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タクシードライバー転職の不安…防犯対策、事故、カスハラなど。
『タクシードライバーに転職しようと思ってる』
そう周囲に打ち明けた際、快く頑張ってと言ってくださる方は理解のある素晴らしい方か、もしくは…こう言っては何ですがあまりタクシー業界のお仕事をよく知らない方だと思います。
ここでは犯罪に巻き込まれない…すなわち防犯面の対策に関してお話ししたいと思います。
タクシーの仕事が不安に思われる理由
タクシードライバーに転職したい…けど不安で一歩踏み出せない…。
不安に思われる理由の多くはどんなものでしょうか?
強盗などの被害
タクシーは自動車という密室で営業をします。
そして不特定多数の方が乗車されるという特性上、どんな方が乗られるかわかりません。
もちろん強盗事件に遭うというケースはあまりにも稀ですが、実際に年に数件ほど発生しているのは事実です。
確かに避けられない現象とも言えますが、接遇をもって相手の気持ちを揺るがす事くらいは出来るのです。
事故
タクシーは多くの車両が行き交い、さらに事故が発生するとニュースでも取り上げられます。
そして事故の起きやすい事例としては以下が挙げられます。
・公共交通機関であり、お客様が乗車される乗り物である
・仕事終わりの回送時で気が緩みスピードを飛ばしている時が多い。
・深夜割増時間帯のタクシー車両集中時間帯に発生するケース
・タクシードライバーの健康管理上の問題(タクシー会社の問題でもある)
などです。
とかく売上が先行しがちでタクシードライバーは営業に夢中になってしまいがちなのですが、しっかりと安全運転の基礎を忘れず左右確認と車間距離を取りましょう。そしてウインカーのタイミングや危険予測等もしっかり行いましょう。
カスハラ
近年話題になっているカスハラ。
カスタマーハラスメントの省略で、お客様からの過度なクレームや悪質な迷惑行為を言います。
便利な時代になりすぎてしまった現代の代償とも言えるもので…昔とある国民的歌手が発した『お客様は神様』という言葉が間違って解釈されてしまい、本来ならば対等なはずの関係がサービスを提供する以上に過剰なものを求めてしまうようになってしまった悪しき習慣…見えないモンスターのようなものです。
とかく多くの業界でこのカスハラは現場で問題視されており、タクシー業界でも例外ではありません。
近年ですと名古屋市のつばめタクシーや東京特別区の国際自動車ではカスハラをするお客様に対して毅然とした対応を取るべく乗車拒否しても構わないというルールを設けております。

やる事ができなければこちらに非があったにせよ、度を越すと返ってその後の業務に影響を及ぼしかねません。
何かされそうになったら
正直なところ、テレビメディアのニュースで煽るような内容の事例はほとんど起こりません。
例えばですが…コンビニエンスストアを見ても2024年現在全国に57,000店舗近くあります。
その中で毎日強盗事件が起きますでしょうか?
ただもちろん、用心に越したことはありません。
何かされそうになったらタクシードライバーはどうしたらよいでしょうか?
SOSボタン押す
まず周囲に助けを呼びたいところです。…が、いきなり密室で窓を開けて大声で『助けてぇ〜』なんて叫んだ日には強盗犯からしてみれば火に油の心理状態でしょう。
タクシードライバー自身の身の安全が最優先ですので、万が一凶器を出されたらその場は素直に従った方が賢明です。
そしてそっとハンドル右下にありますボタンを押してSOS表示にしましょう。
すると行燈は真っ赤に染まり点滅を開始、さらにスーパーサインは『SOS』もしくは『助けて』という表示になり(メーカーにより変動、表示にならない場合もあります)、周囲に異常を伝えます。

※『なんでその場で男らしく戦わないんだ!』と思われたBreaking●own系のお兄さんもいるかもしれませんが、理由は後ほど説明します。
警察署へ行く①
営業中に現行犯で万一何かをされた際、周囲の警察署を必ず覚えておき、しれーと警察署の近くに横付けして、『これ以上されると警察行きますけどいいですか』と伝えてみましょう。
大体は大人しくなるそうです。
それでも暴れるようなら本物ですし警察へ引き渡すべきです。
警察署へ行く②
強盗被害に遭い、例えば逃げたもしくはタクシードライバーが身の危険を感じ逃げざるを得なかったという際、必ず警察署へ行き詳細を説明しましょう。
先程SOSボタンのところで『その場でなぜ戦わないんだ?』みたいな話をしましたが、身の安全を守る為には戦うなんてもっての他です。
ましてやどんな格闘家でも刃物や拳銃を目の前にすると腰が引けるものです。
必ず警察署へ行き、被害状況を伝えましょう。
経験則上、後日100%に近い確率で犯人は検挙されています。その理由は言わずもがな『ドライブレコーダー』です。
不安にならないために
そもそも他業種への転職だけでも不安なのに、タクシードライバーのお仕事でテレビのニュースメディアから入る情報はあまり良い情報ではないかもしれません。
ただ実はタクシーという仕事の特性上、少しの工夫をすれば避けられる事案も大いにあるのです。
これを覚えておけばお客様からも良い印象を持たれて過ごして頂けると思いますよ。
苦情を言われたら丁寧に対応する
何かしらの理由で苦情を言わるケースはサービス業である以上避けて通れません。
もし苦情を言われた際は、走行中はNGですが、停車中なら必ず嫌でも相手の顔を見て対応すること。そして頷くこと。
こちらが懇切丁寧に対応していても相手のボーダーラインは結局のところわかりませんが、経験を積んで空気を読む事も大切な姿勢でしょう。
テレビ・メディアの情報を鵜呑みにしないこと
タクシーという仕事のイメージがよくない理由は多々ありますがその中のひとつとして『テレビ経由の情報』が大きく影響されています。
例えば強盗や、タクシーに関わる事件が続くとニュースのアナウンサーは決まって『続いては、またタクシーの事件です…』というフレーズから入ります。
そしてワイドショーとなれば何も知らないタレントコメンテーターが評論家のように身も蓋もない話をする→それを見た人達がそのまま鵜呑みにしてしまえば当然鵜呑みにしてしまいます。
正直これはいくら業界に身を置いている私でさえ夜に1人部屋でニュースをつけてこんな内容を見ていたら明日は我が身とちょっとナイーブにならないこともないです。

発散になりますよ!
防犯対策でできる事
防犯対策でできる事とは一体何でしょうか?
現在タクシー車両のほとんどに飛沫防止ガードが付いており、ある意味ではそれが防犯の盾となって役割を果たしています。
しかし人と人が接する仕事、まずその部分で何かできる事はないでしょうか、探ってみましょう。
相手の顔を見て接客すること
タクシー然りですが人はまず最初の2秒〜3秒でその人の印象が決まると言います。
あの綾小路きみ●ろも壇上で『人を見かけて判断してはいけません!大事なのは…外見です!』と熱弁するくらい笑、第一印象は大事なのです。
もし仮に、これから乗車してこようとする人Aが『今からタクシーを強盗する』と考えていたとしましょう。
そのAが最初にタクシーを見つけてタクシーに乗ったとします。
タクシードライバーがそのAに対して顔を見ず、しかも言葉の一言もかけないで乗せたらどうでしょう。
心理的にAはもう違った意味で『どうするGOする!』という状態に陥ると思いませんか?
ですのでその逆を行きましょう。
Aに限らず全てのお客様に言える事です。
※確かに近年、無差別犯罪のような危ない動機の“誰でもよかった”というとんでもない思想を持っているものも一部いますが、概ねタクシー車内で発生するトラブルの多くは接遇が原因であるというのも事実です。
しっかりと受け答えをすること
基本的にお客さまから何かを聞かれたらしっかりと受け答えること。
これは当たり前です。
もし信号で停車中であったり支払いの際などはお客様の方向を向いて答えましょう。
タクシードライバーのお仕事でひとつ特殊性を上げるのであれば『人に背を向けている時間が長い』という事です。これは他の接客業では考えられない事ですし、おそらくハイヤー・タクシーだけであると思います。
ですので道を聞かれた際、或いは何かを聞かれた際は気持ちよく答えましょう。
お客様はお金を支払い、タクシードライバーはお金をいただき、タクシーは公道を走らせて商売をさせていただいているのです。
過度な長距離の場合は支払い方法を確認
ごくまれにいるのですが、とてつもない距離を移動されるお客様がいらっしゃいます。
タクシーの場合、空車時の乗車拒否はもってのほかですが『タクシー事業者が所属するが営業地区の境界線から50キロメートル以上離れた場所が目的地の場合は、乗車を断ることが可能』とされています。
※これは所属している営業エリアやタクシー事業者の方針などによって異なりますので確認が必要です。
ただ上述のようにあまりに目的地が離れている場合、現実的なお話しですが、お客様の支払い能力を確認しなくてはなりません。
仮にせっかく東京→静岡間を走行した時してその料金を踏み倒されたら元も子もないですよね。(もちろん犯罪ですが…)
安心してほしいこと
色々書きましたが、泣き寝入りするだけではありません。
ただその場で格闘するのも…絶対違いますよね。
タクシードライバーはストリートファイターではありません。
大人の対応をしましょう。
だからこそ安心して乗務をしてほしいために知ってほしいことがあります。
証拠は必ず押さえてある
現在タクシー車内には、ほぼ間違いなくドライブレコーダーが搭載しています。
よく問題としてニュースに取り上げられるような地域は、ニュース、メディアに露出されている以上、それ以上でもそれ以下でもない証拠ですよね。
ですのでこちらとしてはしっかりとした、毅然とした対応を取ることが大切ですが、あくまで火に油を注ぐような事は慎むようにしましょう。まずそのような場面に遭遇したら落ち着かせてするべきことをしましょう。
検挙率は100%に近い
タクシードライバーのプライバシーは近年、乗務員証の改正などもあり守られるようになりました。
そして仮にニュースで起こるような車内で暴れる事象が発生したとしても、上述でも申した通りメディアに出ずともドライブレコーダーを解析して警察署に提出し被害届を出せば現時点で検挙率は100%近くです。
また、仮に暴れられてその場で現行犯という形で警察署に行き事情説明をすれば、後日提出した際の重要なエビデンスとなります。
面白おかしくニュースで取り上げていますが、よく考えてみますとオチは間違いなく検挙されていますよね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
タクシードライバーのお仕事というのは確かに楽しくて他の仕事にない魅力があるのは間違いありません。
しかし同時に『運転の業務をしている』、そして『不特定多数のお客様をお乗せしてお金を頂き送迎する』という仕事の特性上、何が起こるかわからないリスクがあるのも事実です。
ですので、事故や犯罪など不安が付きものである仕事である事は否定出来ません。
これは正直サービス業であればいかなる業種でも共通なのですが…。
とかくニュース番組やメディアのせいで『危ない仕事』とされていますが当然このような出来事が日常茶飯事で起こる事ではまずありませんので、それだけはご安心ください。
そもそもどうしてドライバーのプライバシーを遵守するドライブレコーダーの映像の様子が世に出回るのでしょう?それも不思議ですよね…。
タクシードライバーとしてできることは、『懇切丁寧な対応』『安心安全快適』を心がけていくことが、タクシー会社の垣根を越えたモットーです。