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タクシードライバーの豆知識⑥【『明番集会』とは?】
タクシードライバーに転職したい方はこの『明番集会』という言葉をご存知でしょうか?
もし知っていたら、親しい身内がタクシードライバーかもしくは相当なタクシーオタクかどちらかだと思います…笑。
ミョウバンとは読みません。『アケバン』です。
濁点を工夫すれば美味しそうな感じですが笑、実際のところどんな事をするのでしょうか?
主に月に一回開催される
明番集会とは、タクシー会社から配属されているドライバーのみなさんへの教育指導を指します。
タクシー会社によっては『開け番集会』や『出番会』などと言った別の言い方もあるそうですが内容は同じです。
基本は月に1度開催となり、実はタクシー業務を行う以上『明番集会』の実施は国からの義務となっているのです。
「関係法令に基づき運転者が遵守すべき事項に関する知識のほか、運行の安全を確保するために必要な運転に関する技能及び知識を習得することを目的とし、運行管理者は、運転者に対する適切な指導及び監督を行わなければいけません。」
【国土交通省:運転者に対する指導監督の概要より抜粋】
厳密には『明番』も仕事のひとつ!
主には明番集会は出番(乗務)の前後で開催されます。
ですが稀に乗務の後に行うこともあるそうです。もちろんその場合はいきなり帰庫してこれから帰るところを呼び止められて集会に参加…なんて胸くそ悪いことはしませんので予め『この日に明番集会があります』という周知が通達されます。
しかし乗務終了後に行う際の事例を挙げると、明番も厳密に言えば仕事のひとつで『身体を心身ともに休める日』ですので最近はほとんどが出庫前に行う事が多いようです。
明番集会の中身
明番集会の中身は一体どんな感じなのでしょうか?
わかりやすく言えば小中高の学生時代に経験した全体朝会や集会をイメージしてもらえると良いのではないでしょうか?
ワンツーマンで指導という訳ではなく、またこれは全乗務員等しく行うので罰則指導などではありません。
一番最初は主にタクシー会社の代表挨拶…訓示や社是を延べ、タクシー業界の今後などを力説し、日頃のドライバーさんの労を労うありがたいお言葉などが続くという形です。
”「 旅客自動車運送事業者は、その事業用自動車の運転者に対し、国土交通大臣が告示で定めるところにより、主として運行する路線又は営業区域の状態及びこれに対処することができる運転技術並びに法令に定める自動車の運転に関する事項について適切な指導監督をしなければならない」
【旅客自動車運送事業運輸規則第38条 の(従業員に対する指導監督)より抜粋”】
事故対策、事故事例を学ぶ
タクシー会社には所長というポジションが存在します。
読んで字の如く『営業所の長(オサ)です』。
主に所長さんからの伝達事項がはじまりメインとしては事故対策が多いのではないでしょうか。
過去の事例やデータを分析した事故対策、警察署との連結など…近年はドライブレコーダー搭載がほとんどなのでその映像を使って説明し危険運転の防止を促していきます。
タクシードライバー転職の不安…交通事故のニュースばっかりだけど大丈夫?!
苦情対策、苦情事例を学ぶ
タクシー会社につきものなのが苦情対策です。
いかんせんタクシーは運送業ではありますが、運ぶのは物資ではなく移動を必要としている生身のお客様です。
ですので毎度毎度・趣味・嗜好・国籍・性別・年齢・出生地・体調・性格の違う方を乗せれば、たとえ一人一人が懇切丁寧に対応していようと苦情が入らない方がおかしな話なのです。
都内タクシードライバー業務の適正化事業『東京タクシーセンター』へ潜入取材!
苦情の具合も様々ですのでその場で丸く収まれば一番良いのですが、タクシー会社へ連絡が来たり、あるいはタクシーセンターへ苦情が入ってしまったりした日には大変です。
ですのでそのような事例を共有し合い、今後の営業に生かそうという試みです。
神奈川タクシーセンターの研修に潜入取材!UD研修と現場インタビュー!【実際に行ってみた】
※決して個人を特定して吊り上げて公開●刑するような事は致しませんのでご安心下さい。
その他
その他の内容として整備部などがある会社は、整備関係の伝達事項、もちろん苦情だけでなく厚情、賞賛の言葉もあるのでその紹介もあります。
月によっては表彰の紹介もあるかもしれません。また組合がある会社は報告などもあるでしょう。
明番集会は全体を通して約30分程で終了するのが常です。
近年はイーラーニング化も
また月一度の講習に参加となると所属しているタクシードライバーを一同に介しての明番集会の開催はシフトの関係もあり物理的に不可能です。
それに付け加え、開催する側のスケジュールも合わせなければいけないため、マンツーマンや少人数で行うというのは現実的に難しいのが現状です。
そこで近年ではイーラーニング化でオンライン受講を行うタクシー会社も出てきています。
時節柄というのもありますが、webであれば各自が受講した(視聴済)という確認が取れますので便利ですよね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
実はタクシードライバーは乗務する上でこのような事を月に一回行っているのです。
学生時代の全体朝会に近いと言いましたが、企業でも定例会や朝礼で申し送りがありますので、冷静に考えれば何ら不思議なことではありません。
乗務時間を割いて行うには訳があり、タクシードライバーは売上云々より日々の安全運転を順守し、接客業である事を再認識する時間でもあるのです。必ず出席しましょう。