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ライドシェアニュース/交通空白解消本部を国土交通省が立ち上げ
国土交通省は2024年7月17日、初会合にて日本版ライドシェア運用を中心とした「交通空白解消本部」を立ち上げました。
4月の日本版ライドシェア開始から3ヶ月。様々な規制の緩和に取り組む政府ですが、夏休みが迫る今『押しの一手』になるか注目が集まります。
問題の根本は?
そもそもの『交通空白解消本部』なるものが立ち上がった原因は一体何なのでしょうか?
それには地方や観光地ならではの問題があったのです。
インバウンドへの対応
日本国内は衣食住の和文化だけに止まらず、もはやサブカルチャーに代表されるようなオタク文化が席巻し、今や大人気の観光スポットです。
インバウンド需要への対応も自ずと迫られているのが国土交通省であり、タクシー業界でもあります。
そこに目をつけたのが日本版ライドシェアというわけなのです。
都市圏へ集中
しかし実は蓋を開けてみると、地方のタクシーをはじめとした公共交通機関では『2次交通の確保』と『都市圏集中』が課題となっています。
増加の一途を辿る訪日観光客の皆さんは、宿泊先の約7割『東京』『大阪』『名古屋』…いわゆる東名阪に集中していることも明らかになっています。
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日本政府もインバウンドに対して地方への推進を掲げてはいます。しかしながらまだまだその3割前後が分散していて思うように潤っていないのが現状と言えましょう。
地元民が利用できない
また、昨今インバウンド需要で沸く京都市内で『観光客が多すぎて地域住民が利用できない』という事態が発生しているのをご存知でしょうか?
観光客からしてみれば移動の手段として是が非でもタクシーなどの公共交通機関は利用したいところ。しかし地域住民とてその思いは同じ。
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この異常事態をどう解消するか、もちろん京都に限ったことではなく、インバウンドがいけない訳では全くありません。
ですが、このタクシーが利用できない問題をいかに解消できるかは、今後タクシー業界のみならず、国土交通省の取り組みにかかっているのです。
ライドシェア未導入の自治体などに呼びかけ
2024年4月にスタートした「日本版ライドシェア」。
主要都市を中心としてスタートしているものの、現在まだ導入していない自治体は約600ほど存在します。
この度の「交通空白解消本部」は、地方や観光地などの「移動難民解消」へ向けて早急に対応するために立ち上げました。
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全国で「日本版ライドシェア」未導入である上述の約600ほどの自治体を支援するほか、各地の新幹線及び主要駅(主に特急停車駅など)と空港とのアクセス向上を支援することをメインとしています。
需要と供給というタクシー業界永遠の課題を、ライドシェアを通じて埋めることが出来るでしょうか。
あの『変動制運賃』も動き出すか?
ところで以前から話にでている『変動制運賃』のお話…ようやく動き出す可能性が出てきました。
公共交通機関の運賃が需要と供給に応じて変動する『変動制運賃』…またの名を『ダイナミックプライシング』の導入を検討し、年内にタクシー以外の公共交通機関の方針を取りまとめるとのことです。
タクシー時間変動制運賃(ダイナミック・プライシング)がいよいよ始まる。
22時から翌5時までの時間は2割増になる制度。
実は近年は牛丼屋も導入しましたよね。
タクシー業界では更に『雨の日などの天候不良時にも導入すべきでは』という“閣僚レベルのの声”は上がっています…。
大規模イベント対策へ向けて
日本版ライドシェアについては、大規模イベント時の対応車両数の拡大を強いられています。
今回、国土交通省では本年度9月までに台数の緩和や制限などの対策をとりまとめるとしています。
規制緩和にあの手この手と変革が著しい中、イベント開催の多くなる時期に向けて対策を講じる見込みです。
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一年を通して、少しずつ規制を緩和していく節が垣間見えます。そこに乗るように昨今は、日本版ライドシェアにおける新規参入事業者が登場しているのですから。
人口減少と少子高齢化の中でのライドシェア
国内における喫緊の課題といえば『人口減少』そして『少子高齢化』ではないでしょうか。
昨今はそれだけでなく地方離れの影響もあって観光地や地方は深刻な人手不足に陥っていおります。
それは公共交通機関の業界のみならず、観光業界や飲食業界とて同じ現象が起きています。
円安の影響で海外から多くのお客様がいらっしゃる一方で物価高騰の波も押し寄せています。
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今後の地方活性化へ向けて、インバウンド需要で分散を目指して行く中で、人手が居ないことには利益が生み出されてもそうにもなりません。一極集中の事態を打破すべく、地方の工夫が期待されるところです。
「地域のバス、鉄道の減便や廃止や運転者の人手不足によって移動手段を確保できない地域住民の日常生活に不便が生じている現状は直ちに改善しなければならない、総力を挙げて一気呵成に交通空白の解消に向け努力してく」
【斉藤鉄夫国土交通大臣の7月17日・初会合にて。】
これから〜Opinion〜
ライドシェアは日本国民の『もったいない精神』に則れば確かに効率はよいサービスかもしれません。
更に言えば地方に対しては有能な交通手段だと思います。移動難民は人口減少と少子高齢化になるにつれ深刻になりますし、移動の多様化は過疎地や地方でこそ強さや適性を生むものだと確信しています。
4月のライドシェアスタートから7月の雨天時の規制緩和、さらに今回の交通空白解消。今回に関しては理にかなった規制緩和であるとは思いますが、ここまでの流れを見ると小出しに規制緩和を実施している印象を持ちますよね。
となれば12月のタクシー需要ピークの前にも更なる規制緩和を実施しそうな気配がしてなりません(まさに9月頃の対策がそれではないでしょうか)。
現時点では日本版ライドシェアのジョブアプローチは、タクシー運転手の雇用や働き方にそこまで脅かすものではないですが、今後のライドシェア規制緩和はおそらく秋頃にまた動くのではないかと思います。
タクシーというれっきとした公共交通機関が社会的地位を担うために、しっかりと需要と供給をカバーできるようにしたいところです。