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タクシーで高速道路を走ったらどうなる?お客様がしらない秘密の釦…『高速ボタン』とは?
あたし…そこは秘密のボタンなの…。
いやいや冒頭大変失礼しました。何を掻き立てられるわけではないのですが、タクシー車両には通常の乗用車にはない、様々なボタンが登載されています。
その中でもいくつか紹介したいのですけど、ひとつクローズアップしても良いレベルのボタンがあります。
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滅多むやみに押すと大国丸ごと吹き飛ぶくらいのレベルのボタン…ではないですが、ちゃんと押さないと違反にはなります。
また場合によっては損もしますので押す場所、タイミング、意味をよく理解することが大切となります。
今日はその中のひとつ、『高速ボタン』を紹介します。
『高速ボタン』って何?
高速ボタンとは一体なんなのでしょう?
もちろんそんな物は一般の乗用車には登載していません。
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タクシー業界に入った方は初耳でしょうし、今までタクシーを利用されてきたお客様がもしこの『高速ボタン』の存在を知っているとしたら、相当の通か業界関係者と見受けます。
※けっして格ゲーの技などの類ではないです。
では勿体ぶるのもこの辺にしておいて笑、説明しましょう。
高速道路を走る際に押す
高速ボタンとは、タクシーメーカーに付いているボタンで、実車賃走時に『自動車専用道路』『高速道路』を走行する際に押すものです。
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この高速道路の乗降時にはこのボタンを的確に押さないと正確なタクシー料金の請求ができませんし運送法の違反にもなり運輸局やタクシー事業者から罰則を受ける可能性があります。
なぜ高速ボタンを押すの?
高速道路の乗降時に高速ボタンを押す理由は、一般道と走行する際に発生する『時間距離併用制運賃』の有無にあります。
“時間距離併用制運賃とは、一般道を走行する場合に発生する運賃制度で、信号待ちや渋滞などによってタクシーが一定速度を下回る際に発生します。”
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ところが高速道路をタクシーが走行する場合は、時間距離併用制運賃が加算されないのです。
メーター換算が変わる
タクシー運転手は、実車賃走のタクシーが高速道路に進入する際、メーターの「高速ボタン」を押して運賃の計算方法を変更させます。
この高速ボタンを押さないと実車時の一般道路と同じく『時間距離併用制運賃』のまま走行→運賃計算をしてしまう事になるからです。
そのため、高速道路ではETC有料料金は別途発生しますが、実車賃走料金の計算は距離のみで行われることになります。
渋滞でも大丈夫
上述のようにこの高速ボタンを押せば、純粋に『走行距離だけの運賃で計算(加算)がされる』と言うわけです。
※ETC有料料金は別途発生します。
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そのため例え渋滞に巻き込まれて惰性運転となっても時間でメーターが上がる心配はありません。
高速道路を利用するか否かの場合はお客様が利用する時間や渋滞状況のタイミング等考えてアプローチしましょう。
注意事項
ここでは注意事項を挙げます。
実際に高速道路で毎回毎回営業するという事は需要的には考えづらい事ですが、高速道路に乗ったら乗ったで気をつけなければいけない事はあるのです。
高速道路の区間のみ有効
高速メーターの有効エリアは当然ですが『高速道路内』です。
そのため料金所からスタートと思われるケースが多いですが、実際には『自動車専用道路標識』を以てスタートになりますので料金所がスタートではありません。当然ながらその際は高速ボタンは押すことが義務になっております。
高速ボタンを押す事によって渋滞していてもメーターが上がらなくなるのですから、もし押さずにそのまま高速道路で走行した場合は料金が『時間距離併用制運賃』で計算されるため、渋滞に巻き込まれた場合は惰性走行や停車した場合もメーターが上がってしまいます。
ですので必ず高速ボタンを押してください。
高速道路を出たら必ず消す事
高速道路を出たら必ず高速ボタンは再度押して消しましょう。
そうすれば元の実車賃走になります。
時折街を歩いていると、押し忘れて一般道に入ってしばらくスーパーサインが『高速』のままになっているタクシーを時たま見かけますが、当然これはタクシー業界では違反であり、タクシー運転手としても一般道なのにも関わらず距離でしか運賃が計算されないので、そもそも損なのです。
自動車専用道路の場合
国内には高速道路…のような道路がいくつか存在しているのをご存知でしょうか?
それはよく言う『自動車専用道路』です。
一般道以外の道路では『高速自動車国道(高速道路)』と『自動車専用道路』と分布されており、教習所の問題でも最高速度は何キロかという問題が出てきますよね。
ただこの自動車専用道路は、一部無料の道路もあります。
有名な道路ですと神奈川県大和市と横浜市を結ぶ「保土ヶ谷バイパス」が高速料金が無料になります。
ですが、80km道路で走行することには変わりないため、高速ボタンは押されるのです。
サービスエリアに停車する場合
高速道路で実車賃走中、トイレ休憩やコーヒータイムをしたいというお客様から要望があった際、サービスエリアに立ち寄る事はよくある事です。
ではその間はどうするかと言うと…待っている間は営業中ですので、原則高速ボタンを一度押して、『時間距離併用制運賃』にします。
これにより待機時間も時間換算されるようになります。
そして再度出発する際は必ず高速ボタンをもう一度押して発車しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
これらは現役タクシー運転手なら釈迦に説法レベルの内容ですが、タクシー運転手にこの度初めて転職を考えている方などは、多くの面に疑問点や不安もあると思います。
また今回の内容はタクシーを利用するユーザー目線から見ても『知らなかった!』という内容だったのではないかと思います。
高速道路は高い…と未だに認識があるお客様も多いと思いますので、最初の乗車時にお客様から行き先を聞かれた際、もし高速道路経由で目的地へ向かった方が総合的に良い事を説けると、お客様と『任せて大丈夫だ』と短時間のお付き合いではあるものの、信頼を勝ち取れるのではないでしょうか。
改めてタクシー運転手は接客業だと思いますよね。