ボタンを押せばまた運賃表示はリセットされます。
運賃支払いだけじゃない
タクシーメーターの役割は、運賃支払いだけじゃありません。
タクシー事業者およびタクシー運転手にとっては大切なデータベースでもあります。
自分のリアルタイム売上がわかる
ご自身がタクシー営業をしていて、現在どれくらいの売上を上げているのか…それすらもわからないのはなかなかしんどいですよね。
まるでゴールのないマラソンを走っているようなものです。
そこでタクシーメーターには目標金額を入力できる機能があり、自分自身で目標を立てる事ができるのです。
さらに自分自身の売り上げも逐一カウントされていますのでとてもわかりやすく、モチベーションアップにも繋がります。
これは便利ですし目標を立てれると頑張ることができます。
(手書き日報のタクシー事業者はまた別です)
日報記録に不可欠な様々な内容も記録
また、その他タクシーメーターには基本機能として、営業キロ・実車キロ・初乗回数・※爾後回数(じごかいすう)などもカウントされております。
実車時の人数、予約、割引適用(遠距離、障害者割引など)のボタンも搭載しているので連動しております。
乗務終了後に日報を作成もしくはプリントされる場合、これらは事細かく記載されています。
※ 爾後…加算のこと。
スーパーサインと連動
タクシーメーターはスーパーサインと連動しております。
タクシーの表示どれくらい知ってる?スーパーサインについて解説【空車/割増など…】
空車のタクシーにお客様が乗車すればタクシー運転手は当然実車(賃走)のボタンを押します。
そうするとスーパーサインの表示も自動的に賃走・実車もしくは消灯し、※行燈も消灯します。
※22〜翌5時の間は『割増表示』。
※各都道府県で違いがあるようです。
昨今は自動日報が主流
以前のタクシー運転手といえば、お客様が乗車する毎に時間・乗降地・人数・料金を手書きで記入していることが普通であったのですが、現在は自動日報の会社が主流となっています。
タクシー運転手の豆知識⑩タクシー運転手にタイムカードはある?運転日報とは?
特に東京首都圏はほとんどのタクシー事業者が自動日報で営業しています。
時間のロス削減や営業のタイミング、運行上の安全性を考えると自動日報のメリット大きいでしょう。
令和に入りDX化も
令和に入りタクシー事業者ではDX化のタクシーメーターとして従来のSDカード差し込み形式から無線LAN搭載のタクシーメーターへ移行するケースもあります。
タクシー運転手の豆知識⑦【『自動日報』の進化!DX化の東栄タクシーへ潜入(実際に行ってみた)
これらは現場のタクシー運転手からも『時間のロスが削減できてタクシー営業に幅ができる』、『帰庫だけでなく帰宅もスムーズ』といった歓迎の声が上がっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は非常にニッチな内容でしたが、タクシー経験者向けだったかもしれません。
正直なところタクシーメーターで転職先を選ぶ方は聞いた事がありませんが…例えば操作性で長年使用してたメーカーの会社なら理想…的な事はあるかもしれません。
しかしどのタクシーメーターであろうと営業に変わりはありません。雑学的な話で恐縮ですがぜひ何かのお役に立てれるなら幸甚です。